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甲子園で連敗。岩本投手が悔やむ5回の1球《4/22 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
勝ちたかった、という岩本投手(右)。“1軍選手”としての意地が伝わります。

きのう22日も阪神甲子園球場でのウエスタン・中日戦が行われ、前日よりも多い1219人のお客様が観戦されました。前半は阪神・岩本投手と中日・山内投手の投げ合いで、4回が終わった時点でまだ52分しか経っていないという、とてもスピーディーな試合でした。では早速、結果からどうぞ。

《ウエスタン公式戦》4月22日

阪神-中日 7回戦 (甲子園)

中日 000 020 000 = 2

阪神 000 010 000 = 1 

◆バッテリー

【阪神】●岩本(1勝1敗)-サンティアゴ-守屋 / 鶴岡

【中日】○山内(1勝)(6回2/3)-高橋聡(1/3回)-野村(1回)-S祖父江(2敗2S)(1回) / 加藤-杉山(8回~)

◆二塁打 柴田

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率

1]左:柴田  (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .370

〃投:守屋  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

2]三:西田  (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .283

3]二:北條  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .222

4]中:江越  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .333

5]一:中谷  (4-1-0 / 0-0 / 1 / 0) .353

6]捕:鶴岡  (2-1-1 / 0-1 / 0 / 0) .333

7]右左:横田 (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .132

8]遊:植田  (3-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .205

9]投:岩本  (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .000

〃打:田上  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .500

〃投:サン  (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) ―

〃打右:緒方 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .212

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ

岩本 6回 95球 (6-3-3 / 2-2 / 1.50) 144

サン 2回 27球 (0-1-0 / 0-0 / 2.08) 146

守屋 1回 14球 (2-0-0 / 0-0 / 1.50) 143

試合経過・互いに5回の得点だけ

先発の岩本は4回まで散発3安打と1四球のみで無失点でした。3回は先頭・加藤の左前打と谷の犠打、友永の左前打で1死一、三塁。橋爪のバントがフライになり、中谷がダッシュして捕って三塁へ送球!ピンチを切り抜けています。一方、こちらの打線も中日の山内に対して、1回に先頭の柴田が中前打したっきり。あとは3イニング連続で三者凡退です。しかも2回は横田から3者連続三振を奪われました。

0-0で迎えた5回、岩本は赤坂と谷にヒットを許し、友永への四球で2死満塁。続く橋爪に左前タイムリーを浴びて2失点。その裏の攻撃で1死から中谷が左前打と盗塁、鶴岡の右前タイムリーがあったものの、横田が併殺打で1点返しただけです。

初の甲子園に「すごかった!」と感激していた守屋投手。
初の甲子園に「すごかった!」と感激していた守屋投手。

岩本は6回を3者凡退に斬って取り交代。ついでサンティアゴが7回と8回をパーフェクトに抑えました。9回は守屋が登板して、いきなり先頭の和田に中前打されます。三ツ俣の犠打で二塁へ進め、赤坂には初球を左前打され1死一、二塁。ここで鶴岡がマウンドへ行き、サード西田も加わって間を取りました。次の杉山は三ゴロで和田の代走・工藤を三本間に挟んで(5-2-6-1)アウト。この間に走者を進めて二、三塁と変わりますが、最後は谷を143キロのストレートで中飛に打ち取って無失点!

後半の打線は6回に植田がショート内野安打、岩本の代打・田上が犠打で1芝二塁としますが。柴田と西田はともにライナーで無得点。当たりはいいんですけどねえ。7回は北條が三振に倒れたあと江越が左前打、2死後に鶴岡が四球を選んで山内は降板。代わった高橋聡に横田が空振り三振を喫して2者残塁となりました。

8回2死から左中間二塁打を放った柴田選手。打数は少ないものの、打率.370です。
8回2死から左中間二塁打を放った柴田選手。打数は少ないものの、打率.370です。

8回は野村が登板。代打。緒方が素晴らしい打球を右中間にかっ飛ばしたんですが…風に邪魔されて中飛。完璧な当たりだったと思います。続く柴田が左中間へ二塁打を放ち、センター古本の送球エラーで柴田は三塁へ。西田はこれまた快音を響かせてライトへ!しかし井領が少しバックして捕球してしまい、同点タイムリーにならず。9回は三者凡退で試合終了です。

