武尊が「7代目」タイガーマスク襲名!では、これまで存在した6人のタイガーマスクとは?
5月24日、キックボクサーの武尊が7代目タイガーマスクを襲名することが発表された。今回の襲名はプロレスデビューを意味するものではなく、初代がこれまで続けてきた社会貢献活動を引き継ぐものだが、その前に「7代目」と聞いてタイガーマスクの数に驚いた人は多いのではないだろうか。そこで、この機会に改めて、初代から6代目までの歴代タイガーマスクについて紹介したい。
初代
テレビ朝日のアニメ『タイガーマスク二世』放映に合わせて1981年に新日本プロレスのリングに現れた。華麗な動きで日本列島に大ブームを巻き起こしたことは、あまりにも知られているが、その役目に佐山サトルを指名したアントニオ猪木の慧眼も見事である。史上初のNWAとWWFのジュニア二冠王に輝いて人気絶頂時に突如引退。開発した必殺技タイガースープレックスは歴代タイガーマスクの他に、今も多くのレスラーに受け継がれている。
2代目
初代引退の翌年、全日本プロレスで復活したタイガーマスクが2代目である。正体は海外遠征中だった三沢光晴で、ジャイアント馬場によって命じられた。デビュー後は瞬く間にNWAインタージュニア王座を獲得したものの、ヘビー級に転向後は苦戦する。結婚式で正体を明かしたのち、1990年に素顔に転向。その後の活躍は言うまでもない。なお、1997年の梶原一騎の追悼興行「格闘技の祭典」に出場した際には金丸義信が中身を務めている。
3代目
1992年に新日本プロレスの旗揚げ20周年記念大会を機に現れたのが3代目で、正体は金本浩二であることは最初から明かされていた。当初はこの記念大会限定であったが、翌年から本格参戦を果たす。初代からも指導を受けるが、怪我の影響もあって試合は少なく、わずか14試合で自らマスクを脱いでしまう。その後は先述した1997年の「格闘技の祭典」で復活を果たし、2代目(金丸義信)とタッグを結成。初代、4代目と対戦してファンを喜ばせた。
4代目
初代が指導したシューティング(修斗)の選手がマスクを被ってプロレスデビューするという新しい事例が4代目である。1995年の「格闘技の祭典」でグレート・サスケ相手にデビューした後、みちのくプロレスに入団。2002年に新日本プロレスに移籍して現在に至る。IWGPジュニアヘビー級王座をはじめ、BEST OF THE SUPER Jr.連覇などタイトル歴も輝かしく、キャリア28年は歴代虎で最も長い。初代との師弟関係は現在も続く。
5代目
4代目のデビューから15年後の2010年、寅年にちなんで梶原一騎の実弟である真樹日佐夫の発案で誕生したのが5代目である。梶原の二十四回忌として開催されたキックボクシング興行で初代とタッグを組んでデビューした。正体については真樹原作の映画『新☆四角いジャングル 虎の紋章』のストーリーともリンクしており、劇中では棚橋弘至とも対戦している。その後は全日本プロレスやリアルジャパンプロレスのリングで活躍した。
6代目
真樹日佐夫急逝後の2013年に開催されたキックボクシング興行に登場。プロレスの試合に出場した初代のセコンドとして登場した。この年に公開された映画『TIGER MASK』とのタイアップで、映画と同じコスチュームでリングに上がったものの、試合はしていない。「正体は藤原敏男だと確信した」との初代の証言を裏付けるかのように藤原は2022年の「藤原祭」に出場した際にはタイガーマスクのコスチューム姿で入場している。
以上6人のタイガーマスクを経て誕生した7代目が武尊だ。今回はプロレスではなく、社会貢献という形で襲名という、まったく新しいタイガーマスクに注目したい。劇画がスタートして55年、現実のプロレスのリングに登場して42年、日本のプロレス界が誇る大名跡をどのように発展させてくれるのか楽しみである。
※文中敬称略