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日本シリーズ3本塁打の頓宮裕真は表彰なし。3本以上のホームランを打って表彰されなかったのは初!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジュリスベル・グラシアル MAR 5, 2017(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

 頓宮裕真(オリックス・バファローズ)は、日本シリーズの7試合中3試合でホームランを打った。第3戦、第6戦、第7戦に1本ずつだ。

 阪神タイガースの選手を含めても、3本塁打は最も多かった。他のホームランは、シェルドン・ノイジー(阪神)が2本、マーウィン・ゴンザレス(オリックス)と紅林弘太郎(オリックス)が各1本だ。

 シリーズMVP(最高殊勲選手)には、近本光司(阪神)が選ばれた。敢闘選手は紅林、優秀選手は森下翔太(阪神)とノイジーと山本由伸(オリックス)だ。そこに、頓宮の名前はなかった。

 2009年以降の15年間に、1度の日本シリーズで3本塁打は、頓宮が6人目だ。その前の5人は、2016年のブランドン・レアードと2019年のジュリスベル・グラシアルがMVPを受賞。2015年の山田哲人(東京ヤクルト・スワローズ)、2016年のブラッド・エルドレッド、2018年の鈴木誠也(現シカゴ・カブス)は、敢闘選手に選ばれている。

 ただ、1シリーズに3本のホームランを打ちながら、MVP、敢闘選手、優秀選手のいずれにも選出されなかったのは、頓宮が初めてではない。今世紀に限っても、2003年のペドロ・バルデスと2008年の中村剛也(埼玉西武ライオンズ)がそう。頓宮を含め、2001年以降にシリーズ3本塁打以上の13人中3人(23.1%)なので、稀というほどでもない。20世紀にも、シリーズ3本塁打で表彰なしの選手はいた。

筆者作成
筆者作成

 頓宮のホームランは、3本ともソロ。シリーズを通し、ホームラン以外で挙げた打点はなかった。2001年以降に1度の日本シリーズで3本塁打以上を記録した13人のうち、5打点未満は、2003年の金本知憲(4打点)と今年の頓宮(3打点)の2人だ。頓宮と同じく、金本もホームラン以外の打点は皆無ながら、ホームランは頓宮より1本多く、史上最多タイの4本を記録した。

 なお、シリーズ4本塁打の延べ12人中、MVPは4人、敢闘選手と優秀選手は3人ずつだ。1969年と1970年の長嶋茂雄、1978年の大杉勝男、1991年の秋山幸二がMVP、1994年の清原和博、2000年の城島健司、2003年の金本が敢闘選手、1963年の王貞治、2003年の城島、2004年の和田一浩は優秀選手に選ばれた。

 あとの2人は、1956年の関口清治が技能賞、1958年の豊田泰光は首位打者賞を手にしている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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