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ノート(6) いよいよ最高検が逮捕に向けて捜査を開始する

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~葛藤編(3)

逮捕当日(続)

指揮と決裁

 厚労省の虚偽証明書事件に対する強制捜査の着手や、その後の起訴、保釈阻止、公判での立証活動などは、いずれも最高検や大阪高検の指揮、決裁を受けつつ、大阪地検が組織を挙げて取り組んでいた問題だった。

 「検察ストーリー」と揶揄(やゆ)される事件の全体像、着手や起訴のタイミング、事件関係者の取調べ時期、サインさせる供述調書の内容、捜索場所の選定、公判で読み上げる書面、出すべき証拠やその順序など、どれ一つとっても、幹部から細々とした注文がついていた。

 元課長の起訴後、証拠改ざんに至った際、背中を押される決定的な要因となったのも、ある指示が検事総長から下りてきたからだった。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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