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#だーりお こと内田理央が今クールでブレークするのがほぼ確実と言える予兆

境治コピーライター/メディアコンサルタント
なぜなまはげ的な面を持っているのかはドラマを見ればわかる

人気ドラマでユニークな役を演じてきた内田理央

ドラマ好きの人びとにとって、内田理央はここ数年気になる女優だったのではないか。「逃げるは恥だが役に立つ」(2016年10月-12月)に出ていたことでその名を知った人は多いだろう。大谷亮平演じる風見に大胆にアプローチし”ポジティブモンスター”と呼ばれたアクの強い役だった。「恋がヘタでも生きてます」(2017年4月-6月)では男性と割り切って付き合うように見えて実は、という複雑な役柄を演じた。「海月姫」(2018年1月-3月)の三国志オタクでありつつ実はスーパーモデル級のスタイルという奇妙な役は彼女ならではだった。そして「おっさんずラブ」(2018年4月-6月)では主人公の幼なじみで、彼が同性愛に目覚めたあとで自分の恋心に気づく切ない役・ちずを演じていた。ちずは恋に破れたあと、国籍を超えた恋愛を成就させる。

内田理央を記憶してしまうのは美形であるだけでなく、演じてきた役がどれもこれも”何かある”人物だったのが大きい。単なる美人役としての起用以上の、上に書いたようなどこか常人とは違う感覚を持つ役柄を演じさせたくなる何かがあるのだと思う。「海月姫」の内向的な三国志オタクが典型的だが、どこかオタクの香りも漂わせる。そのせいか、早くから「だーりお」とネットっぽい愛称がつけられ、「 #だーりお 」のハッシュタグでツイートされてきた。

そんな内田理央が、4月クールのドラマ「向かいのバズる家族」で主演している。タイトルの通り、SNSでそれぞれバズってしまう家族の物語だ。この設定がまた #だーりお っぽい。前々から気になっていた筆者としては、これは内田理央がブレークするお膳立てが整ったのではないかと感じとった。そこで、データを調べてもらった。

内田理央のブレークは迫っているかデータを見る

エムデータというテレビのメタデータを作成する会社があり、筆者もお手伝いしている。そのメタデータを活用して分析する社内研究機関がライフログ総研で、所長の梅田仁氏にデータ分析を依頼した。

梅田氏が開発したTalent Rankという分析ツールでは、タレントの名前を入力することでそのテレビ番組出演時間、テレビCM出演時間、Twitterメンション数などがパッと出てくる。それらの数値から"ブレークレシオ"を出すことでブレークの予兆が見いだせるという。

できるだけ簡単に説明するとTwitterメンション数をテレビの出演秒数で割った”ブレークレシオ”が1を越えると、それがブレークの予兆になるというのだ。梅田氏はこれを「ブレークラインを超える」と表現する。テレビ出演よりTwitterが盛り上がっているということは、その分ファンのボルテージが高まっていることを示す。ブレークラインを何度も超えていると次の発火点でブレークする、というわけだ。

梅田氏にはちょうど2年前にも田中圭がブレークするかについてデータを出してもらった。内田理央も出ていた「恋ヘタ」に田中圭が主演することでブレークするかどうかを見てもらったのだ。

「恋ヘタ」で田中圭は、星野源・高橋一生に続くか?~テレビとネットからブレイクを予測する~

星野源や高橋一生は明らかにブレークライン(当時の言い方はT-Ratio)を何度も超えて予兆があり、その後ブレークした。田中圭についてはこの時、こう書いている。

「星野源・高橋一生と比べると、本当のブレークはもう少し先かもしれない。「恋ヘタ」に続いてどんなドラマに出るのかが、ポイントになりそうだ。」

一年後に「おっさんずラブ」で誰もが認めるブレークを果たしたので、当たったと言えそうだ。

では内田理央はどうか、もらったグラフはこんなものだった。

データ:エムデータ社TalentRankより
データ:エムデータ社TalentRankより

上からこのツールで独自に算出したタレント偏差値、テレビ番組出演時間、テレビCM出演時間、Twitterメンション数だ。Twitterのグラフにブレークするかどうかを見るブレークレシオの折れ線グラフが重ねて表示されている。ここではそこが注目ポイントだ。

