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月に3兆8千億円!コインチェックの驚くべき取扱高・利益は月間で200億円超?

三上洋ITジャーナリスト

コインチェックは、1ヶ月になんと3兆8千億円ものお金を動かしていました。驚くべき数字です。

12月の取扱高はなんと「3兆8,537億円」

3月8日にコインチェックが記者会見を開きました。金融庁による業務改善命令に対応したもので、不正アクセスの原因や取引再開・NEMの補償などについて発表されました。

ここで驚くべき数字が明かされました。大塚取締役が記者の質問に対して、コインチェックの取扱高を答えたのです。

●コインチェック取扱高(取引所+販売所の数字)

2017年7月:2,868億円

2017年8月:6,512億円

2017年9月:7,619億円

2017年10月:1兆282億円

2017年11月:2兆5,268億円

2017年12月:3兆8,537億円

昨年7月には2,868億円だったものが、倍々ゲーム以上の急増を見せ、10月には1兆突破。11月に2兆5000億、12月には何と3兆8537億円も扱っていたのです(口座数は累計で170万口座)。

コインチェック取扱高(記者会見による。筆者作成)
コインチェック取扱高(記者会見による。筆者作成)

12月は仮想通貨ブームのピークで、かつ出川哲朗さんのCMが大量に流れた時期ですから、増えたことはわかっていました。しかし3兆8,537億円もの規模になっているとは、とても予想できませんでした。

コインチェックのビジネスモデルは「利ざや=スプレッド」

この3兆8,537億円の内訳ですが、会見の中で大塚取締役はコインチェックのビジネスモデルについて以下のように答えていました。

「当社のビジネスモデルは、2つ。1つは顧客同士が売買する『取引所』で全体の80%。もう1つは当社が顧客に仮想通貨を販売する『販売所』で全体の20%だ。」

「取引所」は客同士が売買するもので、大塚取締役によれば「基本的には手数料なし」とのことで利益にはなっていなかったようです。

それに対して「販売所」は、コインチェックが持っている仮想通貨を顧客に売るもので、ここは利ザヤで儲けることが可能です。いわゆるスプレッドと呼ばれるもので、コインチェックが入手した仮想通貨の価格より、顧客に高く売ることで儲けを出しています。

12月だけで約7700億円の販売、スプレッド3%とするなら231億円の利益!

儲けの出る「販売所」は、全体の20%。12月の全体取扱高は3兆8,537億円でしたから、7707億円を販売所で販売していたと推測できます。

ではコインチェックの利益はいくらだったのでしょうか? スプレッド(利ざや)がいくらかはわかりません。しかし過去の例ですと、3%ほどのスプレッドがあったことがわかっています。

参考記事:コインチェックのスプレッドが広すぎ!!リップル、ネムの取引には注意を。スプレッドを表示させる方法も教えます:やさしいビットコイン入門講座

もし3%だと仮定すると、7,707億円の3%で、何と約231億円にもなります(もちろんこれは粗利ですし、スプレッドがもっと小さい可能性もあります。ですがおおまかな推測の数字としては、それほど間違っていないと思われます)

コインチェックの12月の粗利益は推測で約230億円

たった1ヶ月で約231億円もの利益が出ていたわけで、いかに仮想通貨取引所が儲かるビジネスだということがわかります。

コインチェックは流出したNEMの補償として、顧客に463億円を払うことを約束しています。当初は「そんなに現金を用意できるのか?」と疑問視されていましたが、これだけの利益があるのなら、2ヶ月で手当できます。補償できるだけの儲けを出していた、ということです。

ここで気になるのは、販売所で売る仮想通貨をどうやって手当していたのか、です。大塚取締役は会見の中で「他社で購入して販売していた」としています。

しかし単純に考えれば、自社の取引所で安く買って、高く売れば手っ取り早く利益が出ます。他社で買えば相場が動いてしまうこともあり、自社取引所で売買したほうが楽なはず。もしそれをやっていたとすれば、分別管理ができていないことになり問題です。

明確な質問が会見で出なかったこともあって不明ですが、ここが「分別管理をしていたか」という焦点になるかもしれません。改めてコインチェック社と金融庁の動きを見守る必要があります。

ITジャーナリスト

セキュリティ・ネット事件・スマートフォン料金を専門とするITジャーナリスト。テレビ・ラジオ・雑誌などでの一般向け解説多数。読売オンライン「サイバー護身術」、アスキー「5分でわかる時事セキュリティ」などを連載。文教大学情報学部非常勤講師

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