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レジェンド朴セリの目に映る女子ゴルフ最前線「大事なのは夢と情熱とリスペクト」

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
朴セリ(撮影:KANG MYUNG HO)

朴セリ独占インタビュー(2)

女子ゴルフ界のレジェンドと言える朴セリ。その実績を知れば、なぜ彼女が“レジェンド”であるかがよくわかる。

例えば優勝回数だ。1977年に生まれた朴セリは、1992年に当時中学3年のアマチュアながら招待出場したKLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)ツアーで初優勝。以降、アマチュア3年間でツアー6勝を果たすと、プロ転向した1997年には2勝を飾り、20歳でアメリカへ。

1998年にいきなり「全米女子オープン」と「全米プロゴルフ選手権」を制して一躍、世界の女子ゴルフ界のトップ選手に躍り出た。

2016年10月に現役引退するまで、LPGA(アメリカ女子プロゴルフ協会)通算25勝。そのうちメジャー優勝回数は5回を数え、2007年には韓国人としてはもちろん、アジア人として初めてLPGAの殿堂入りを果たした。こうした実績から韓国では現役引退した今でも「好きなゴルファー・ランキング」の上位にある。

(参考記事:「韓国人が本当に好きな韓国ゴルファー」トップ5を紹介。1位はイ・ボミでもアン・シネでもない!?

そんな朴セリは自身のキャリアと現在の女子ゴルフについてどんな感想を持っているのか。それがロングインタビューの最初のテーマになった。

―引退して2年になりますが、ご自身が積み上げた実績やキャリアについて、今、改めて感じることはありますか?

「私は運がよく、本当に幸せな選手生活でしたね。もともと大きな夢を抱いていたし、その夢を実現させようと努力もしたし、自信もありましたが、優勝したり記録を作るたびに“本当に私が成し遂げたのか”と信じられなかったこともありました。運が良かったと思います。というのも、“ドリーム・カム・トゥルー”とは言いますが、誰もが夢を実現できるわけではないじゃないですか。私は運よく夢を実現できた。それに尽きます」

―ただ、1998年当時はアジア人がアメリカで大活躍する姿など、誰も想像していなかったと思います。アメリカで成功できた理由はなんだと思いますか?

「小学生のときにゴルフを始めたときから、その時点で目指せる“最高”になりたいという願望が強ったんですね。アマからプロ、韓国からアメリカへと舞台を移したのもそんな気持ちに駆り立てられたから。アメリカに行ったのも“経験したい”“腕試しがしたい”というものではなく、世界的な選手たちと真剣勝負をして真のチャンピオンになりたかったから。そのひとつの目標だけを持って挑んだことが、成功要因になったと思います」

―その夢は1998年全米オープン優勝で実現するわけですが、その後も持続的に結果を残せた理由は何でしょう?

「情熱ですね。ゴルフが大好きでしたし、“最高になりたい”ということに一切妥協もできませんでした。そのために自分のすべてを投じることができたし、すべての生活パターンがゴルフのためでした。そういう惜しみない犠牲があったから夢も実現できたと思います」

朴セリ(撮影:KANG MYUNG HO)
朴セリ(撮影:KANG MYUNG HO)

―まさにゴルフに純粋な情熱を注いできたわけですが、現在の女子ゴルフ界をどう見ていますか?

「とても発展、成長、レベルアップしましたよね。それは韓国だけに限った話ではありません。日本、中華圏、東南アジアなど、アジア全体の女子ゴルフが飛躍的に発展したと思います。それはLPGAツアーに出場しているアジア人選手の数の多さにも現れていますよね。アジアの女子ゴルフはとても将来性があり、有望なのではないでしょうか。韓国はわずか20年足らずのスピードで急速に力をつけましたが、韓国だけではなく、アジア全体の女子ゴルフが発展し、“アジアが世界のトップだ”とされるような時代が来ることが私の今の夢でもあります」

―ただ、今年5月にはタイガー・ウッズの元コーチが、アメリカで活躍する韓国人選手の多さを皮肉るようなコメントを発して物議を呼んだこともありました。

「あのコメントはよくないですよね。LPGAという最高の舞台で一番になろうと、すべての選手が努力し、フェアに戦いながら、それこそ“善意の競争”を展開しているわけで、そうした女子ゴルフに携わるすべての選手・関係者への敬意と尊重を欠いたコメントでした。他人を敬いリスペクトしてこそ、彼もコーチとしてリスペクトされるわけじゃないですか。あの発言はプロらしくないものでした」

―夢と情熱とリスペクトが大事だということですね。

「ええ。そういった話を後輩たちにも良くします。私が現役時代に経験して感じたことも、機会があればよく話すようにしていますよ」

*この記事は韓国スポーツ新聞『スポーツソウル』の協力で実現した独占インタビューであり、本稿掲載の許可を得ています。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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