きのこ狩りをするなら毒キノコを知ろう!! 身近な森に普通に生えている猛毒キノコを豊富な写真と共に紹介
身近な森や林にも間違えて食べると死に至るような猛毒キノコが普通に生えています。
そう言った毒キノコは私達が想像するようないかにも毒々しい姿かたちをしているのでしょうか?
実はそうではありません。
例えば上の写真の白いキノコのようにいかにも食べられそうな美味しそうな姿かたちをしています。
その上、間違えて食べたとしても味はさほど特徴がない物が多いのです。
キノコ狩りをする時に食べられるキノコを覚えておく事は大切ですが、毒キノコを覚えておく事はより以上に大切な事なのです。
身近な森や林、公園などで出会う猛毒キノコ、毒キノコと紛らわしいキノコ、毒はないが食用には適さないキノコ等、キノコ狩りに行った時に森で普通に見ることが出来る代表的ないくつかのキノコを、特徴や見分け方のポイントなどを写真と共に紹介していきます。
* テングタケ科のキノコ
猛毒なキノコを含む一群ですが、里山や公園などにも普通に生えています。
食用になるキノコも何種類か含まれますが、毒キノコが多い科です。
特にドクツルタケ、シロタマゴテングタケ、タマゴテングタケはテングタケ科の猛毒なキノコとして毒キノコ御三家などと呼ばれることもあります。
ドクツルタケ
これら3種類のテングタケ科の猛毒キノコは全体が真っ白な事が共通点です。
キノコの特徴は根本の部分に現れる事が多いです。
キノコを取る前にキノコが生えている生え際の枯れ葉や土をどけて根元部分を良く観察します。
ドクツルタケの生え方は地面から直接生えていて、柄が地面に接する根元部分にはツボと呼ばれる袋状のものが付いています。
このツボが付いている事はテングタケ科の多くのキノコに共通する特徴です。
まだ成長する前の幼いキノコ(幼菌と呼びます)は全体がこのツボの中に収まっており、まるで何かの卵のような形をしています。
キノコの柄の途中にはツバと呼ばれる部分が付いている種類もあります。
例えばドクツルタケには上の写真のようなかなり大きめで明瞭なツバが付いています。
ドクツルタケは全体が真っ白で、地面から直接生えていて、大きさは椎茸ほどで、典型的なキノコの形をしていますが間違えて1本食べると死に至る危険が有ると言われるほどの猛毒なキノコです。
よって白いテングタケ科のキノコはやたらと食べない方が安全です。
シロテングタケ
これも白っぽい色をしたテングタケ科のやや大型のキノコです。
生え方は地面から直接生えます。
1本1本のキノコが比較的近づいて、それでいて少し間隔をおいた状態でポツポツと生えます。
傘の上にはやや粘性が有る薄黄色の皮状の膜が付着しているのが特徴です。
キノコの傘が完全に展開すると、ヒダが傘の縁の方に付着して垂れ下がる事も多いのですが、この傘の縁から垂れ下がるヒダの残骸は消失する個体も多いので注意が必要です。
このように傘の縁から垂れ下がるヒダの残骸は消失している個体は全く違う種類のキノコにも見えるので特に注意します。
シロテングタケに於いては傘の縁から垂れ下がるヒダの残骸は消失している個体でも傘の上にある皮状の膜が無くなる事は滅多にありません。
上の写真のように傘の縁から垂れ下がるヒダの残骸は消失している個体でも柄の上部を良く見ると小さいながらツバが付いているのが確認できます。
シロテングタケは食毒が不明とされていますが、猛毒なテングタケ科のキノコに近縁なため食べない方が無難です。
キリンタケ
毒キノコが多いテングタケ科のキノコは白いキノコばかりではありません。
まるで色や形が椎茸そっくりなキノコもあります。
シイタケは枯れた木の幹や枝に生えますがテングタケ科のキノコの多くは地面から直接生えます。
取ってしまう前の生えている状態で生え方や傘、柄、ヒダなどの状況を良く観察する事はキノコの種類を見極める上でとても大切な事です。
テングタケ科のキノコの特徴でも有るツバが付いています。
ちなみにシイタケにはツバはありません。
柄の根元には、やはりテングタケ科のキノコに多く有るツボが有るのが確認できます。
見た目はお店で良く見かけるシイタケやヒラタケに似ているようにも見えますが、これは毒キノコのテングタケ科のキリンタケです。
上の写真のように単独で生えている場合もあります。
生え方が異なるだけで違うキノコと間違える事もありますので、種類を見極める時はひとつの特徴に頼らず複数の特徴を観察する事はとても大切な事です。
採取してしまうと、例えば生え方とかツボの有無とか一部の特徴が失われてしまう場合も多いですので、キノコ狩りでは必ず取る前の生えている状態で十分に観察して、可能なら各部の写真を撮影しておくと後で種類を見極める際にも役に立ちます。
