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公式戦出場停止中の茂野海人はいま、何を思っているのか。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
短いモーションで長いパスを放る。フィジカリティも強み。(写真:アフロスポーツ)

 国内最高峰のラグビートップリーグに加盟するトヨタ自動車は今季、2007年に南アフリカ代表を率いてワールドカップフランス大会で優勝したジェイク・ホワイト新監督を招聘。クラブにとって7シーズンぶりの4強入りを果たした。1月6日開幕のプレーオフを見据える。

 この先の大舞台へは出場が叶わないものの、虎視眈々と活躍を誓う選手が茂野海人だ。

 昨季までNECでプレーしていた茂野は、2015年にニュージーランドへ留学し、オークランド代表としてITMカップ(同国の地域代表選手権)に出場した過去を持つ。身長170センチ、体重75キロの27歳で、攻撃の起点となるスクラムハーフとして2016年には日本代表デビューを飾った。

 今季はNECからトヨタ自動車への移籍時、前所属先から新天地へ出すリリースレターが発行されず。リリースレターがない場合は移籍後1年間、公式戦でプレーできないという国内ルールに順じ、茂野は雌伏の時期を過ごしている。

 4年に1度あるワールドカップの自国大会を2019年に控えるとあって、茂野は今春以来の日本代表復帰も熱望。11月12日におこなわれたスーパーラグビー(国際リーグ)のレベルズとの国際試合(愛知・豊田スタジアムで36―21と勝利)ではゲームキャプテンを任されるなど、ホワイト監督の心配りを受け実戦機会を得ている。

 新しい仲間たちが進化を遂げるなか、どんな思いを抱いているのだろうか。12月某日、前向きに語った。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――レベルズ戦、改めて振り返ってください。

「相手は本メンバーではなくて若手主体。こちらもいいプレーができて、結果的に勝たせてもらえました。ゲームキャプテンをやるにあたっては責任を持っていこうという思いにはなれました。ゲームのなかで(相手が反則した際に)ショットを狙うか、タッチへ蹴るか、しっかりと考えていけた。いい経験にもなりました」

――ホワイト監督が、いまの立場の茂野選手にゲームキャプテンを任せた。その決断も素敵に映ります。

「こいつにゲームキャプテンをやらせてあげようと思ってもらえるのもありがたいことです。その分、プレッシャーもありましたけど」

――「プレッシャー」。乱暴に言えば、ホワイト監督は怖いコーチなのでしょうか。

「怖いというよりも、マネージメントがしっかりとしています。だめなプレーはしっかりと怒りますけど、いいところがあったら褒める。そのなかで、選手はしっかりとやらないと(ライバルとの)競争で落とされる。チーム内のポジション争いは激しいです」

――もっとも茂野選手は、ルール上、公式戦出場の機会が得られません。普段、どう過ごしていますか。

「スキルの向上、身体作りを。体調もいいです。トヨタ自動車に来てからまだ数試合(練習試合など)しかしていないのでもう少しゲームがしたいとは思いますが、チーム内でしっかりとやれているので、来季は貢献できれば」

――ワールドカップ、諦めていませんね。

「いいプレーをしていたら、(代表へは)自然と呼ばれると思います。2018年のトップリーグ。しっかりと試合出でてやるべきことをやって、2019年に出られるように頑張るだけです」

 ワールドカップを2年後に控えた2017年度のシーズンを棒に振ったことは、確かに代表選考へ影を落としうる。それでも「いいプレーをしていたら、(代表へは)自然と呼ばれる」のもまた事実かもしれない。茂野は運命を乗り越えられるか。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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