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日本代表、フランス大会初陣メンバー決定の背景。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
左から会見に臨む姫野和樹主将とジョセフ(筆者撮影)

 ラグビー日本代表は現地時間10日、ワールドカップフランス大会の予選プール初戦に挑む。スタジアム・ド・トゥールーズでのチリ代表戦だ。同8日、登録メンバーが発表され、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが会見した。

 メンバーは以下の通り。

1,稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/6/2・49

2,坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1993/6/21・37

3,具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)…183・117・1994/7/20・25

4,ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…195・110・1994/10/13・16 ★

5,アマト・ファカタヴァ(リコーブラックラムズ東京)…195・118・1994/12/7・3 ★

6,リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)…189・113・1988/10/7・80

7,下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)…188・105・1999/1/17・2 ★

8,姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)…187・108・1994/7/27・29 ◎

9,流大(東京サントリーサンゴリアス)…166・75・1992/9/4・34

10,松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…181・92・1994/5/3・33

11,ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)…177・95・1994/4/12・4 ★

12,中村亮土(東京サントリーサンゴリアス)…182・92・1991/6/3・35

13,ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・102・1997/5/2・14 ★

14,松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)…178・88・1993/2/26・51

15,セミシ・マシレワ(花園近鉄ライナーズ)…181・93・1992/6/9・5 ★

16,堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1986/1/21・72

17,クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/10/29・13 ★

18,ヴァル アサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・115・1989/5/7・26

19,ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)…201・117・2002/4/11・7 ★

20,福井翔大(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・101・1999/9/28・2 ★

21,齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)…165・73・1997/8/26・15 ★

22,長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…179・90・1999/11/25・4 ★

23,レメキ ロマノ ラヴァ(NECグリーンロケッツ東葛)…178・96・1989/1/20・16

◎:キャプテン

★:出ればワールドカップ初キャップ

 4年前の日本大会で初の8強入り。体制をそのままに選手を徐々に入れ替え、今回の登録メンバー中11名が大会初出場となった。特にアマト・ファカタヴァは、怪我で一時は選外も大会側へメンバーを登録するぎりぎりのタイミングでバックアップメンバーから昇格。期待の大きさをうかがわせた。

 もっとも、司令塔およびそれに付随するポジションでは「経験」を重視したと指揮官。スタンドオフには、1勝6敗の事前試合で先発の多かった22歳の李承信ではなく、日本大会組で29歳の松田力也が入った。

 その他、選考の見どころについてジョセフが語る。

「今週のフォーカスは自分たちがどうプレーしていくか。いいスタートを切らないといけない。イタリア代表戦(8月26日に敵地でおこない、21―41で敗戦)の前とその後のフランスを含めた2週間、そこにフォーカスして練習してきました。チリ代表は新しいチーム。彼らはこの試合をファイナルと捉えて臨んでくる。選手のモチベーションは高く、たくさんのプレッシャーもかけてくる。前回のイタリア代表戦では最初の20分間でプレッシャーを受けてしまった。今回はそうならないよう、セレクションを考えた。下川甲嗣を選んだ。彼は怪我もあり、運に恵まれず試合に出られないこともあったが、今回はチャンスを与える。練習でも安定しています。7番という位置は競争が激しいです。ラピース(ピーター・ラブスカフニ)、姫野、福井もいます。ただ今回の厳しいフォワードの戦いでは、彼の仕事量を望んでいます。

レメキは2度目のワールドカップです。たくさんのポジションをカバーできるのが持ち味です。ここで彼のいいところを出してもらいたい」

——事前試合ではウイングだったセミシ・マシレワ選手とフルバックだった松島幸太朗選手の位置を入れ替えました。

「松島は日本代表でプレーするにはフルバックよりもウイングの方がいいと思います。言葉少なですので、(フルバックには)たくさん喋って欲しい。アタックに関しては申し分ない。彼をウイングで起用することで、彼の責任は少なくなるのではと思っています。今回のゲームでは、彼はウイングの方がふさわしい。

セミシ、ジョネはずっと素晴らしいプレーをしている。松島が14番をできるのはもともと知っていた。マシレワは2021年のアイルランド代表戦でもいいプレーをしている。そこから14、15番の選考は決まりました」

——今後もそうするのか。

「そうとは言ってないです」

——10番で出る松田選手はゴールキック苦戦している。齋藤直人選手やマシレワ選手が蹴るオプションはないのか。

「松田は素晴らしいキッカーですが、ワールドカップという圧力下で蹴られるかで苦戦しているかもしれない。ただ、それに対して(代役を立てるなどの)プランを持つのも大事かもしれないが…。(ゴールキックの成否を左右するのは)メンタルが大きい。外部の声をシャットアウトし、子どもの頃に最初にボールを蹴った時を思い出し、スキルを遂行するのが大事です。また、ひとりがプレッシャーを抱えるのではなく、色んな選手がオプションを得るのはいいこと。いい質問でした」

——李選手はメンバー外。

「今回は経験を選びました。力也はワールドカップにも行っています。一時、(怪我で)ラグビーから離れましたが、これまで時間をかけてコンディションを上げてきていると思います。流、亮土とのコネクションもいい。李はまだ若い。いまは、それまでずっとトヨタの車に乗っていたのに、レンジローバーに乗っているようなもの。これからの選手です。もちろん質が高い選手でもあるので、大きなところで、大事な選手になるのは間違いない。ただ、いまはプレッシャーを軽減させ、彼のやるべきことを理解していく段階にあると思います」

——初戦をどう勝って勢いをもたらしたいか。

「各試合を常に考えています。あまり先を考えていません。2019年とはドローの形が似ている。当時もロシア代表と戦い、次に難しい相手のアイルランド代表と戦った。先を考えず、自分たちにフォーカスする。それは相手がナミビア代表だろうがチリ代表だろうが、やることをやるのが大事。チームは順調で、怪我から戻った選手もいるのでいい状態です」

——ファカタヴァ選手復帰の影響。

「Fine! 最初の浦安合宿に呼んだ時ブラインドフランカーで、これからもそこで使うこともあるかもしれないが、実際は、ない。ロックとしてフィジカリティ、モビリティ、フィットネスの高い選手。チームでは無口ですが、存在感は大きい」

最後に。稲垣が3度目のワールドカップで今回が50キャップです。これまで8年間、一緒にやっていますが、誰からも尊敬される選手です。彼の50キャップを祝えるのは嬉しい」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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