【オートバイのあれこれ】流麗なZ1デザインと決別。“角”スタイルに生まれ変わった空冷Z!
全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。
今日は「流麗なZ1デザインと決別。“角”スタイルに生まれ変わった空冷Z!」をテーマにお話ししようと思います。
『900Super4』(Z1)をリリースして以降、世界のビッグバイク市場をリードする存在となったカワサキ。
Z1はホンダCBをも凌駕するスペックを備え、世界中で売れに売れたわけですが、ライバルメーカーが矢継ぎ早に高性能なオートバイを繰り出してくるなか、次第にカワサキもZ1の名声に甘えてばかりはいられなくなってきます。
言うまでもなくカワサキも年を追うごとにZ1の改良には取り組んでいたものの、Zはモデルチェンジを経ても基本的な部分があまり変化しておらず、世のバイクファンからするとカワサキZはどんどん陳腐化しつつあったのです。
そこで、カワサキは次なる一手を打つことを決意、Zの大胆なイメージチェンジを図ることにします。
その内容は、それまでの曲線デザインとは正反対の、直線基調のシルエットを採用するというもの。
1978年(昭和53年)にデビューした『Z1-R』は、その“デザイン改革”が施された最初のモデルになります。
他に類の無い角ばったデザインは当時のバイクファンを驚かせ、Z1-Rは一躍人気モデルとなりました。
そしてこのZ1-Rが登場した翌年にリリースされたのが、今回ピックアップする『Z1000Mk.Ⅱ』になります。
Z1-Rの角形スタイルを受け継ぎ登場したZ1000Mk.Ⅱも、その個性的な佇まいから人気を博しました。
そのルックスばかりに目が行きがちなZ1000Mk.Ⅱですが、実はエンジン等の機能面にもキッチリと手が入れられています。
主な箇所で言うと、点火方式の変更(ポイント式→トランジスタ式)や新作クランクシャフトの投入、フレームの強化などが挙げられます。
結果的にエンジン出力はZ1000の頃から10psアップするなど、Z1000Mk.Ⅱは中身も着実に進化していたと言えます。
さて、最近ではもうあまり聞かなくなりましたが、かつてカワサキ車は「男っぽい」「硬派」などと言われていました。
こういったイメージの起源について正確なことは分からないものの、私個人の推測としては、このZ1000Mk.ⅡやZ1-Rといった「角Z」がそのイメージを育んだのではないかと考えています。
他のメーカーでは見ることのない、あらゆる部分が角ばった「ゴツい」佇まいは、まさしく男性的。
よくヤマハのオートバイが「女性的なデザイン」などというふうに言われますが、Z1000Mk.Ⅱ等の角Zモデルはそれとは対極をなす存在のように思えます。
“硬派カワサキ”のイメージは、ここから始まったのかもしれません。
画像引用元:カワサキモータースジャパン