「歯に衣着せぬ」と書いて、「はにきぬきせぬ」と読みます。「はにころもきせぬ」でありません。
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
もう10数年前の話です。
私が午前中、講義を行い、午後からグループカウンセリングを行っていた時のことです。
参加者は、初対面の方もいましたが、顔馴染みの人が多く、年齢は20代から60代までと幅広く、「心理学は初めて」とおっしゃる人から、心理カウンセラーの資格を持っている人まで、さまざま人がいました。学歴も、中卒の人から、大学院卒の人までいろいろでした。
そんな時、ある若い(とは言っても、年齢のことではなく、経験年数のことです)カウンセラーの方が、こうおっしゃったのです。「今、自分は、性格改善に取り組んでいる。今日はせっかくの機会だから、皆さんに尋ねたい。僕の性格の、どの部分をどう直したらいいのか? ぜひ教えて欲しい」と。
参加者の皆さんは、黙っていました。
そうしたら、その彼が、続けて言ったのです。「皆さんには、『はにころもきせぬ』態度でお願いしたい」と…。私は、「字をそのまま読んだな」と思いました。私は、「その字は、『はにころもきせぬ』ではなく、『はにきぬきせぬ』と読むのですよ」と教えようと思ったのですが、皆の前で恥をかかせることにもなりかねないので、そこは指摘しませんでした。
誰も口を開こうとしないので、ファシリテーターの私が喋りました。彼の長所を2ぐらい褒めて、6ぐらい短所を指摘し、最後また2ぐらい褒めたのです。これをサンドイッチ方式と呼びます。直すべき点を、良い点と良い点の間に挟んで伝えるのです。これは、人を叱る時に使うと効果的です。
でも、これでは足りませんでした。
その後、彼は、ふくれっ面になり、私に対し、反抗的な態度を取るようになりました。
私はそれ以来、「ハッキリ言ってくれ」と言われた時や、「歯に衣着せぬ(はにきぬきせぬ)」と言われた時は、「もっともっと私をたくさん褒めてくれ」と解釈するようにしました。8褒めて2指摘するよう、心掛けるようになりました。そう、パレートの法則、8:2の法則です。今のところ、私の試みは、大正解のようです。
ちなみに、「歯に衣着せぬ(はにきぬきせぬ)」とは、「つつみ隠すことなく、思ったままを率直に言う。はっきりと、飾らないで言う」という意味です。
どうぞこの記事をお読みの皆さんは、「歯に衣着せぬ」と言われたら、相手の長所に注目し、相手をしっかり褒めるよう心掛けて下さい。相手の自己重要感を高める、相手の自尊感情を満たす、相手に自信をつけさせる、というのは、人間関係においてもっとも大切なことのひとつです。相手の自尊感情を高めることに成功したあなたには、きっと自然に無理なく、人望が備わっていることでしょう。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。