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大人の恋を終えた20人。そのうち3人が交際中に「暴力」を受けていた件~交際前に相手を見極めるために~

大宮冬洋フリーライター
大人の恋を終えた20人にインタビューしたら…(写真:アフロ)

見知らぬ土地のホームセンターに置き去りにされて

 老若男女の失恋話を聞き取って書き留める仕事を2年近く続けている(連載はこちら)。話を聞かせてくれるのは主に30歳以上なので、「大人の恋」がどのように始まって終わるのかを観察しているとも言える。できるだけ淡々と事実を見つめて言葉にすることで本人の怨念のようなものを鎮め、同じような苦しい経験をしている読者とも分かち合うのが趣旨だ。

 その趣旨とはズレるが、恋愛中の具体的なエピソードを聞いていて気になることがある。言葉の暴力を受けていたのでは、と感じるケースが20人中3件もあったのだ。例えば、「お前はセフレだ」「子どもができたら堕ろせ」などと交際相手から言われ続けた女性。支配的な関係からなかなか抜け出すことができなかった。また、ドライブデート中に口げんかになり、見知らぬ土地のホームセンターに置き去りにされた女性もいた。これは直接的な暴力に近い行為だと思う。

 暴力とは言えなくても、去られた側に深刻なダメージを残すこともある。浮気や不倫だ。10年間も結婚していたのに、「子どもが欲しいので若い子と再婚することにした」と夫からいきなり通告された女性がいた。離婚後、男性から声をかけられると恐怖を感じてしまうらしい。自分が不倫相手だった人もいる。「妻とは離婚する」と言われたので付き合ったのにズルズルと引き延ばされてしまったという。

 このような浮気・不倫に関連した失恋に該当するのは7人。上記のDV・モラハラと合わせると、取材先20人の半数が精神的な傷を負いかねない経験をしていたことになる。

失敗を生かすことができれば、悲しみも恨みも薄れていく

 相手が既婚者だと知りながら付き合っていたケースもあるので、「ダメな恋愛相手を選んだのは自己責任」と言えばそれまでだ。しかし、そのことで本人たちが委縮して、他人を好きになったり信じたりしにくくなるのは良くないことだと思う。どうすればいいのだろうか。

 取材を通して筆者が思いつく対策は2つしかない。1つ目は、「同じヤカンには二度と触らない」こと。後悔して自己嫌悪になるのではなく、失敗を大いに生かす道だ。異なるタイプの相手と信頼関係を築けて、幸せな生活を送ることができれば、悲しみや恨みは次第に薄れていく。

 もし同じようなタイプばかりを好きになり、しかもひどい目に遭っているのであれば、自分も相手を不幸にしている危険性が高いと知るべきだろう。パートナーとの相性が悪いと、相手の短所や悪意を増幅させてしまうこともあるからだ。

 特に多いのが、自己肯定感が低い女性が積極的な自信家の男性を好きになるケース。相手に尽くす行為によって欠けている自信を補完しているのかもしれないが、ただでさえ身勝手な相手を暴走させる結果となりやすい。モラハラや不倫などだ。お互いを自立した大人として尊敬し合えなければ、真のパートナーシップは築けない。

ストレスばかりの職場や愛情のない家庭から勇気を持って離れる

 そこで対策の2つ目。まずは他者ではなく自分を好きになることだ。これはとても難しいけれど、仕事でもプライベートでも居心地のいい環境を自ら作り出すことによって少しずつ実現可能だと思う。いるだけでストレスの溜まるような職場や愛情のない家庭などからは勇気を持って離れるべきだと筆者は思う。

 世の中は広い。ある場所では自分の価値がないと感じていたとしても、どこに行っても同じなわけではない。堂々と自分の力を発揮できて、周囲に喜んでもらえるような場所もあるのだ。もちろん、そのためには身だしなみを含めた最低限の自己管理をして、心身を健康に保っておくことが必要となる。

 失敗を生かしつつ、自分を愛すること。この2点を実践できれば、自然と視野と行動範囲が広がり、会うべき人と会えるようになる。そのような相手から暴力を受けることはありえない。

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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