Yahoo!ニュース

ノート(4) 証拠改ざん事件による逮捕当日、逮捕されるまでに何があったのか

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~葛藤編(1)

逮捕当日

自宅へ

 タクシーが官舎に着くと、9月21日の午前2時を回っていた。官舎の敷地には防犯用の照明があったが、敷地内の駐車場で何度も車上荒しの被害が出るほど、薄暗いものだった。

 朝日新聞が朝刊で改ざん疑惑を報じるという話だったので、僕のコメントを取るため、記者が待ち構えているものと予想していた。しかし、周囲をうかがったものの、意外にも夜討ちはなかった。

 事件の真相を知るのは僕であり、僕から時間をかけて話を聞かなければ正確な記事など絶対に書けないはずだったので、妙に不気味だった。僕はそのままエレベーターで官舎の5階まで上がり、3LDKの自宅に入った。

この記事は有料です。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバーをお申し込みください。

元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバー 2016年1月

税込1,100(記事3本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

前田恒彦の最近の記事