* ベニタケ科のキノコ
ベニタケ科のキノコもキノコ狩りでは普通に見かけるキノコで、チチタケとかハツタケなどキノコ狩りの対象として食用になる種類も多く存在します。
クロハツの仲間3種類
そんなベニタケ科のキノコの中にも猛毒なキノコが存在しますので注意が必要です。
ベニタケ科のクロハツはやや普通に見られるキノコですが、見た目が良く似た近縁種が3種類知られており、このうちの1種類は猛毒キノコですので注意が必要です。
クロハツの近縁種3種類は同じような環境に生えており、どれもやや普通に存在します。
その上、共通の特徴が多く、キノコ狩り初心者には判別が難しいキノコです。
よってクロハツは食用になるキノコですが、確実な種類の判別が出来ない限り、例えクロハツらしいと思えてもキノコ狩り初心者は食べない方が無難です。
次はやはり森で普通に見かけるかなり大きなキノコですが食用には適さない物を紹介します。
* イグチ科のキノコ
イグチ科のキノコは食用になるキノコが多く、キノコ狩りファンの間ではヤマドリタケモドキとかハナイグチなどキノコ狩りの対象とされる種類も多く存在する科です。
以前はイグチ科のキノコには毒キノコがない、等と言われた事もあったようですが、現在では数種類の毒キノコも知られていますので確実な種類の判定は必須です。
そんなイグチ科のキノコの中で、比較的良く見かけて、形が大きく、これが食べられたら良いなぁ、と思わず思ってしまうが実は食用に適さないと言うキノコを紹介します。
ニガイグチ
ニガイグチの仲間はとにかく大きいキノコです。
傘のヒダの部分はイグチ科のキノコの典型的な特徴である小さな穴が空いたスポンジのような形状の管状になっています。
このようなヒダの事を管孔部(かんこうぶ)と言います。
この管孔部はイグチ科のキノコにしか無い特徴です。
柄は太く特徴的な模様は無く単一のオリーブ色である事が多いです。
柄の表面は滑らかで柄にツバはありません。
柄は上から下まで同じ太さの寸胴型で有ることが多いです。
1本1本が単独で地面から直接生えており柄の根元にツボはありません。
傘の表面に滑りはなく、色はオリーブ色を帯びた茶褐色である事が多いですが、生育環境によっては変化することもあります。
傘の直径は15cmほど、大きなものは更に大きいものも存在します。
ニガイグチは毒は無いと言われていますが、名前のごとく味が非常に苦く食用には適しません。
以上は身近な森で良く見かけるキノコのごく一部です。
この他にも本当に身近な場所に実にたくさんの毒キノコ、毒は無いけれど食用には適さないキノコが生えています。
キノコに出会ったら毒の有無に関係なくとにかく良く観察する事が大切です。
そうすればやがてキノコが身近なものに思えてきてきっと好きになるはずです。
好きになればいずれ知識も蓄積されます。
知っておきたいキノコに関するミニ知識
キノコの部位の名称
- 傘(かさ):柄の最上部に付く雨傘状の部分。円形の種が大半だが、ヘラ状、サンゴ状など傘とは言えないような変化に富む種も多い。
- 襞(ひだ):傘の裏側に付くヒダ状の部分。ここで胞子が生産される。柄との境界の形状は種類を判定する決め手のひとつになる。ヒダではなく管状になっている種もある。
- 柄(え):地表から伸びるいわゆる棒状の部分。この最上部に傘が付く種が多いが、柄自体が判然としない種もある。
- 鍔(つば):柄の中間に付く刀の鍔のような形のもの。種によって形状や付き方が異なる。鍔が無い種も多い。
- 壺(つぼ):形は卵の殻状の事が多いが、壺が無い種類のキノコも多い。
キノコの生え方の名称
- 束生(そくせい):キノコの生え方のひとつ。束になって生える状態。株のような状態で生えること。
- 単生(たんせい):キノコの生え方のひとつ。単独で1本だけで生える状態。
日本に生える野生のキノコは約5千種類とも言われています
市販されているキノコ図鑑に載っているキノコは概ね1000種類です。
しかし、実際に日本に自生するキノコは図鑑に掲載されていない近縁種が各々3〜4種類は有るとも言われています。
という事は図鑑に掲載されていない未知のキノコが約3〜4千種類、既知のキノコと併せて最大5千種類はあると言う事です。
キノコはまだまだ研究途上の生き物と言う事でもあります。
だからこそ確信が持てない野生のキノコは絶対に食べない。
野生のキノコを食べる時は十分な知識と確実な同定そして自己責任で!!
最後までご覧頂きありがとうございます!!
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