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間もなくゴング! 王者が体重オーバーしたWBC/WBOスーパーフェザー級タイトルマッチ

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
130パウンドがリミットのスーパーフェザー級で、131.6パウンドで失格(写真:ロイター/アフロ)

 18戦全勝9KOでWBC/WBOスーパーフェザー級のベルトを巻くシャクール・スティーブンソンが(25)、今夜、世界チャンプとなって初めて故郷----ニュージャージー州ニューアーク----のリングに上がる筈だった。

 対戦相手は17勝(8KO)1敗でWBCでもWBOでも2位にランクされる、ロブソン・コンセイサン(33)。

 しかし、スティーブンソンが前日計量で1.6パウンドのオーバー。タイトルを剥奪された。コンセイサンが勝てば2冠王者、スティーブンソンが白星を挙げても、空位となる。

写真:ロイター/アフロ

 WBO王者だったスティーブンソンは今年4月、WBCチャンピオンのオスカー・バルデスをワンサイドの判定で下して2冠を達成。同ファイトで自身の株を大いに上げたところだった……。

 スピーディーなサウスポーである25歳は、カウンターの名手でもあり、高評価するボクシング関係者は多かった。

自国開催の五輪で金メダルを獲得した挑戦者
自国開催の五輪で金メダルを獲得した挑戦者写真:ロイター/アフロ

 一方のコンセイサンは、2016年リオ五輪ライト級の金メダリスト。2021年9月10日にバルデスが保持していたWBCタイトルに挑戦し、0-3の判定で敗れたのが唯一の黒星だ。

 同ファイトでは「アマチュアのスタイルが抜けていない」と批評されたが、本人はその結果に納得していない。雪辱を誓った彼が、敗戦をどのように生かすかが見物だった。

写真:ロイター/アフロ

 試合2日前に行われた最終記者会見で金メダリストは述べた。

 「この試合に人生の全てを懸けています。意欲をもってやってきました。前回の世界戦では、自分がオスカー・バルデスよりいい選手だと世界中に示せたでしょう。勝ったのは私ですよ。

 今回の試合も、本来なら統一戦だった筈。タイトルは無いけれど、私はチャンピオンです。必ず勝ってみせます」

写真:ロイター/アフロ

 今となっては空虚に聞こえるが、"前"チャンピオンも語っていた。

 「コンセイサンはいい選手だが、バルデス戦は負けていたよ。俺はバルデスを下しているんだ。コンセイサンは、前回の試合前にコロナにかかったとか何とか抜かしていたな。色んな言い訳を耳にした。

 この試合は、言い訳無しにしてほしいね。ヤツを倒す準備は完璧だ。俺はジャッジに不満を持ったことなんて無い。やるべきことをやるだけだ」

 今日のファイトは、リオ五輪バンタム級の銀メダリストvs.同ライト級金メダリストでもある。歳月は男たちの立場を変えた。どんな試合となるか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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