平日就労時間は8.01時間…アメリカ合衆国の就業者の労働実情をさぐる(2023年公開版)
現役世代のほとんどの人は何らかの形で職に就き、労働行為は社会を維持し動かし、就業者は労働対価で生活している。その実情はアメリカ合衆国でも変わりがない。同国の就業者の実情をアメリカ合衆国労働省労働統計局の公開情報「American Time Use Survey」を基に確認する。
最初に示すのは、直近の2022年における就業者の実数。今件データは基本的に15歳以上の動向を対象としている。またフル・パートの区分だが、労働統計局の統計においては、週35時間以上の就業状態にある人をフルタイム就業者、35時間未満をパートタイム就業者と定義している。日本では例えば厚生労働省の賃金構造基本統計調査においてはパートタイムに該当する短時間労働者を「同一事業所の一般の労働者より1日の所定労働時間が短い、または1日の所定労働時間が同じでも1週の所定労働日数が少ない労働者」と定めており、定義が異なるため、一概に日本のパートなどとは同じとは限らないことに注意が必要。
2022年時点での15歳以上の就業者数は1億7020万人。うち男性は9055万人、女性は7965万人。男性はフルタイムが多分だが、女性はパートタイムも多い。学歴別では元々その学歴の人の多い少ないも影響しているが、大卒以上の人が圧倒的に多い。これもまたアメリカ合衆国のパワーを支える原動力の一つといえる(「大卒以上の学歴を持つ就業者が7000万人近くいる」との言葉の意味するものを考えればよく分かる)。
日本でもよく話題に上る、フルタイム・パートタイムの就業者比率を算出すると次の通りとなる。
男性は83.9%、女性でも74.5%がフルタイム。上記で説明の通り、フルタイム・パートタイムの定義が異なるのが原因ではあるが、日本と比べると女性のパートタイム就業者比率が低い感はある。
続いてそれぞれの属性における、一日あたりの平均就労時間。残業云々の定義は説明上にないが、少なくとも統計局に回答している数字である以上、就労時間であることに違いない。なお平日と土日祭日で区分がされているのは、平日は休みで土日だけ働くケースもあり、また残業などで休みの日に出勤している場合もあるからに他ならない。
全体の平均就労時間は平日で8.01時間、土日祭日で5.55時間。男性では平日はフルタイムは8時間台となり、パートタイムは5時間台となる。
学歴別では平日の就労時間は意外にもほとんど違いは無し。しかし土日祭日の就労時間はおおよそ低学歴ほど長くなる。高学歴となるに連れて、土日などに働くとしても短時間で済むと理解すればよいのだろうか。
なお今件資料ではそれぞれの属性における就労者総数と、平日・土日祭日それぞれで働いている人の人数が示されている。これらを掛け合わせることで、平日だけでなく休日も出勤している人の割合を(概算だが)算出することが可能となる。無論元から平日・休日を問わずに働くようにしている人もいるはずで、また、たまたま回答時に休日出勤だった可能性もある。とはいえ、一つの指標としては注目に値する。
あくまでも計算上だが、パートタイム労働者は男女ともにゼロ。男性では15.6%、女性も5.0%が平日のみならず休日も就労している。また学歴別では特に傾向のような動きはない。色々と考えさせられる結果には違いない。
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