【富士宮市】物語るその一つ一つの想いに耳を傾けて 「神々に訊ねよ」の著者増田文夫氏を直撃した
内房地区は、由比の入山から甲信(山梨・長野)に通じる古い「塩の道」、あるいは京都から富士宮浅間大社への近道など交通の要衡であったと伝えられています。
馬は農耕作業の重要な担い手であり、人や荷物を運ぶための重要な役割を果たしていました。
馬が死ぬと馬頭の名称から身近な生活の中の「馬」に結び付けられた馬頭観音を祀って供養したり、街道を往来する馬が怪我や病気をしないように見守るためにも、馬頭観音が街道沿いの至る所で祀られるようになったそうです。
廻沢川を渡った祥禅寺の手前に、馬頭観音が集められた場所があります。ここには10基以上の馬頭観音があり、当時の町内会の役員が将来的に散逸することを危惧して集落内の各所から集め、ここに移転されたものです。
今回は、郷土の歴史に精通した増田文夫さん著の『神々に訊ねよ』を手に、この場所を訪れてみました。
歩く博物館の看板に記載されているのは、以下の通り。
こちらに実際見られるのは18体ですが、『神々に訊ねよ』を参照すると後列の一番右と左から2番目は墓石と思われ、馬頭観音は16体ということです。
どれも風化して、刻まれた文字は読み取れません。
本を参照すると、古いものは今から約200年前江戸時代後期の文政6年(1823年)のものから第二次世界大戦中の昭和18年(1943年)のものなど、建立年号が分かるものが10基、風化などで不明のものが6基。
よく見ると丸みを帯びていたり、面長だったり、なんとなく幼い女の子に見えたり、それぞれに違った表情の石造物。
馬は大切な労働力であったと同時に、昔の人々の生活を支える家族のような存在だったのかもしれません。
戦争で大切な馬を徴発されたことによる誇り、家族とともに暮らした尊い命を落としたことへの慰めなど馬頭観音は、当時の人たちの思いを現在に伝えているようでした。
道を歩けば、どこかしらに祀られている馬頭観音。富士宮に住んでいると馬頭観音を目にする機会が多いので、あまり気に留めたことはありませんでしたが、その1基1基に願いや思いが込められていることを知ると、静かに見守ってくれる馬頭観音を敬う気持ちを忘れてはいけないと感じました。
11月9日、16日に芝川公民館の一般講座で『神々に訊ねよ』著者の増田文夫さんによる『ふるさとの歴史を訪ねて』が開催されます。
4地区に分けられる内房地区には、106基もの馬頭観音をはじめ多くの石造物が現存するそうです。
今回は3区、4区を重点的に回り、数多くある石造物の持つ歴史や由来などを中心として、内房地区の歴史を紐解きながら歩きます。
地元の歴史を振り返り、知ることは、自分自身を知ることにもつながるのではないでしょうか?
私たちの生活は、歴史の上に成り立っていると感じると今この瞬間も貴い時間に感じて来ます。
耳をすませば、すぐ横を流れる廻沢川のせせらぎが、優しい秋風と共に私を微笑ませてくれました。
増田文夫さんの著書『神々に訊ねよ』は、『芝川公民館』・『柚野公民館』と富士・富士宮の図書館などで借りることができます。
宮ゼミ!『ふるさとの歴史を訪ねて』
日にち:11月9日(土)・16日(土) 全2回
時間:9:30~11:30
講師:増田文夫さん
定員:10名
受講料:800円(400円×2回)
TEL:0544-65-0402(芝川公民館)
場所:芝川公民館内房分館駐車場集合(現地集合・現地解散)
持ち物:筆記用具・水分補給の飲み物・帽子・汗拭き用のタオル・歩きやすい服装・靴
申込受付:~10月30日(水)
受付時間:電話 9:00~21:00
電子申請 0:00~23:59