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大阪桐蔭19年ぶり初戦敗退! 超ハイレベルのセンバツ1回戦

森本栄浩毎日放送アナウンサー
センバツ4日目は1回戦とは思えぬハイレベルな攻防が繰り広げられた。(筆者撮影)

 センバツ4日目は予想に違わぬハイレベルな試合が続いた。近畿大会決勝の再戦となった智弁学園(奈良)と大阪桐蔭は、智弁が大阪桐蔭投手陣の乱調につけ込み、8-6で逃げ切って、秋に続き快勝した。大阪桐蔭の甲子園初戦敗退は、平成14(2002)年夏以来、19年ぶり2回目。センバツでは初めてだ

智弁は大阪桐蔭にリベンジ許さず

 今大会はフリー抽選の結果、昨秋の地区大会再戦が3カードあり、これまでの2試合は、秋に敗れていたチームが「リベンジ」していた。中でも最高レベルの1回戦として注目されたのが近畿決勝の再戦となるこのカードで、前の2カードと違い、智弁が大阪桐蔭に連勝した。17日の筆者の展望記事で、「智弁は先手を取り、投手交代機につけ込めるか」と記したが、智弁にとっては理想的な展開だった。

初回の4点で大阪桐蔭の投手起用に狂い

 智弁は初回、6番・植垣洸(3年)の満塁一掃打が効いた。1点で終わっていたら、全然違った展開になっていただろう。その後立ち直った大阪桐蔭エース・松浦慶斗(3年)の打席が好機で回ってきて、代打を送ることになり、4回で降板させざるを得なくなったからだ。結果的には、この早期交代で、大阪桐蔭の投手起用に狂いが生じ、追い上げムードに水を差すことになる。

西谷監督、初の初戦敗退

 2点差に追い上げた直後には、2番手の関戸康介(3年)が四球や暴投で自滅し、大阪桐蔭は取っても取り返される悪循環に。続く7回裏にも、4番手の川井泰志(2年)が失点し、突き放された。6回以降、智弁の西村王雅(3年)を攻め、完投を阻止した打線の奮起がせめてもの救いか。8-6のスコア以上の完敗で、西谷浩一監督(51)にとっても初めての初戦敗退となった。

見事だった智弁の意地

 「守りからリズムを作れなかった」と初回の4失点を悔やんだ西谷監督。「まだまだ力が足りないということ。夏に向け、全てやり直す」と捲土重来を誓ったが、自慢の投手陣が総崩れに近い状態だったのは意外だ。特に復調の兆しがみえていたはずの関戸の状態が気になる。精神面も含め、指導者はしっかりケアしてほしい。こうして大阪桐蔭は力を発揮することなく敗れたが、裏を返せばそれだけ相手が強かったということ。プレッシャーをかけ続け、リベンジを許さなかった智弁の意地は見事というほかない。

市和歌山・小園は実力証明

 第1試合の攻防は、実に見ごたえがあった。市和歌山の最速152キロ右腕・小園健太(3年)は立ち上がりから制球に苦しんで、再三ピンチを招いたが、決定打を許さず県岐阜商を4安打完封。要所で三振を奪ったり、併殺に仕留めるなど、試合巧者につけ入るスキを与えず、今大会ナンバーワン投手の実力を証明した。昨秋、公式戦15打数無安打の7番・亀井新生(ねお=3年)が9回にサヨナラ打を放つなど、チームに勢いがつきそうだ。

タイブレーク寸前の幕切れ

 第3試合も両校ゼロ行進で、こちらは延長に突入。右腕・花田侑樹(3年)から左腕・秋山恭平(3年)へつないだ広島新庄に対し、上田西(長野)は、左腕の山口謙作(3年)が一人で踏ん張る。センバツ史上初のタイブレーク突入かと思われた12回2死1塁から、新庄は4番・花田が右越えに長打を放って、劇的なサヨナラ勝利を収めた。今大会最多の162球目を痛打された山口は、「最後は甘く入ってしまった」と泣き崩れたが、これだけの投球ができたのは、冬の厳しい練習があったからだろう。素晴らしい敗者に拍手!

2年分の甲子園にふさわしい試合の連続

 今大会は1回戦からハイレベルな熱戦が多い。とりわけ4日目は、期待を大きく上回る「超ハイレベル」な攻防が繰り広げられた。2年分の甲子園にふさわしい大会になることは間違いなさそうだ。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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