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鹿児島県では2割が高齢者一人のみの世帯…高齢者単独世帯の実情をさぐる

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 高齢者の一人暮らし。気ままな生活かもしれないが、同時にリスクも(写真:アフロ)

高齢化社会の到来と共に高齢者のさまざまな社会生活上のリスクが問題視されている。中でも高齢者が一人だけの世帯「高齢単独世帯」への懸念は強い。熱中症や孤独死の事例が良い例だが、何か健康上のトラブルが発生した時、気が付く・対応する人が周囲に居ないため、手遅れになる可能性が多分にあるからだ。その世帯はどれほど存在しているのだろうか。厚生労働省が年次定点観測的に調査をしている「国民生活基礎調査の概況」(※)の最新データを基に、その世帯数や全世帯に占める比率の実情を確認する。

次に示すのは高齢者一人だけが居る高齢単独世帯の世帯数。北海道では36.2と出ているので、北海道全体で36.2万世帯もの「高齢者一人だけが居る世帯」が存在することになる。なお熊本県は熊本地震を受け、調査が行われていないため、数字も空欄となっている。

↑ 高齢者世帯(2016年、単独世帯限定、万世帯)
↑ 高齢者世帯(2016年、単独世帯限定、万世帯)

地域の人口自身にも多分に影響されることもあり、もっとも多いのは東京都の88.2万世帯。次いで大阪府の57.9万世帯、神奈川県の46.9万世帯が続く(東京都区部は東京都の内部における別値)。一番少ないのは鳥取県の2.4万世帯。

この値は世帯数そのものであり、その地域の世帯全体に占める割合では無い。東京都のように世帯そのものが多ければ、高齢単独世帯が多くても当然。そこで、各地域別の全世帯数に占める比率を算出したのが次のグラフ。例えば全国では13.1%とあるので、日本の全世帯の13.1%は高齢者が一人だけの世帯となる。

↑ 高齢者世帯比率(2016年、単独世帯限定)
↑ 高齢者世帯比率(2016年、単独世帯限定)

いちばん高齢者単独世帯比率が高いのは鹿児島県で19.9%。ほぼ5世帯に1世帯は高齢者が1人のみの世帯になる。高知県もほぼ同率の19.6%。少し下がって和歌山県が17.8%、意外にも大阪府が15.8%と続く。東京は14.9%、区部に限れば15.3%と高い領域ではあるが、一部でイメージされているような独り身の高齢者ばかりというほどでも無い。

余談ではあるが、これを男女別に仕切り分けして再計算したのが次のグラフ。男性よりも女性の方が平均寿命は長いため、女性の高齢者単独世帯の方が多く、比率も高いものとなっている。

↑ 高齢者世帯比率(2016年、単独世帯限定、男女別)
↑ 高齢者世帯比率(2016年、単独世帯限定、男女別)

高齢者単独世帯で最高値を出した鹿児島県は、女性の値が15.0%を計上している。つまり7世帯に1世帯近くは女性の高齢者単独世帯で占められていることになる。高齢者単独世帯で発生しうる問題に関しては、対女性の事案が増えてくるのだろう。

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※国民生活基礎調査

直近年分は全国の世帯及び世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2016年6月2日・7月16日にそれぞれ世帯票・所得票・介護票、所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収できたデータは世帯票・健康票が22万4208世帯分、所得票・貯蓄票が2万4604世帯分、介護票が6790人分。

今調査は年単位での実施だが、3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。直近年(2016年分)は大調査に該当する年であり、世帯票・所得票だけでなく、健康票・介護票・貯蓄票に該当する調査も合わせて実施されている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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