春のお祝い「イースター」?:死と復活の心理:春のスタートのために
■「イースター」とは
町のあちこちで、「イースター」の文字や飾りを見るようになりました。スーパーやコンビニでも、卵を使った商品などに「春のお祝いイースター」なんてシールがはってあります。タマゴからウサギが顔を出しているような絵が書いてあったりします。
もちろん、イースターは「春のお祭り」ではなく、キリスト教のお祭り「復活祭」です。キリスト教的には、クリスマス以上に重要なイベントです。十字架にかかって死刑になったイエスキリストが、三日目に墓からよみがえったことを記念して行われます。
毎年、春分の日の次の満月の日の後の最初の日曜日が「イースター」です。今年2015年は、4月5日が、イースターです。毎年日にちが変わるので、日本ではなかなか定着しませんが、近年はだんだんメジャーになってきましたね。
欧米では、イースター休暇としてイースターの前後がお休みになることもあります。ニューヨークのイースターパレードも有名です。日本のディズニーランドでも、イースターパレードが行われています。
春らしい楽しいイベントが、イースターです。
■イースターの象徴
イースターと言えば、「イースターエッグ」です。タマゴは、見た目が石のようなのに、命が生まれるという、死と復活の象徴です。きれいな色をつけたゆで卵のイースターエッグを、家のあちこちに隠して子どもが探すといったゲームも行われます。タマゴを丘から転がして遊んだり、タマゴをスプーンに乗せて落とさないように運ぶゲームなども行われます。
冬が終わって暖かな春が来て、みんなで楽しくゲームで遊ぶ、パレードを楽しむ。ほほえましい春の行事が、イースターです。
それから、イースターと言えば「イースターラビット」。ウサギもイースターにはよく登場します。ウサギは、子だくさんなので、昔から繁栄・多産・豊穣・命の象徴でした。イースターでは、ウサギをかたどった飾りや、ウサギの形のチョコレートなども登場します。
イースターの花と言えば、「イースターリリー」。真っ白なユリも、イースターの象徴として使われます。これは、純真さの象徴です。
■死と再生の心理
キリストは、人の形となって地上に来て、素晴らしいことを次々と行い、人類のために一度死に、そしてよみがえり、天に昇ります。こういうお話って、いろいろあります。
映画「ET」もそうです。地球に一人取り残された宇宙人(ET)が、子どもたちと友達になり、不思議な力で子どもを助け幸せにしますが、死んでしまいます。けれどもETはよみがえり、そして宇宙に帰って行きます。
かぐや姫も、不思議な存在が地上にやってきて、そして天に帰る話ですね。
アンパンマン映画の傑作「アンパンマン いのちの星のドーリィ」も、アンパンマンが命をかけて仲間を救い、一度死にますが(新しい顔を持ってきてもらっても受け付けない)、そのあとよみがえる話です。
夢の中で親しい人が死んだり、自分が死ぬ夢を見ると、縁起が悪いと感じたり、不安を感じる人もいます。しかし、夢占い的には、死ぬ夢は演技は悪くないそうです。心理学的にも、死ぬ夢は、死と再生の象徴です。
自分が死ぬ夢も、今までの古い自分が死んで、新しい自分となって生まれ変わることの象徴です。そうなりたい気持ちを持っている人が、死ぬ夢を見ると言えるでしょう。
■3月の別れ、4月のスタート
今時の中学3年生や高校3年生と話をすると、卒業し友人達と別れることをとても不安がっている子たちに出会います。私はラジオの人生相談コーナーも担当していますが、毎年のように卒業したくないと泣きたくなるほど悩んでいる相談が寄せられます。これも、現代の子どもたちの人間関係能力の低下が影響していると思います。
ここまで不安が強くなくても、3月は別れの季節です。さびしい思いをした人もたくさんいるでしょう。でも、新しい生活を始めるためには、古い生活とはさよならをしなくてはなりません。
何か新しいことを始めるためには、古いことは捨てなければなりません。そうして、新しいことがはじまります。
新入社員も、新入生も、転校生も、職場の異動や引っ越しした人たちも。親しい人々と別れ、不安の中で新生活を始めたことでしょう。
まだ不安の中にいる人も沢山いるでしょうが、でも大丈夫です。不安なら、不安があるままで、新生活を始めてみましょう。心の不安がなくなってから活動しようと思っていると、いつまでも不安が下がりにくくなります。動けなくなってしまいます。新しい生活を始めて、新しい活動を始めてみると、不安はだんだん下がっていくでしょう。
新しい母校、新しい職場、新しい我が町です。
昨年度まで、辛い状況にあった人もいるでしょう。そんな人こそ、4月はチャンス。再出発、復活のチャンスです!
「古いものは過ぎ去った。見よ、すべては新しいのである」。(コリント人への第二の手紙 5章17節)