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【警報級拡大】インフルエンザ感染が急拡大・週末の忘年会やイベント、年末年始の帰省には最大限の注意を #専門家のまとめ

市川衛医療の「翻訳家」
季節性インフルエンザ感染者推移byモデルナ疫学サイト(12月24日更新)

いまインフルエンザが危険な勢いで拡がっています。各種データからも、コロナ前も含めて稀な勢いで拡大中と推測されます。

来週は年末年始の帰省ラッシュです。インフルエンザの潜伏期は1~3日とされ、この週末に感染すると、気づかず帰省して高齢の親族にひろげる危険があります。

年末年始は医療機関の稼働も十分ではなく、重症化した場合の治療の遅れが起きる可能性があります。この週末に忘年会やライブなど、人が密集するイベントへの参加予定がある等の場合、日程変更の検討を含め最大限の注意をしてください(具体的方法は後述)。

ココがポイント

インフルの定点報告数が2県で警報レベル - 全国は注意報レベル19.06人 感染研
出典:医療介護CBニュース 2024/12/24(火)

「pdm09型」のインフルエンザA型が8割、9割以上です。時々大流行する年のパターンに似ているんではないかと思います。
出典:FNNプライムオンライン 2024/12/23(月)

特に御高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調の悪い方、睡眠不足の方は、人混みや繁華街への外出を控えましょう
出典:厚生労働省「インフルエンザQ&A」

エキスパートの補足・見解

毎年のように流行のニュースを目にするので、「今年もか…」と思われるかもしれませんが、今回は2つの意味で要注意です。

1)流行の勢いが激しく、拡大が続いている

国の発表より直近の傾向がみられるモデルナ社のデータ(記事冒頭の灰色グラフ)によれば、15日から24日までの9日間で感染者数は約2.75倍に増加しています。現在は既に警報レベルの感染が広がり、しかも未だに急拡大が続いていると推測されます。

2)帰省ラッシュが間近

インフルエンザの潜伏期は1-3日で、週末に感染すると帰省の際に発症し、集まりで幼児や高齢の親族に感染を広げるリスクがあります。年末年始は医療機関の稼働が落ち、重症化した場合に治療が迅速に受けられない恐れがあります。

【対策】

1) 外出後の手洗い

 外出の度に、せっけんと流水による手洗いを丁寧にしてください。アルコール製剤による手指衛生も効果があります。

2) 湿度の保持

3)十分な休養とバランスのとれた栄養摂取

4) 人混みや繁華街への外出を控える

 人混みに入る可能性がある場合には、ある程度、飛沫感染等を防ぐことができる不織布(ふしょくふ)製マスクを着用することは一つの防御策と考えられます。

医療の「翻訳家」

(いちかわ・まもる)医療の「翻訳家」/READYFOR(株)基金開発・公共政策責任者/(社)メディカルジャーナリズム勉強会代表/広島大学医学部客員准教授。00年東京大学医学部卒業後、NHK入局。医療・福祉・健康分野をメインに世界各地で取材を行う。16年スタンフォード大学客員研究員。19年Yahoo!ニュース個人オーサーアワード特別賞。21年よりREADYFOR(株)で新型コロナ対策・社会貢献活動の支援などに関わる。主な作品としてNHKスペシャル「睡眠負債が危ない」「医療ビッグデータ」(テレビ番組)、「教養としての健康情報」(書籍)など。

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