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“実質完封”の翌戦にまさか。ホークス大竹耕太郎が今季初黒星

田尻耕太郎スポーツライター
先発したソフトバンク大竹(筆者撮影)

デスパイネ激走、2安打

 9月2日、福岡ソフトバンクホークス二軍は、タマホームスタジアム筑後で行われたウエスタン・リーグ公式戦でオリックス・バファローズ二軍と対戦した。

【9月2日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 532人】

オリックス  000403100 8

ソフトバンク 010011000 3

<バッテリー>

【B】◯榊原(2勝0敗)、金田、K-鈴木――フェリペ、飯田大

【H】●大竹(4勝1敗)、津森、奥村、松田遼――海野

<本塁打>

【B】西村1号、後藤1号

<スタメン>

【B】6紅林 8西浦 D太田 3白崎 7西村 5大下 9後藤 4廣澤 2フェリペ

【H】4三森 3内川 7バレンティン Dデスパイネ 9柳町 8佐藤 5リチャード 2海野 6勝連

<戦評>

 ソフトバンクは先制したが、四回に先発の大竹がオリックス打線につかまった。西村と後藤にそれぞれ2ランを浴びて試合をひっくり返された。リリーフした2番手津森は1回3失点、3番手の奥村も2回1失点と振るわず被安打は八回までに計14本。その中、4番手で登板した松田遼が最終回を打者3人であっさり片づけたのは好材料だった。

 打線も湿り気味でチーム5安打のみだったが、4番に座ったデスパイネが2打数2安打1四球と集中力のあるプレーを見せた。第1打席は強烈なゴロでセンター前へ運び、2打席目の内野安打では懸命な全力疾走も見せた。左膝の不安でファーム再調整となった主砲だが、大きな問題はなさそうだ。また、リチャードも2安打。いずれも内野安打で公式戦初盗塁をマークするなど意外なところで目立った。(了)

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18m超の強風

 昼過ぎにHAWKSベースボールパーク筑後に到着すると、防球ネットが中段ほどまで下げられていた。

 タマスタ筑後も然りだ。同球場の場合は風速18メートル以上でセンサーが感知して、防球ネットが下がる仕組みになっている。

 試合が始まる時間になっても風は静まらない。しかし、そのままでは球場外にボールが飛び出して危険なので、手動操作で元の形に戻されて試合は行われた。

 気の毒なコンディションであれ、最善のプレーをするのがプロの役目である。

 ソフトバンク先発の大竹耕太郎は立ち上がりからこの日もゼロを並べるピッチングだった。しかし、どこか普段の安定感がない。風の影響があったとしても不思議ではない。

前回は137球、9回自責0

 そして、突如四回に崩れた。1対0で迎えたこの回、1アウトから4番・白崎にストレートの四球を与えると、続く西村に左翼へ逆転2ランを浴びた。さらに6番・大下に安打を許すと7番・後藤には右越えに2ランを運ばれた。

 大竹はこの試合前まで4勝0敗で勝利数と勝率、さらに防御率1.62も断トツの成績でウエスタン・リーグの投手三冠だった。前回登板だった8月26日の阪神戦(タマスタ筑後)では9回2死から味方失策で失点したものの“実質完封”と言える内容で、9回1失点(自責0)と快投していた。

 ただ、その試合で137球を投げており、或いはその疲労がこの日の不調につながった可能性も否定はできない。しかし、ファームは結果でアピールすることも必要な一方で、ただの数字を求める場ではない。意味を持って首脳陣はマウンドに送り出し、大竹自身も9イニングずっと左腕を振り続けたはずだ。この黒星も今後の一軍再昇格へ向けた過程の一つと、とらえるべきだろう。 

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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