機能するか。ラミレス監督の勝負手、2番・筒香
2番には1番よりも長打力のある打者を
2番・レフト、筒香。
オールスターブレイクを挟んで再開したペナントレースでDeNAのラミレス監督は不動の4番を務めていた主砲の打順を動かした。
打順が1つ変わると年間では15~20打席程度の差が生まれる。2つ上がったことで筒香が5回打席に立つ試合が増えるだろう。良い打者をより多く打席に立たせるというのは打順を組む際の大事な要素で、出来るなら走者をためた場面でまわしたい。『セイバーメトリクスの落とし穴 マネー・ボールを超える野球論』(光文社新書)によると打順論の基本として
・長打率が最高の打者を3番に置く
・残りでOPSが最高の選手を4番に置く
・残りで出塁率が最高の2人を1、2番に置く(長打率が高い方を2番に置く)
・5番以降は残りをOPS順に並べる
の4項目が紹介されている。2番には長打力はなくても小技の上手いつなぎ役、ではなく1番よりも長打が打てる打者を置く方が良いようだ。前半戦終了時の成績を基に、この4項目に当てはめDeNAのオーダーを組むと
1番・宮崎
2番・神里
3番・筒香
4番・佐野
5番・ソト
6番・ロペス
・・・
となる。おぉ、これはこれで中々強そうだ。高いコンタクト能力を持つ宮崎がプレーボール直後に打席に立ち、俊足で併殺の少ない神里が続く。前半戦の長打率は宮崎が.452で神里が.455、微差ながら神里の方が高いのでこの並びとなった。長打率.530でチームトップの筒香が3番、4番にはOPS.935の筒香に次ぐ.839をマークした佐野が入る。その後ろを強打の助っ人が固め、将来の主軸候補に経験を積ませながら戦うかのような打線となった。もちろんこの4項目は絶対的なものではなく打順を組む際の指針を示したもの。走力や選手の性格などによって入れ替えは大いにあり得る。実際、ラミレス監督は
1番・神里
2番・筒香
3番・ソト
4番・ロペス
5番・佐野
6番・宮崎
・・・
という打順を組んだ。主軸クラスの選手を2番に起用するという意味ではオリックスもチームの顔である吉田正を据えたことがある。特に2017年の8月には1番・T-岡田、2番・吉田正というオーダーを9試合で組んでおり、この間の平均得点は4.89点。楽天・則本に完封負けを喫し、そこから3連敗したところで1番・小島、2番・西野と足を使える布陣に組み替えたが迫力のある1、2番だった。
筒香次第では8番・投手の可能性も
ラミレス監督は筒香を2番で起用する意図を出塁率が高く、得点圏打率が良くないからだと明かしている。前半戦の出塁率.405はチームトップでセリーグでも4位の好成績。一方、得点圏打率.234はセリーグ20位と少し寂しい。昨季も.237と低迷していたが2014年から2017年にかけては.416、.344、.393、326と非常にチャンスに強かった。もし仮に打順変更で気分をリフレッシュし、勝負強さを取り戻すことが出来たならば再びクリーンアップに戻し打点を稼いでもらうのだろうか。2番に置いたまま走者のたまった場面で打席をまわそうとするならば8番・投手の復活も考えられる。筒香は出塁率だけでなく長打率でもOPSでもチームトップ、78試合に4番として先発出場しながら今季の併殺打は0だ。独走気味の巨人を追い上げるためには前半戦以上の活躍が欠かせない。プロ初の2番を任された試合は5回打席に立ち3打数1安打2四球、押し出しにより打点1を挙げた。2番・筒香はハマるのか。どこまで継続するのか。その次にどんな手を打つのか。筒香の打棒とラミレス監督の策略がチームの命運を握っている。