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ひとくちサイズが嬉しい六本木の老舗銘菓「鶯もち」黄粉をたっぷりあわせた滑らか求肥とこし餡でほっと一息

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

日本を代表する感度の高い街、六本木。六本木ヒルズに東京ミッドタウン、お洒落なレストランにブランドショップなど、お洒落でハイセンスなショッピングやグルメを満喫できるセレブ色の高いエリアですね。

和菓子よりも和食割烹というほうがイメージがつきやすいかと思いますが、実は六本木にも老舗の和菓子屋さんが暖簾を掲げているのです。

笹舟のような趣のある包装
笹舟のような趣のある包装

手の平にそっと収まるサイズ感も素敵
手の平にそっと収まるサイズ感も素敵

創業1856年、青野屋という神田の水飴屋さんを祖とする和菓子屋「麻布青野総本舗」さんが誕生。明治20年までは、現在の一から一駅ほど離れた六本木一丁目駅付近にて近隣の大名下屋敷をはじめとする方々から贔屓にされ、移転してからも周辺のオフィス街で働く方々や芸能関係の方にも愛される老舗となっております。

長年続く銘菓は多々ございますが、その中でも四代目ご主人が役者だったというお兄様をヒントに考案なさったという「鶯もち」をご紹介。

鶯もち
鶯もち

鶯餅の由来は、松尾芭蕉の鶯にまつわる句からきているとか。笹船で寄り添い合う鶯の夫婦に見立てられているのは、一口サイズの求肥にこし餡をたっぷりとつつみきな粉を塗した二粒の餅菓子。

手順に従って開いていくと…
手順に従って開いていくと…

白い小包みが登場
白い小包みが登場

寄り添って眠っているかのような愛らしいお餅がお目見え
寄り添って眠っているかのような愛らしいお餅がお目見え

国産の羽二重粉から練り上げられる求肥は、つーっと糸をひいていくような滑らかさと伸びの良さが印象的。菓子切りで切り分ける際にも実感できるかと思います。

また、麻布青野総本舗さんでは何種類もの厳選された北海道産の小豆を中心にお菓子事に使い分けしてあんこを炊いていらっしゃいますが、鶯もちには特に優れた「雅」という種類を使用。じっくりと炊いたというこし餡はさらりとした甘味で、きめ細やかな求肥と一緒に舌の上で溶けていくため食べ口も心地いいのです。

持ち上げる、というよりも掬うような感覚の方で口元へ
持ち上げる、というよりも掬うような感覚の方で口元へ

北海道産大豆を挽いたというきなこも香ばしさはひしひしと伝わりますが、粒子の繊細さとまろやかな旨味や甘味は、あんこを包んだ求肥餅にたっぷりと纏わせても全く違和感なし。むしろ、引きの良い求肥とこし餡の甘味をより一層印象深い余韻へと昇華してくれるような、ごくごくわずかな苦味がアクセントに。

小さな求肥の中にはこし餡がたっぷり!
小さな求肥の中にはこし餡がたっぷり!

一見笹舟のような包装ですが、手順に沿って開いていくと一枚の大きなお皿のように変化。二重に包まれていることにより黄粉が飛び散りにくく、菓子切りもパッケージに馴染むようセットになっているので、おやつ時の差し入れなどにもきっと喜ばれるのではないでしょうか。

あんこと黄粉の組み合わせは、いつの時代もちょっと肩が抜けるような存在だったのですね。

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ

<麻布青野総本舗>
公式サイト(外部リンク)
東京都港区六本木3-15-21
03-3404-0020
9時30分~19時(土曜・祝日 9時30分~18時)
定休日 日曜・元旦

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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