主な新興国/米国経済ニュース(7月3日)
ロシアの今年の資本流出額、予想超える見通し―ウリュカエフ経済発展相
ロシアのアレクセイ・ウリュカエフ新経済発展相は1日、ロシアのプライム通信(電子版)に対し、今年の資本流出額は純額ベースで、同省の予想値である300億‐350億ルーブル(約900億‐1050億円)を上回る見通しを明らかにした。ただ、同相は500億ルーブル(約1500億円)を下回ると見ている。
その上で、同相は今年の資本流出額の見通しについて、「一部では悪い数字という声もあるが、一方で外国からのダイナミックな資本流入も見られ、決して悪い数値ではない」と述べている。また、同相は、景気の見通しについて、ロシア経済はリセッション(景気失速)になるリスクはないとしたものの、低成長のスタグネーションとなる可能性はあるとした。
インフレ見通しについては、同相は、今年は6%上昇の物価目標に接近するとし、来年については物価目標を4.5%プラス・マイナス0.5-1.5%ポイントと、より厳しい目標設定が必要だとしている。
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ロシア石炭大手シベリアン・アンスラサイト、IPOの公開価格レンジを設定
ロシア石炭大手シベリアン・アンスラサイトは、ロンドン証券取引所での新規株式公開(IPO)で、発行済み株式の25%に相当するグローバル預託証書(GDR)を1株当たり7‐9.5ドル(約700‐950円)で売り出す方針を明らかにした。プライム通信(電子版)が1日に伝えた。
同社では今後2週間以内に、この設定価格で投資家に提案し、ブックビルディング(新規公開株に対する需要積み上げ)方式で最終的に売り出し価格を決定する。共同幹事社は米大手証券JPモルガンとオーストリア金融大手ライファイゼン・インターナショナル(RBI)、ロシア連邦貯蓄銀行(ズベルバンク)が2012年1月に大手投資銀行トロイカ・ダイアログを買収して新設したズベルバンクCIBとなっている。
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インドネシア地銀ムスティカ・ダルマなど2社、IPO価格を公表
インドネシアの地方銀行ムスティカ・ダルマ銀行とインドネシア投資・コンサルティング大手マルチポーラーのIT(情報技術)ソリューション子会社マルチポーラー・テクノロジーの2社は1日、それぞれの新規株式公開(IPO)価格を公表した。ジャカルタ・グローブ(電子版)が伝えた。
ムスティカ・ダルマ銀行は8日にインドネシア証券取引所でIPOを実施する予定で、投資家に対し1株当たり1370-1570ルピア(13.7‐15.7円)のレンジの公開価格を提案する。同行は発行済み株式の20%相当の8億1800万株を売り出し、1株当たり1380ルピア(約13.8円)として合計で5930億ルピア(約59億円)の資金を調達したいとしている。ただ、売り出し規模は国内の株式市場の下落を反映して、当初計画に比べ半分に縮小されている。
一方、マルチポーラー・テクノロジーも発行済み株式の20%相当の3億7500万株を売り出し、1株当たり480ルピア(約4.8円)とし、合計で1800億ルピア(約18億円)の資金を調達し、事業拡大に充てたいとしている。
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ベトナム6月製造業PMI、46.4に一段と低下―2カ月連続で50割れ
英金融大手HSBCのベトナム法人であるHSBCベトナムが1日に発表した同国の6月の製造業PMI(購買部景気指数)は前月(5月)の48.8から46.4へ低下し、好不況の分かれ目となる50を2カ月連続で下回った。これは11カ月ぶりの低水準で、HSBCが2011年4月に同調査を開始して以来では3番目の低さとなる。
同指数はHSBCが世界30カ国のPMI指数を発表している金融情報サービス大手のマークイットの協力を得て、ベトナムで初めてとなるPMI指数で、同指数が50を超えると景況感が「拡大」、反対に、50を下回ると「縮小」の判断となる。
6月の製造業PMIのサブ指数の新規受注指数とアウトプット指数(生産・産出指数)、雇用指数はいずれも2カ月連続で50を下回った。新規輸出受注指数も2月以来4カ月ぶりに50を下回っている。最終製品の在庫指数も新規受注の減少を反映して、8カ月ぶりに50を超え、11カ月ぶりの高水準となっている。
HSBCでは、6月のデータの結果について、「6月の同指数が低下したのは弱い国内需要を反映した結果で、外需(輸出)も中国と韓国の内需低迷の影響で低下している。また、企業は採用者数を2カ月連続で削減したため、雇用指数も一段と悪化した」としている。
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米ジンガ、ピンカスCEOが辞任―後任は「Xボックス」事業の責任者
米ソーシャルゲーム大手ジンガの創業者でCEO(最高経営責任者)のマーク・ピンカス氏が来週にも辞任し、その後任にソフト世界最大手マイクロソフトの家庭用ゲーム端末「Xボックス」の開発責任者、ドン・マトリック氏がいったんマイクロソフトを退社した上で正式に就任する。米経済専門オンラインメディア、CNNマネーなど複数のメディアが1日に伝えた。
ジンガが米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書によると、ピンカス氏はCEOを辞任したが、3月末時点で同社の議決権の61%を掌握しており、依然として経営支配権を握っており、CEO辞任後も引き続き同社の会長兼CPO(最高生産管理責任者)となる。
