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高齢層は若年層の数倍…休養や4マス接触などの自由時間動向を年齢階層別にさぐる(2024年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
高齢者はテレビをよく見ることで知られているが(写真:イメージマート)

プライベートな時間の過ごし方は人それぞれだが、心身ともに休みを取るとの観点では一番選ばれるであろうのが休養やくつろぎ。そしてテレビやラジオ、新聞、雑誌といった従来型の大手マスメディアの利用も、自分の時間を過ごすのには手軽で心も体も落ち着かせる時間の取り方として、多くの人が堪能している。今回は総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」(※)の結果を用い、それらの自由時間の過ごし方の実情を多方面から確認していく。

今調査では生活様式に関して「睡眠」「身の回りの用事」「食事」「通勤・通学」「仕事(収入を伴う仕事)」「学業(学生が学校の授業やそれに関連して行う学習活動)」「家事」「介護・看護」「育児」「買物」「移動(通勤・通学を除く)」「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」「休養・くつろぎ」「学習・自己啓発・訓練」「趣味・娯楽」「スポーツ」「ボランティア活動・社会参加活動」「交際・付き合い」「受診・療養」「その他」の20に区分している。今回はこの中で「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」「休養・くつろぎ」を合わせ「休養など自由時間活動」と定義し(いわば明確な目的意識を持たない上でのプライベートタイム)、その動きを確認する。

なお「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」は録画や録音による利用も含むが、学習として視聴した場合は該当しない。またDVDの購入やレンタルによる視聴も該当しない。また「休養・くつろぎ」は具体例として家族との団らん、仕事場または学校の休憩時間、おやつ、お茶の時間、食休み、うたたね、家族の見舞いが挙げられている。テレビ・ラジオなどを視聴しながらくつろいだ時間は「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」に該当する。

まずは直近2021年の男女別・年齢階層別動向だが、若年層は女性、中年層以降は男性の方が多くなることが多い。これは女性の方が家事などに時間を割いていることに起因する。

↑ 男女、年齢階層別休養など自由時間活動の時間(週全体、1日あたり、時間:分)(2021年)
↑ 男女、年齢階層別休養など自由時間活動の時間(週全体、1日あたり、時間:分)(2021年)

40代前半までは3時間前後でほぼ安定しているものの、それを超えると増加。定年退職を迎える60代前半になると、男性4時間32分、女性も4時間21分と4時間超えを示す。仕事や子育て、パートなどから解放され、自由に過ごせる時間が増える形である。男性は70歳以上、女性は85歳以上で6時間以上となり、若年層の3時間足らずとの水準と比較して2倍以上となる。睡眠時間を8時間と仮定すると、起きている時間の4割強が休養などの自由時間活動になる。

「休養など自由時間活動」全体、そしてその構成要素である「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」「休養・くつろぎ」を別個に計算し直した上で、今回調査結果の2021年だけでなく、過去のデータとを比較したのが次のグラフ群。自由時間の行動様式の変化が把握できる。

↑ 年齢階層別休養など自由時間活動の時間(週全体、時間:分、一日あたり)
↑ 年齢階層別休養など自由時間活動の時間(週全体、時間:分、一日あたり)

↑ 年齢階層別テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の時間(週全体、時間:分、一日あたり)
↑ 年齢階層別テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の時間(週全体、時間:分、一日あたり)

↑ 年齢階層別休養・くつろぎの時間(週全体、時間:分、一日あたり)(2021年)
↑ 年齢階層別休養・くつろぎの時間(週全体、時間:分、一日あたり)(2021年)

「休養など自由時間活動」の動向は中年層まででやや短っていく傾向があるが、おおよそ変わりはない。2021年ではむしろ前回調査と比べて増えているほど。

一方、それを構成する要素のうち「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」は「若年層から中年層…減少」「高齢層…増加」、「休養・くつろぎの時間」は「若年層から中年層…増加」「高齢層…減少」の動きが見られる。特に直近の2021年において「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」の若年層から中年層までの減少ぶりが著しい。

まとめると

・特定の意識を持たないプライベートな時間に変化は無い。若年層が若干減った程度。

・高齢層はより多くの時間をテレビやラジオなどの4マスに費やすように。その分、休養やくつろぎの時間は減っている。

・若年層はテレビやラジオなどの4マスへの消費時間を大きく減らしている。その分、休養やくつろぎの時間は増えている。

といった形になる。若年層の4マス離れは、4マスと若年層との相性や、他の趣味への傾注による相対的な価値基準の低下をおよぼしていることになる。今回は取り上げていないが同時に他の趣味としての筆頭となる「趣味・娯楽」(映画・美術・スポーツなどの観覧・鑑賞、観光地の見物、ドライブ、ペットの世話、ゲーム機で遊ぶ、趣味としての読書(漫画を含む)、クラブ活動・部活動で行う楽器の演奏、趣味としての大工作業やお菓子作り)への注力時間は伸びている。

要はプライベートの時間の過ごし方が、ぼんやりとした受け身のスタイルから、自分で能動的に行うスタイルにシフトしていると考えれば道理は通る。実際「趣味・娯楽」の値の推移を見ると、その通りとなっている。

↑ 趣味・娯楽の時間(週全体、時間:分、一日あたり)
↑ 趣味・娯楽の時間(週全体、時間:分、一日あたり)

「テレビを観ている暇があったら、その分ゲームをしたり漫画を読んでいたい」次第。

一方、高齢層の4マスへの時間の伸びにも目がとまる。高齢者の4マス、特にテレビやラジオのような受動スタイルのメディア好きは他の調査でも十分知られている話。今件は「昔からの傾向」であると同時に「昨今ではさらに傾注度が高まっている」ことを示唆する内容となっている。

今後さらに高齢層の4マスとの密接化が続くのか、それともデジタル機器の普及に伴い高齢層にもその方面への注力が増し、4マスから離れるようになるのか。2026年分の調査結果が待ち遠しい。

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※令和3年社会生活基本調査

国勢調査の調査区のうち、総務大臣の指定する約7600調査区に対して行われたもので、指定調査区から選定した約9万1000世帯に居住する10歳以上の世帯員約19万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2021年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2021年10月16日から10月24日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と、調査員への提出あるいはインターネットでの回答による回収方式。

調査は5年おきに実施されており、過去の調査もほぼ同様の様式で行われている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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