iPhone 6sのA9チップ、製造元の違いによるバッテリー性能差はほとんどないとの見方
iPhone 6s/6s Plusに搭載されているA9チップに2つの製造元があり、台湾のTSMC製に比べて韓国のサムスン製の方がバッテリーの消耗が激しいとの話がネットを中心にユーザーのあいだで話題となりました。
iPhone 6sの「A9」チップ、製造メーカーによって性能が違う? 調べる方法も(篠原修司) - 個人 - Yahoo!ニュース
この話題が大きくなるにつれ、大手ウェブサイトや消費者団体が検証を実施。その結果、製造元によるバッテリー性能差はほとんどないという見方が強くなってきています。
Geekbench 3以外では差は2~3%
比較的早い段階で行われた検証は、海外のニュースサイト『Ars Technica』による4種類の動作でバッテリー性能テストです。
実施されたテスト
- Wi-Fi browsing:15秒ごとにWebページを1回更新してのテスト
- WebGL:低負荷テスト。CPUの負荷率は45~60%、GPUの負荷率は25~30%
- Geekbench 3:中負荷テスト。CPU、GPUともに平均して55~60%の負荷率
- GFXBench:高負荷テスト。3Dグラフィックスを用いたベンチマーク
これら4種類のテストの結果は、以下のようになりました。
Samsung vs. TSMC: Comparing the battery life of two Apple A9s | Ars Technica
大きく差がついたのは約22%の差がついた中負荷テストのGeekbench 3です。しかし、それ以外のテストでは2~3%程度の差しか認められまず、WebGLではサムスン製の方が良い結果が出ています。
消費者団体「バッテリー性能差なし」
また、アメリカの消費者団体『Consumers Union』が運営するサイト『Consumer Reports』もテストを発表しています。
Consumer Reportsが行ったテストは2つあり、1つ目は外部・内部ともに電磁波の影響を受けない無線暗室のなかで、エミュレーターの基地局に対して電波を送信させるものです。
このテストでは、TSMC製、サムスン製どちらもバッテリーは約5時間持続。差も2%未満だったとのことです。
2つ目のテストは、人気歌手の音楽をバックグラウンドでループ再生しながら、人気の20以上のWebサイトを自動的にロードし続けるというものです。
このテストでは、どちらもバッテリーは11時間以上もち、600以上ものWebページをダウンロードできたとのことです。2台の終了はほぼ同時であり、差は1%未満でした。
また、性能差の原因と言われていた発熱に関しても調査されており、表面温度は最高で84゜F(約29℃)まで上昇したものの、こちらも2台の温度差は1%未満だったとのことです。
Battery Tests Find No iPhone 6s Chipgate Problems - Consumer Reports
このことから、Consumer Reportsはチップの製造元の違いによる差「chipgate(チップゲート)」はないと結論づけています。
通常使用では問題ない?
TSMC製とサムスン製によるバッテリーの性能差は、おそらく通常使用ではAppleの声明通り「ほとんどない」ものと思われます。
Apple曰く、新iPhoneのA9チップのバッテリー性能差はわずか2~3% | TechCrunch Japan
よって、Webページの閲覧やSNSの利用をメインにしている方は、サムスン製のA9チップだったとしても問題ないでしょう。
一方で、Geekbench 3が実施したような中負荷、つまりハイクオリティなグラフィックを多用するようなゲームを多く遊ぶ人は、性能差が出る可能性があります。ヘビーゲーマーの方は、外出時にモバイルバッテリーを持ち歩くなどの対処をオススメします。