「北朝鮮最新動向」韓国国会で報告される 正恩氏は「健康」、新型コロナは「失敗時には死刑可」
北朝鮮の最新動向のうち、韓国が気にかけているのはどういったもの?
3日、大統領直属の韓国国家情報院のレポートが、韓国国会で報告された。情報委員会の国政監査にて与野党の担当議員が情報を伝えたもの。
一部の日本メディアでは先週「金正恩朝鮮労働党委員長の体重は140キロ台」という点を中心に取り上げたが、じつは金正恩委員長の動向ほか、与正氏、「海上での韓国人銃殺事件」以降の動向、新型コロナ対策への苦慮ぶりなどが伝えられた。
いわゆる最新の「韓国オフィシャル情報」だ。その詳細を。
- 報告時の様子
金正恩氏 「2014年に杖をついて歩いていた症状は回復」
・過去には工場を現場訪問するなど様々な活動を見せていたが、最近は労働党関係の会議に集中している。
・2020年に金委員長が直接開催した会議は17回。
・2014年当時は足が水ぶくれのようになっており、杖をついて歩いていたが、それは治った。
・現在は無理なく階段や坂道を歩くなど正常に歩行している。
・毎年6~7キロ太っている。現在は推定140キロ台。
・かなり太りはしたが若いため肥満は健康に大きな害となっていない。
・軍での現在の地位は「元帥」だが、今後、故金日成・金正日氏などと同じ「大元帥」に格上げされるだろう。
- 金正恩氏の近影
金与正氏
・7月末から2ヶ月間公式の場に姿を表さなかったのは、金正恩委員長に随行しなかったということ。
・これは2ヶ月間に渡りコロナ防疫・水害など別の懸案事項をケアしていたため。
・来年1月の第8回答大会では金与正の立場に合う役職が与えられるかどうか、韓国側は注視している。
- 10月2日、金正恩氏とともに水害被災地を視察する金与正氏
「海上での韓国人銃殺事件後の状況」
・9月下旬の事件以降、米韓の情報傍受をより多く行っている。
・あわせて自国の情報の監視を防ぐために通信量を減らし、隠語や暗号でやりとりをしている。
・金正恩氏が直接、真相調査の指示を出した。
”正恩氏が真相調査指示”が、韓国メディアの最大の関心ポイントだった。これを見出しに多くの記事が書かれた。
- 事件を報じる「聯合ニュース」
新型コロナ
・今年2月27日の政治局会議では苦しい展望が話し合われた。「新型コロナ流入時には大きな災難となる。死者は30万人になるか、あるいは50万人にまで達するかもしれない」「新型コロナを防ぐ手段はゼロ」。
・物質的・技術的に新型コロナへの対応手段がないためコロナ禍が早くもトラウマのような状態になっている。
・非常防疫法に「コロナをしっかりと管理できない幹部は死刑申告も可能」という規定が作られた。
・国境を封鎖するだけではなく中国との国境地帯の一部に地雷を埋めた。
・最近では感染の危険性から重症患者を鉄道で移送した例もある。
・感染防止の理由から韓国のものを含む外部の物資を一切搬入させていない。8月に税関で物質を搬入した職員が大々的に処罰された。
・とはいえ中国から食糧はかなり入ってきている。
- 北朝鮮のコロナ報道の様子を伝えるSBS
歴史的水害
・今夏の水害では、鉱物が最も多く埋蔵されている咸鏡道・剣徳(コムドク)などに大きな浸水被害が出た。8月~9月の鉛、亜鉛の生産量が30%落ちた。
・秋の穀物の出荷量も平年に比べ20万トン落ちた。
参考記事:「鉱山開発」こそが超有望な北朝鮮ビジネスだ/東洋経済
「健康説は本当?」東亜日報コラムが大いに指摘「舌や口内にも脂肪が…」
韓国国内各メディアは、およそ伝えられた内容を報じたが、もちろん「ツッコミ」なしだったわけではない。保守系の大手紙「東亜日報」は「金正恩氏健康説」に指摘を入れた。
5日に掲載されたコラムはズバリ「140キロの金正恩」。
金正恩氏の身長を「170センチから172センチ」とし、「2012年には体重90キロだった」とした。
要は「健康じゃないだろう」とツッコミを入れたのだ。
正恩氏は韓国相撲「シルム」に例えると、最重量級の体重になったという。いっぽうその体型は「シルムというより、脂肪量の多い日本の相撲選手のよう」だとも。相撲界では力士が1万キロカロリーを摂取した直後に寝る方法で体重を増やすと紹介した。
また「172センチ 140キロ」についてよく考えてみようと、ある例を示した。「この身長の男性の平均体重は77.7kgだが、これが60キロの米俵を背負って歩いているのと同じだ」とした。
さらに医師のコメントを加えて「健康が怪しい」とした。
「業務ストレスなどで暴飲暴食をしていると見られる。健康的な太り方には見えない」(パク・ヨンウ江南サムスン病院教授)
「あれほど太っていたら、口の中にも舌にも脂肪がついてて、気道が狭まり、横になって眠るのも苦しいだろう。何かに寄っかかって座って寝ているのではないかと推測する」(オ・ハンジン乙支大病院教授)
同コラムは「金正恩氏に対しては欧州留学経験のある最高の医療陣10人がついている。また食事については金正日時代に選抜された調理師が担当している」と紹介。
しかし「例えば喫煙について、誰も注意ができない」とした。