追悼、WBA/WBCミドル級チャンピオン、アラン・ミンター
英国ボクシング界が現地時間9月10日に出した声明によると、元WBA/WBCミドル級チャンピオンのアラン・ミンター氏が亡くなったそうだ。詳細はまだ伝わって来ないが、癌に侵され、激しい闘病生活を送っていたらしい。
ミンター氏は1972年のミュンヘン五輪で銅メダルを獲得後、プロに転向。サウスポーの技巧派として鳴らし、英国王者、ヨーロッパ王者を経て、1980年3月16日、ビト・アンツォフェルモ(イタリア)を15回判定で下してWBA/WBCミドル級タイトルを獲得。3カ月後のリターンマッチでは8ラウンドTKO勝ちを収め、防衛に成功した。
1980年9月27日、2度目の防衛戦で、当時"無冠の帝王"として恐れられていたマービン・ハグラーの挑戦を受け、3ラウンドKOで敗れる。その1年後に引退した。
訃報が知らされた直後、ハグラーはSNSに次のように綴った。
「今日、私はとても哀しい知らせを耳にしました。今朝、アラン・ミンター氏が他界したのです。彼は静かに我々の前から姿を消しました。苦しまずに天に召されたことを祈ります。ミンター氏の家族に哀悼の誠を捧げ、チャンピオンのご冥福をお祈り申し上げます。
私と彼が闘ったのは40年前。ウェンブレーアリーナでの我々のファイトは、アメリカ、そして世界中の数客万人のファンが目にしてくれましたね」
2003年、国際ボクシング殿堂の式典で、ミンターとハグラーは旧交を温めていた。終始、笑顔を絶やさず、肩を叩きながら語り合う様は、命懸けの勝負を繰り広げた者同士ならではの神々しさがあった。
「日本から来たの? 英国のボクシングも面白いから取材に来てくれよ。俺が案内するからさ」と、私の手帳に左手で連絡先を記してくれたことを思い出す。
また一人、ボクシング界から漢がいなくなった。ミンター氏の魂が安らかに眠らんことを。