このサイズではわかりにくいので、該当部分を抜き出してみた。

データ:エムデータ社TalentRankより
データ:エムデータ社TalentRankより

赤い折れ線がブレークレシオで、まっすぐの赤い線がブレークライン。折れ線がラインを超えていると予兆になる。2017年は2月と12月にラインを超えている他、7月にも0.8まで高まっていた。

データ:エムデータ社TalentRankより
データ:エムデータ社TalentRankより

そして2018年は5月にガツンとラインを超えている。そう、「おっさんずラブ」の出演時だ。この時Twitterがいかに盛り上がったかがわかる。あのドラマが内田理央にとって大きな節目になったようだ。

こうして見てみると、この2年間で何度もブレークラインを超えたことがわかる。予兆があると言えそうだ。梅田氏も「ここ2年間はブレークの予兆を出しまくっていたと言えます。もうひと押しのきっかけ(多分主演)が得られれば、いつでも大噴火する状態であったと言っていいと思います。」と述べている。

そして梅田氏が教えてくれたのが、直近の状況だ。

データ:エムデータ社TalentRankより
データ:エムデータ社TalentRankより

Twitterメンション数だけをみた時、1万件を超えるとメジャーブレーク状態を示すそうだ。それがこの3月末に突如2万7千件に達したという。完全にブレークのサインだ。もちろん4月からのドラマ主演に対するファンの反応だろう。

大噴火の直前ギリギリまで充満していたマグマが、ドラマを機に一気に大噴火しようとしている。今この瞬間に、爆発が始まっているのかもしれない。なお、他のタレントについても見たいという人は、このTalentRankの結果をレポートする「タレント四季報」を見てみるといいかもしれない。

だーりお らしいひねりのある役どころ

画像提供:読売テレビ
画像提供:読売テレビ

「向かいのバズる家族」での主演が発火点になりそうなのが、演じるのがまた内田理央らしいひねりがある役どころだからだ。表向きはカフェのキュートな店長さんで、たまたまネットでバズった動画により注目される存在となる。そこだけ取るとごく普通の女性の役。だが彼女には仮面をつけて匿名で撮った動画でストレス発散する、誰にも知られたくない裏の顔がある。

ありえないようで他人事と思えない現実味もある設定で、女性の共感も高い。内田理央ならではの役柄が視聴者としても楽しめそうだ。

→内田理央演じる主人公がSNSで崩壊していく様子に「他人事と思えない!」の声(第一話の読みテレ記事)

「向かいのバズる家族」ではドラマの世界観をネット上にも出現させた新味あるプロモーションも展開している。

→「ナマハゲチョップ」Twitterアカウント

→バズナビニュース

これらがドラマと並行してどう展開するかも見ものだ。

ということで、これまでの流れを示すデータとしても、ドラマの内容としても、内田理央がブレークする前提が整ったと言えそうだ。果たして実際どうなるか。ドラマの展開とともに見届けたいと思う。

コピーライター/メディアコンサルタント

1962年福岡市生まれ。東京大学卒業後、広告会社I&Sに入社しコピーライターになり、93年からフリーランスとして活動。その後、映像制作会社ロボット、ビデオプロモーションに勤務したのち、2013年から再びフリーランスとなり、メディアコンサルタントとして活動中。有料マガジン「テレビとネットの横断業界誌 MediaBorder」発行。著書「拡張するテレビ-広告と動画とコンテンツビジネスの未来」宣伝会議社刊 「爆発的ヒットは”想い”から生まれる」大和書房刊 新著「嫌われモノの広告は再生するか」イーストプレス刊 TVメタデータを作成する株式会社エム・データ顧問研究員

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