九州では線状降水帯の発生しやすい環境場が続く、関東などは大雷雨のおそれ
九州では線状降水帯の発生しやすい環境場が続く
九州付近に梅雨前線が停滞し、南から際立った暖湿気がたっぷりと流れ込んでいる影響で、前線活動の活発な状態が続いています。
実況天気図と雲の様子をみると、九州付近の梅雨前線付近やそのすぐ南側には、一段と真っ白に輝く積乱雲が発達しており、きょう2日(日)未明の午前1時から2時半頃にかけて、奄美地方の十島村付近で局地的に線状降水帯が発生しました。十島村の宝島では1時間に90.5ミリ、3時間に175.0ミリの猛烈な雨を観測し、解析雨量では3時間に200ミリ以上に達するような集中豪雨となりました。
きょう2日(日)午前9時の段階では、鹿児島県の南端付近に線状降水帯一歩手前の活発な雨雲が発生している状況です。(最新の雨雲の様子)
気象庁からは線状降水帯予測情報は発表されていないものの、九州付近では南部を中心に、これからあす3日(月)にかけても線状降水帯の発生しやすい環境場が続く計算となっていますので、引き続き、十分な警戒を要します。
そして梅雨前線が南下した本州付近でも、引き続き、危険度の高い状態が続きますが、それは上空にかなり強い寒気が流れ込むからです。
下層暖気、上層寒気で、非常に不安定
上図はあす3日(月)午後3時における上空の暖気と寒気の予想を表したものです。上空1500メートル付近では、東日本や西日本は赤色になっており、これは平年より気温が高いことを表しています。その一方で、上空6000メートル付近と上空9000メートル付近では一転して青色になっており、平年より気温が低く、上層には強い寒気が流れ込むことを表しています。
下層で気温が高く、暖かな空気がある一方で、上層で気温が低く、寒気があるというのは、大気の状態が非常に不安定になりやすく、特にあす3日(月)は上空1500メートルと上空6000メートル付近で30度以上の差にもなっており、これは真夏としては非常に危険なサインとなります。
SSIは極めて不安定という判定
大気の安定度をみる指標にSSI(ショワルターの安定指数)というものがあり、これは上空1500メートル付近と上空6000メートル付近の大気の状態で計算されるものです。
おおまかな目安としては、0度~-3度で雷雨の可能性あり、-3度~-6度で激しい雷雨の可能性あり、-6度以下ならば激しい雷雨の可能性が大きい、となっています。
上図はあす3日(月)午後3時と午後6時ののSSIの予想ですが、関東以西には激しい雷雨の可能性が大きいと予想される赤色の-6度以下の領域が広がっており、激しい雷雨(激しいゲリラ雷雨)の危険度が非常に高まることが示唆されています。
関東などは大雷雨のおそれ
実際に関東以西の発雷確率をみると、広く赤色の50%以上と計算されており、特に関東内陸や山梨、中国山地、紀伊半島などで茶色の75%以上と非常に高い計算値となっています。
前橋、熊谷、八王子、甲府など、各都市の予想値は80%から90%以上と極めて高く、東京都心も50%前後に達しています。
梅雨時は、梅雨前線付近の大雨に警戒することはもちろんなのですが、梅雨前線が大きく南下した時も上空に強い寒気が流れ込み、梅雨前線以上の大雨に見舞われることが多々あります。週明けもまさにそのような状態に陥るおそれが高い予想ですから、梅雨の晴れ間が大きく広がったとしても、いわゆるゲリラ雷雨に十分な警戒が必要です。