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元・北海道日本ハムのマーティンが得た2年1750万ドルは高いのか。ここ2年は防御率3点台、来年37歳

宇根夏樹ベースボール・ライター
クリス・マーティン Oct 15, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 先日、クリス・マーティンとボストン・レッドソックスは、2年1750万ドルの契約で合意に達した。ESPNのジェフ・パッサンやMLB.comのジョン・モロシらが報じている。

 総額も年平均額も、これまでの契約を上回る。2016~17年に北海道日本ハム・ファイターズで投げた後、マーティンが手にした契約は、2年400万ドル(2018~19年)、2年1400万ドル(2020~21年)、1年250万ドル(2022年)だ。

 来年の6月初旬に、マーティンは37歳の誕生日を迎える。ここ2シーズンの防御率は、3.95(43.1イニング)と3.05(56.0イニング)だ。年平均875万ドルは、少し高いようにも見える。ちなみに、18.0イニングで防御率1.00の2020年を除くと、日本プロ野球で投げる前も含め、メジャーリーグで防御率3.00未満のシーズンはない。

 今年の夏にシカゴ・カブスからロサンゼルス・ドジャースへ移籍後は、24.2イニングで防御率1.46を記録した。これも、好条件の契約を得た理由の一つだろう。

 だが、それ以上に特筆すべきスタッツがある。今シーズン、マーティンは、奪三振率11.89と与四球率0.80を記録した。1シーズンに50イニング以上を投げ、奪三振率10.00以上&与四球率0.90以下は、ナ・リーグとア・リーグの球史において、延べ4人しかいない。その前の3人は、2016年に10.39&0.66のクレイトン・カーショウ(現FA)、2019年に10.51&0.81のマーティン、2021年に14.32&0.89のリーアム・ヘンドリクス(シカゴ・ホワイトソックス)だ。2012年の上原浩治は、10.75&0.75だが、イニングは36.0だった。

 最初にこのスタッツを記録した直後に、マーティンは、アトランタ・ブレーブスと2年1400万ドルの再契約を交わした。今オフの契約は、それよりも少し高額ながら、球界全体の流れからすると、同水準と看做していいだろう。

 スタットキャストによると、4シームの平均球速は、2019年が95.9マイル、2022年は95.3マイルなので、そう違わない。2020~21年の94.0マイルと94.8マイルを経て、95マイル以上に戻った。レッドソックスでは、セットアッパーではなく、クローザーとしてマウンドに上がるかもしれない。現時点では、クローザー候補の一人だろう。

 なお、今オフ、レッドソックスに加わった日本プロ野球の経験者は、マーティンが2人目だ。2018~19年に中日ドラゴンズで投げたジョエリー・ロドリゲスが、1年200万ドルで入団している。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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