緊張感のあるゲームで学んだこと

まず古屋監督の談話からご紹介します。岩本投手については「よく粘って投げた。ただ5回(2死満塁でカウントが)1-2となった、次の球で決めてくれればよかったなあ。きょうも橋爪にやられた」と苦笑いしながら、前日は与えた2四球がいずれも失点につながり、この日は2点タイムリーを許した中日・橋爪選手の名前を挙げました。「緊張感あるゲームで、1球の大切さを詰めていかないと。ウエスタンは経験豊富なピッチャーが多いから、なかなか点は取れない。中谷も江越も1本づつ打って、好調をキープしている。ただ、1球で変わるのが甲子園という球場。1球の大切さが出たかな」

8回2死から二塁打した柴田選手がエラーで三塁まで進み、西田選手が右飛に倒れた場面は「ランナー二塁だったら外野が前に守って、西田の当たりが抜けたかも…とか考えられるけど、それはわからないしね。でも7回から9回は、みんないい当たりも多かったよ」と振り返りました。

「テーマは“勝つこと”だった」

先発した岩本投手。6回2失点ですが打線が…援護できませんでした。
先発した岩本投手。6回2失点ですが打線が…援護できませんでした。

岩本投手は「フォークで空振りや、最後は三振を取れたのがよかった。でも5回は下位でランナーを出してしまって、そこから失点したことを反省しています。鶴岡さんと組んで、こういう配球もあるんだと思って勉強になりました」とコメント。これはテレビ中継用に広報を通じて出したものです。試合後は、5回の反省から始まりました。橋爪選手にカウント1-2から投げたのは、この日最速の144キロの真っすぐで、判定はボール。「決めたいところでボールになった。そういうところです。勝負にいってフォアボールで満塁、ゴロヒットだけど打ち取りたいところで打たれました。反省?だいぶ反省です」

6回は切り替えて投げられたかと聞かれ「打ち損じっぽいのもあって、自分で押していくピッチングではなかったですね」と納得していない口調。カーブが決まっていなかったことには「どちらかというとスライダーでストライクを取れなかったのが苦しかった」と言います。この日のテーマを聞かれた岩本投手は「勝つことでした」とキッパリ。1軍の選手としてのファーム登板だったわけですが、何か違いはあったかと聞かれ「変わらない。そのために勝とうと思って投げたんです。負けたのが悔しい」と繰り返しました。。

初のリリーフ登板で2回を完ぺきに抑えたサンティアゴ投手。
初のリリーフ登板で2回を完ぺきに抑えたサンティアゴ投手。

来日初のリリーフ登板となったサンティアゴ投手は「気持ちの持ち方としては同じ。タイガースに呼ばれた時から先発、中継ぎ、何でもやると決めていたので」と、特に変わりはないという感じです。おなじみのハードシンカーや、入団会見時に「12時から6時の方向」と表現した縦に大きく曲がるカーブなどでを交えて27球。カーブは「しっかり上からもっと叩いて投げられるよう、継続していきたい。ピッチングコーチもいろいろ教えてくれるので。普段は三振を取るために使うボール」だそうです。

初めての甲子園にフワフワ

9回に登板した守屋投手は、これが初甲子園。その感想を聞いてみました。「すごかったです!景色も、雰囲気も、もう…すごかった。マウンドへ行く時に思いました」。これでお客さんがいっぱいになったら、さらに感動?「はい」とうなづいて、再度グラウンドを見やります。あそこに立っていたんだなあ、と言う感じで。2死二、三塁とピンチを招きながら最後はバシッと直球でセンターフライ。「当たった瞬間に、打ち取った!よかった!と思いました」。ホッとした笑顔がこぼれます。

無失点で投げ終え、鶴岡選手の言葉を聞きながらベンチへ戻る守屋投手(右)。
無失点で投げ終え、鶴岡選手の言葉を聞きながらベンチへ戻る守屋投手(右)。

ただし、ピンチを招いたことには猛省。「実は1死二塁になった時、僕がサインミスをしたんです。順番を間違えて…」。和田選手のヒット、三ツ俣選手の犠打で1死二塁。続く赤坂選手に初球(113キロ)を打たれたんですね。確かに構えたミットの位置とも違ったような。なるほど、それで鶴岡選手がすぐマウンドへ行ったのでしょう。頭をポンと叩いたあと軽くヒジ鉄も入って、最後は背中をポンポンとされていました。