また、ピンカス氏は今回のCEO辞任について、自身のブログで、「いつも言ってきたように、当社のCEOとして、よりよい仕事ができる人材が見つかれば交替する考えだった。マトリック氏はリーダーにふさいわしいと確信している」と述べている。ジンガの株価は1日の時間内取引で前日比11%高となった。
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著名投資家アイカーン氏、米デルの非公開化阻止で5千億円の融資確保
著名な投資家カール・アイカーン氏は1日、経営難に陥っている米パソコン大手デルの株主と同社取締役会の特別委員会に宛てた書簡で、デルの創業者兼CEO(最高経営責任者)のマイケル・デル氏と米プライベートエクイティ(PE)ファンドのシルバーレイク・パートナーズが計画しているデルの非公開化(上場廃止)計画を阻止するため、新たに50億ドル(約5000億円)超の融資を確保したことを明らかにした。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)などが1日に伝えた。
アイカーン氏は、「これによって、(同氏が)50億ドルの資金を調達できないという会社側の根も葉もない憶測を払しょくできる」としている。
これより先、アイカーン氏は先月、デルへの出資比率を約2倍にしたことを明らかにした上で、デルの株主と特別委員会に対し、11億株の新株を1株当たり14ドル(約1400円)で発行するよう要請している。同氏はこの新株を今回調達した50億ドルの資金と104億ドル(約1兆0400億円)の現金を使って取得するとしている。
デル氏とシルバーレイクは2月に、デルの企業存続策として、1株当たり13.65ドル(約1360円)、総額244億ドル(約2兆4300億円)でデル本体を買収し非公開化することを提案している。しかし、一部の株主はこの買収額では安すぎるとして反対する意見が出ている。非公開化計画の是非を問う株主投票は7月18日に実施される予定だ。
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ブラジル石油・ガス大手OGX、カンポス沖の油田開発中止など発表
ブラジルの大富豪エイキ・バチスタ氏が率いる石油・ガス生産会社OGXペトロレオは1日、リオデジャネイロ州カンポス堆積盆沖にある3鉱区(トゥバラウン・ティグレとトゥバラウン・ガトー、トゥバラウン・アレイア)は、いずれも現在の掘削技術では経済的に採算が取れる可能性はないとして開発を断念したことを明らかにした。
また、カンポ・デ・トゥバラウン・アズル鉱区で現在、原油を生産している3つの油井も日量1万‐1万200バレルの生産量にとどまっており、目標の4万バレルに達しないとして、2004年中に生産を中止する方針も明らかにした。
さらに、5つの油井(FPSO OSX-4とFPSO OSX-5、WHP-1、WHP-3、WHP-4)の石油生産施設の建設も中止する。ただ、トゥバラウン・マルテーロ鉱区の開発は引き続き進められ、今年10-12月期から原油生産を開始する計画。この発表を受けて、同社の株価は1日の取引で、前日比29.11%安の0.56レアルにまで急落した。
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ルーマニア中銀、政策金利を5%へ引き下げ
ルーマニア国立銀行(中銀)は2日から政策金利である1週間物レポ金利を0.25%ポイント引き下げ5%とした。引き下げは昨年3月以来1年4カ月ぶりとなる。
また、中銀は市中銀行に資金供給するためのロンバート型貸出金利も0.25%ポイント引き下げ8%へ、資金吸収のための預金金利も0.25%ポイント引き下げ2%とした。このほか、金融システム内の流動性を適切に管理し、市中銀行が中銀に預ける自国通貨建てと外国通貨建ての両方の預金準備率はそれぞれ現行の15%と20%のまま据え置いた。
政策金利は2010年5月に、景気刺激の一環として、EU(欧州連合)域内の新興国としては初めて利下げに踏み切り、当時の6.5%から6.25%に引き下げている。その後はしばらく現状維持だったが、2011年11月に25ベーシスポイント(0.25%ポイント)引き下げて6%とし、2カ月後の昨年1月と2月、3月に各25ベーシスポイント引き下げて5.25%となっていた。
地元オンラインメディアのルーマニア・ビジネス・インサイダーによると、アナリストは政策金利の引き下げは秋に実施されると予想していたが、今回の利下げはやや早まった格好。中銀のムグル・イサレスク総裁は今年初め、金融緩和を開始することを示唆していた。
同中銀は、金融政策決定後に発表した声明文で、「インフレ率は中銀の予想と一致した動きになっている。その一方で、景気は1‐3月期GDP(国内総生産)伸び率が2.2%増と、前四半期の1.1%増から改善した。こうした中、中銀の金融政策はインフレ期待をしっかりと抑制し、金融政策の効果を高め、景気回復に対する信頼感を強めることが求められている」としている。
また、中銀は、「インフレ率はディスインフレ(物価上昇率の低下)の傾向が続いており、9‐10月には物価目標(2.5%上昇)のプラス・マイナス1%ポイントのレンジ内に戻る見通し」とし、その上で、「こうしたインフレ見通しが中銀の緩やかな金融緩和を可能にした」と述べている。さらに、中銀は、「今後も引き続き、国内外の経済の動きを注視し、適切な金融政策手段を講じることにより中期的に物価安定と金融市場の安定を目指す」としている。
中銀は8月5日に次回の金融政策決定会合を開き、その際、新しい四半期インフレ報告書を検討する予定。 (了)