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「バッシュ・ブラザーズ」として一世を風靡したカンセコが再びホームランを量産する日

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホゼ・カンセコ May 26, 2009(写真:ロイター/アフロ)

3月9日、テキサス・レンジャーズ傘下のAA球団、フリスコ・ラフライダーズがプロモーションのスケジュールを発表した。

今シーズンのテーマは1980年代らしい。

6月24日は映画「トップガン」、7月8日はゲームボーイ、7月29日は映画「ゴーストバスターズ」をそれぞれテーマにしたジャージを着て、選手たちがプレーする(他のテーマのジャージを着る日も存在する)。

また、ゲストが登場する日もある。6月4日はホゼ・カンセコ、6月17日はエリック・エストラーダ、7月29日はアーニー・ハドソンがやってくる。

カンセコは今やステロイド・ユーザーとして名が通っているが、かつてはマーク・マグワイア(現サンディエゴ・パドレス・ベンチコーチ)とともに「バッシュ・ブラザーズ」として鳴らし、人気も博した。本塁打王のタイトルを2度獲得し、通算では462本塁打を放っている。

エストラーダはトロント・ブルージェイズのマルコ・エストラーダとは関係ない。TVシリーズ「白バイ野郎ジョン&パンチ」のパンチだ。アーニー・ハドソンはその日付からわかるとおり、「ゴーストバスターズ」に出演している。

6月4日は「ホゼ・カンセコ・ホームラン・チャレンジ」と銘打ってあり、カンセコが地元の名士たちとソフトボールあるいはベースボールで本塁打競争をするという。ラフライダーズのリリースには「カンセコは622フィートのソフトボール世界最長ホームラン記録保持者だと主張している!」と書いてある。622フィートは約189.6mだ。

「バッシュ・ブラザーズ」の相棒がメジャーリーグでコーチをしているのに対し、マイナーリーグのプロモーション・イベントのゲストというのは、選手当時の姿を目にしているだけに少し哀しい気もするが、まあ、元気なのだからよしとすべきか。

それにしても、パンチはともかく、どうせなら「ゴーストバスターズ」のプロモーション・イベントにはダン・エイクロイドを呼んでほしかった。

「バッシュ・ブラザーズ」には有名なポスターがある。オークランド・コロシアムに乗り入れたパトカーの前で、黒のスーツとネクタイ、帽子で決めた2人が巨大なバットを手にしているものだ。そう、このポスターは、エイクロイドがジョン・ベルーシと演じた映画「ブルース・ブラザーズ」にちなんでいる。

「ブルース・ブラザーズ」に当てはめるとすれば、カンセコはエルウッド(エイクロイド)よりもジェイク(ベルーシ)だろう。33歳の若さで逝ったベルーシの死因は、他ならぬクスリだ。付け加えるなら、マグワイアもエイクロイドも、当時はスリムだった。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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