「その時までは、なんかフワフワしていたんです」。え、それは甲子園初登板だからってわけではなく?「いや甲子園だからかもしれません。でも鶴岡さんにガツンとしてもらって、それでフワフワがなくなりました、あとは落ち着いて投げられたと思います」。投げ終えてベンチへ戻る時にはどんな話を?「一塁が空いていたので次で勝負でもいいから思い切って来いと思っていたけど、よかった。ナイスボール!って言ってもらいました」

そこへ原口選手が現れ「甲子園、初めてか?初めてか?そうか。もっと楽しめよ~。僕がファーストにいたら声かけてあげたのにな~」と笑いながら言い、守屋投手もニコニコ。でも「先頭をヒットで出した時点で切り替えていければピンチもなかった」と後悔は続きます。そうですね、もし1軍なら最後まで投げられなかった可能性も。また1つ貴重な経験をしたルーキーです。

甲子園の浜風、恐るべし

最高の感触がまだ手に残っているであろう緒方選手。ベンチでバットを受け取ります。
最高の感触がまだ手に残っているであろう緒方選手。ベンチでバットを受け取ります。

8回に「これは入った!」という大きな当たりが中飛になった緒方選手。昨年6月、1軍の西武戦(現・西武プリンスドーム)で放った第2号を思い出させるような打球でした。ところが「あれよりよかったです。あの時よりいったかなと思いました。西武ドームのは必死すぎて(笑)“いってくれ、いってくれ~!”って思っていたけど、きょうは違った。もっと感触はよかったです。でも…走りながら無理やと思いました」と苦笑い。

そう、あの時間の甲子園は強烈な浜風が吹いていたんですよね。「甲子園の怖さを知りました!まあ振り抜いた結果なので」。そう言いながら「じゃあウエートトレーニングに行ってきます!次は入るようパワーつけに。ウソですよ」と歩いていく緒方選手でした。そこそこ本気だったかも。

「よっしゃあ、タイムリー!」と我々も思った西田選手の当たりでした。
「よっしゃあ、タイムリー!」と我々も思った西田選手の当たりでした。

また8回2死三塁で、同じくライト方向にいい当たりを飛ばした西田選手も、後ろに下がっていた井領選手にキャッチされて右飛。これも浜風に戻された感じです。それに古屋監督が言われた通り、センターのエラーがなくて柴田選手が二塁にいれば、あの打球は前進守備のライトを越えていたかもしれません。でも西田選手は「だとしたらピッチャーが同じところに投げてきていないかも、ってことですよ」と冷静。浜風についても「スライダーなんで入りはしないでしょう。ライト、下がっていましたしね」と、やはり冷静な反応でした。

ことしは中日が苦手…と北條

7回に先頭で空振り三振に倒れた北條選手。
7回に先頭で空振り三振に倒れた北條選手。

最後は北條選手です。19日の広島戦(鳴尾浜)で今季2号ホームランを打ってから、この2試合はノーヒット。「中日戦、ことしは相性悪い!去年はよかったのに。この前のナゴヤ2試合も1本も打ってないんですよ。きのうも、きょうも」と相当悔しがっています。と思ったら「あしたは鳴尾浜なんで打てる気がする。鳴尾浜は大好き!めっちゃボール見やすいんですよ。甲子園は眩しすぎる。晴れたら特に」と素早い切り替え。曇りの鳴尾浜は最高?「サイコーです!」。きょうの試合に期待してください。晴れてはいますけど。

なおチームは19日の広島戦、21日と22日の中日戦の3試合で合計2点しか取れていません。しかも今季2度目の3連敗で借金3となってしまいました。そんな中で中谷選手が3試合連続安打で、少し打率は落としたものの.353でウエスタン・リーグのトップ。江越選手は5試合連続安打中です。柴田選手が先発出場した最近の4試合ですべてヒットを放って、打率を.370と上げています。

きょう23日は鳴尾浜に場所を移しての中日戦。3連敗はなんとしても阻止してほしいですね。先発は岩崎投手、”岩トリオ”の締めをお願いします。なお石崎投手も登板予定と聞きました。週末はイースタン・巨人との交流試合で東京遠征なので、その前にいい勝ち方をしてもらいましょう!

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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