BSフジ「今こそ鉄路を活かせ」にJR北海道が抗議 制作会社社長が激白「小樽駅の外観撮影が無断撮影と」
2024年5月5日正午より、フジテレビの衛星放送「BSフジ」で放送された、サンデ―ドキュメンタリー「今こそ鉄路を活かせ!地方創生への再出発」についてJR北海道からクレームがあったことが判明した。クレームの内容は、JR北海道が、小樽駅の外観撮影と布部駅の外観撮影、根室本線の廃線跡の撮影について無断撮影だと局に対して抗議をしてきたというものだ。これは、番組の制作を行った番組制作会社社長が、大阪市のミニFM局「エフエムひめ」が制作した番組内で語ったもので、この内容については現在もYouTubeで視聴が可能だ。
38:45~がJR北海道についてです。
番組制作会社社長が激白
「BSフジ」で放送された「今こそ鉄路を活かせ!地方創生への再出発」は、北海道を始めとした全国のローカル線問題をクローズアップしたもので、北海道の問題については北海道庁が主導する密室の並行在来線対策協議会で廃止の方針を決めた函館本線の長万部―小樽間の問題がクローズアップされた。
また、番組内ではJR北海道についても触れ、1987年の会社発足当時に当時の運輸省は年間の赤字額500億円弱を適正額と判断し、当時の長期金利7.3%から逆算した6822億円を経営安定基金として設けたこと。JR北海道はこの経営安定基金から生み出される運用益約498億円で赤字を穴埋めされるものとされたこと。しかし、バブル経済が崩壊した1990年代半ば以降、国の低金利政策によってJR北海道の経営安定基金運用益は急激に減少したこと。これらの要因がJR北海道の経営を窮地に陥らせた原因だとしたうえで、2011年5月になり石勝線列車脱線火災事故が発生したことや、2013年9月に発生した函館本線大沼駅構内の貨物列車脱線事故では脱線現場の線路の検査データが改ざんされていたことにも触れていた。
番組制作会社社長は、JR北海道からのクレームについて「当初は番組の内容に対する抗議かと思ったが、無断撮影に対する抗議だった」と話す。JR北海道に対しては「何かJR北海道さんを傷つけるような映像になっていますか?」と言ったところ、「あれはうちの土地だ」「勝手に入った」と主張してきたという。例えるならば、多くの人々が利用する駅は公共性の高い場所で、大阪駅の駅舎を撮影していたところJR西日本の社員が飛んできて「無断撮影だ!」とクレームをつけるようなもので、いずれにせよJR北海道が「番組の内容が気にくわなかったとしか思えない」と番組制作会社社長は話していた。
なお、この番組制作会社は今までも旅番組でJR北海道の路線をほとんど撮影してきたが、無断撮影でクレームを受けたのは今回が初めてだったという。
JR北海道は産経新聞社にも抗議
産経新聞でも2024年6月20日から26日にかけて「北の鉄路を考える」という連載を行っていたが、JR北海道は「安全を確認し、乗客の顔が写らぬように配慮してホーム上で撮った列車写真を、デジタル産経のニュースから削除するように求めてきた」という。産経新聞社からJR北海道に対して「報道目的でホーム上で撮影した写真を掲載してはいけない法的根拠を示すようお願いしたが、締め切りまでに明確なお答えがなかった」。
(了)