アンパンマン(やなせたかしさん)に学ぶ生まれてきた意味と心の健康
■何のために生まれて何をして生きるのか:やなせたかしさんの思い
おなじみ「アンパンマン」のテーマソング。♪「何のために生まれて、何をして生きるのか」(「アンパンマンのマーチ」作詞:やなせたかし)。
子ども番組の主題歌としては、異色です。当初、番組スタッフは反対したそうですが、今回お亡くなりになられた原作者やなせたかしさんが、押し通したそうです。
<やなせたかしさん>アンパンマンの生みの親、94歳で死去
「何のために生まれてきたのか」。この主題歌の意味、アンパンマンを通して伝えたかったことを、やなせたかしさんはアンパンマンの映画を通して私たちに伝えています。
■アンパンマン いのちの星のドーリィ
『それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ』。2006年7月15日公開の映画。アンパンマンシリーズ通算第18作
やなせたかしさんは、この映画を、あの主題歌の歌詞「何のために生まれて、何をして生きるのか」の問いへの答えだと語っています。
(YouTubeにあったこの映画の予告編は、著作権違反の疑いがあるため削除しました。2013/10/16)
■ドーリィ「人生は自分が楽しむためにある」
お人形のドーリィは、持ち主にひどい目にあって捨てられます。アンパンマンに救われ、「いのちの星」が宿って、動けるようになったドーリィは、好き勝手に生きます。
辛い目にあってきたドーリィは思います。「人生は自分が(自分だけが)楽しむためにある」。
最初は楽しかったのですが、だんだんみんなとの仲が悪くなります。それでも強がっていたのですが、しだいにいのちの星の輝きが小さくなっていきます。彼女は怖くて、不安で仕方がないのですが、相談する相手もいません。
■アンパンマンの思い
アンパンマンは、ドーリィに話します。
「困っている人を助けたとき、心があたたかくなって、その時わかったんだ。僕が何のために生まれてきたのか。何をして生きていくのか、何が僕の幸せか」
それでもドーリィの心は動きませんでした。
■いのちを捧げる
そんなとき、バイキンマンのロボットが大暴れを始めます。アンパンマンもかないません。このままでは、ドーリィちゃんがやられてしまいます。アンパンマンは、体を張ってドーリィを守ります。
「逃げて!アンパンマン」
ドーリィは、叫びますが、アンパンマンはドーリィを守って、そしていのちを失います。もう新しい顔も受け付けません。
その時はじめて、ドーリィは、自分が生まれてきた意味を真剣に考えるのです・・・
■映画を観て
『それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ』
アンパンマン映画の仲でも、最高傑作の一つでしょう。子ども向けの、上映時間30分の映画ですが、作品としても、やなせたかしさんからのストレートなメッセージとしても、おすすめです。親たちの感想を読むと「不覚にも泣いてしまいました」などとありますよ。
■私たちは何のために生まれてきたのか
安っぽい道徳ではありません。大人の都合の押しつけでもありません。宗教でもありません。でも、「受けるよりも与える方が幸い」(聖書)は、科学的(心理学の実証研究上の)事実です。
アンパンマンが言うとおり、人は何か良いことをすると、心があたたかくなり、幸福感が高まることが、実証されています。
私たちは、愛されるために生まれてきました。そしてその愛を伝えるために生まれてきたのだと思います。心理学の実証的研究によれば、感謝の気持ちを表せる人、人に親切にできる人、人を許せる人、こういう人の幸福感が高かったのです。それって、アンパンマンと仲間たちですね。
幸福で健康に生きるためには、愛すること、そして目標をもって熱中できること、そして体を動かすことがポイント。それが、現代心理学の答えです。
■史上再弱の正義の味方
アンパンマンは、たいした武器を持っていません。顔がぬれると、力が無くなります。彼のメインの仕事は、おなかがすいている人に「僕の顔をお食べよ」でしょうか。食べられて顔が小さくなれば、力が弱くなるのに。
やなせたかしさんは、「正義」がわからなくなっている時代に、それでもおなかがすいている人に食べ物をあげることは正義だろうと語っています。
映画「それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ」の中で、アンパンマンはいのちをかけてドーリィを守ります。そのアンパンマンの思いと行為が、ドーリィの氷の心をとかします。
もしもアンパンマンがもっと強くて、余裕しゃくしゃくでドーリィを助けていたら、きっとドーリィは変わらなかったでしょう。
私たちの汗と涙は無駄ではないと思います。
心理学の研究でも、人は自分のために努力してくれた人を好きになり、その人から影響を受けるのです。
■アンパンマンは私・ぼくらはみんな生きている
やなせたかしさんは言います。♪アンパンマンは君さ、勇気をだして(やなせたかし作詞「アンパンマンだいそう」)。
やなせたかしさん作詞の代表曲「手のひらを太陽に」(作曲:いずみたく)。♪僕らはみんな生きている〜は、やなせたかしさんが、もっとも不遇の時代に作られました。生きていれば、汗も流す涙も流す。オケラだってモグラだって、楽して生きていない。スポットライトも当たっていないし、かっこうも良くない。でも、生きている。ぼくらはみんな生きている。やなせたかしさんの想いを引き継いで。
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それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ - Yahoo!映画
映画「それいけ!アンパンマン いのちの星のドーリィ」公開時のページ
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