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本や新聞を読んでいる人と出会いたい。話や価値観が合いやすいから~お見合いおじさん活動月報(22)~

大宮冬洋フリーライター
男女ともに「自分で相手を選びたい」。それが現代人です。イラスト:つぼいひろき

 自分も楽しくて他人の役にも立てる趣味がほしいと思ったのです。恋バナと会食が大好きな僕が見つけたのが、お見合いおじさん活動:略称おみおじ。自分の周囲にいる独身男女に声をかけて引き合わせる活動です。

 僕は友人でもあるイラストレーターのつぼい氏と組んで、2014年の春からおみおじを楽しんでいます(今までの活動レポートはこちらこちら)。僕の人脈をオネット(大宮ネットワーク)、つぼいさんの人脈はツヴォイと称して、男女それぞれ4人の会員に良さそうな独身者を紹介しているのです。

 僕たちのおみおじによって結婚した人は今のところ1人のみ。でも、まだ独身の会員からも感謝されていますよ。友人知人のお墨付きの独身異性と出会えることって、年齢を重ねるごとに少なくなっていくからです。おみおじで恋愛感度を向上させ、別の場所で見つけた相手と結ばれた「卒業生」は過去4人います。「私は婚活に向いていないことがわかった」と去って行った人は5人もいますが、それもまた有意義な自己発見ですよね。

 結婚願望がある独身男女に優しくお節介する! 愛すべき隣人の婚活を結婚相談所やネットだけに任せておかない! 全国に広まってほしい「おみおじ」の実例をリポートします。

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マッチング音痴の僕。でも、男女が自由に出会える「場」は作れます

 おみおじ活動を始めて4年半が経過しました。先日、妻から衝撃的な指摘をされたのです。

「あなたにはマッチングのセンスがないと思う。何組かのお見合いを見せてもらったけれど、明らかに的外れな組み合わせばかり!」

 いやー、厳しいですね。悔し涙も出ません。確かに僕は直感でお見合いをセッティングしていますが、肝心の直感力が低いことは否めません。音痴で方向音痴、おまけに運痴(運動音痴)なのは自覚していました。まさかマッ痴(マッチング音痴)でもあったとは……。

 僕にも取り柄はあります。やたらに飲み会を開いて、人に集まってもらえること。家飲みや小さな同窓会を含めると、週1ペースで何らかの飲み会を企画しています。

 そのうちの1つが、読者の人たちとの交流飲み会である「スナック大宮」です。東京・愛知・大阪のいずれかで月2ペースで開催していて、毎回20人ぐらいで楽しく飲んでいます。婚活パーティーではないのですが、独身の参加者が多いのが特徴です。

 最近はお客さん同士がカップルになるケースも増えて来ました。サッカーに例えれば、僕はアシストでゴールに導くのではなく、グラウンドを整備するほうが向いているのかもしれません。

 というわけで、今回はスナック大宮で生まれたカップルを紹介させてください。健康関連のお店を経営している三浦謙一さん(53歳)と、シングルマザーで会社員の佐久間香織さん(41歳)。ちなみに謙一さんもバツイチです。

帰り道でLINE交換。翌日にメッセージ送信。「今夜、飲みに行きませんか?」

 色白美人の香織さんが初めてスナック大宮に来てくれたのは去年の春だったと記憶しています。明るくて気遣いもできるところに僕は惚れ込みましたね。以来、「ありがたいお客さん」としてときどき参加してもらっています。香織さんがスナック大宮に来るようになったきっかけは離婚して独身に戻ったことです。

「前の夫とは3年間別居してから離婚しました。いま、大学生と高校生の息子2人と3人暮らしです。以前は彼らの部活動のサポートに自分の時間をつぎ込んでいましたが、それがなくなったら土日がぽっかり暇になります。一緒にお出かけできる人がいればいいな、出会いがあればいいな、と思っていました」

 香織さんは建設関連の会社で長く働いていて、職場では「女帝」と呼ばれているそうです。尊敬しているようでちょっと失礼な呼び名ですね。職場恋愛などは期待できなさそうです。

 一方の謙一さんは昨年まで東北地方で暮らしていました。僕のネット記事を通してスナック大宮は以前から知っていたそうです。東京に引っ越すことになり、スナック大宮に初参加し、香織さんと出会ったのが昨年の秋でした。

「同じテーブルになって話が盛り上がりました。香織さんは見た目がタイプだし、笑顔が素敵です。お友だちになりたいなと思ってLINEを交換し、翌日にさっそく『今夜、飲みませんか?』と誘ったら応じてもらいました」

 さすがバブル世代、スピード感がありますね。しかも謙一さんはその日に告白をしたそうです。

「彼氏はいない? そうなんだー。ふーん。じゃあ、オレと付き合わない?」

 軽い! これならば香織さんもとりあえず断ることができます。好意だけは受け取り、後からゆっくり謙一さんとの関係性を検討すればいいのです。

軽い、しぶとい、ひたすら優しい。これが本物のバブル世代だ

 謙一さんはいったんあきらめますが、LINEでのやりとりはときどき続けていました。この距離感が大事ですよね。そして、数週間後に香織さんのほうからささやかなアプローチをします。お店を開業する準備をしていた謙一さんを気遣うメッセージを送ったのです。

「開店日を覚えていてくれたんだ!と感激しました。もちろん、飲みに誘いました」

 再び会ったとき、香織さんの気持ちは「また会って話したい」に変化していたそうです。軽い男に見えた謙一さんの誠意が伝わったのでしょう。

「バラエティ番組の話しかできない男性とは会話が続きません。スナック大宮に来る人は本や新聞を読んでいる層なので、話や価値観が合いやすいのだと思います。ただし、謙一さんみたいに押しが強い人は男女ともに少ないですね」

 うーん、おっしゃる通りです。セクハラは困りますが、お互いに様子見では何も進みません。少しでも気になる人がいたら連絡先を交換して、翌日にはメッセージを送ってデートの約束をし、1回目もしくは2回目のデートが楽しければ交際を申し込む、ぐらいの軽やかさが欲しいのです。今の時代、女性がリードしてもいいと思います。

 いま、謙一さんと香織さんはとても順調です。「おはよう」から「おやすみ」までをLINEでやりとりし、週末にはデートをしています。料理が得意な謙一さんは、香織さんを自宅に招いていろんな料理を振る舞うのが楽しみなのだそうです。

「僕も結婚に1回失敗しているので、今から急いで結婚しようとは思っていません。香織さんには2人の息子くんがいるので、今は僕がナンバー3であることは仕方のないことです。いつか彼らが巣立ったときに、香織さんが僕をナンバー1だと言ってくれる日を待つしかありません」

 大人の余裕と優しさが感じられる発言ですね。ぴったり寄り添って笑う2人を前にして、「こうなるとわかっていたよ」と後出しで言いたくなりました。お幸せに!

(僕とつぼいさん以外の登場人物は仮名です)

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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