【オートバイのあれこれ】「スズキのハスラー?クルマじゃねぇよ!」
全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。
今日は「“スズキのハスラー?クルマじゃねぇよ!”」をテーマにお話ししようと思います。
「スズキのハスラー」と聞いて、思い浮かべるモノは何ですか?
こう問われると、こちらを挙げる人が今ではほとんどかと思います。
ポップなデザインがかわいらしい、軽自動車の『ハスラー』。
街中でもよく見かける、スズキの人気車種ですね。
しかし、ここでピックアップするハスラーはコレではありません。
“バイクのほうの”ハスラーです!
「バイクのハスラーなんてあるの!?」
あるのです(あったのです)。
スズキは、クルマのハスラーを生み出すよりはるか昔、『ハスラー』と名付けたトレールバイク(オフロードバイク)のシリーズを展開していました。
1969年(昭和44年)に最初のハスラー『ハスラー250』をリリースして以降、『ハスラー90』や『ハスラー185』などを立て続けに発売。
そして’72年、シリーズ最大排気量となる『ハスラー400』(TS400)をリリースします。
今回は、このハスラー400にスポットを当てることにしましょう。
ハスラー400は、’71年のモトクロス世界選手権にて世界チャンピオンを獲得したスズキのワークスレーサー『RN71』をベースに開発されて登場。
シリーズ最高峰モデルらしく、スペックの高さが一番のウリでした。
とくにエンジンパフォーマンスが当時としては驚異的で、排気量396ccの空冷2ストローク単気筒エンジンは34psの最高出力をマーク。
’60〜’70年代にかけての時代はまだ、冷却の観点から「2ストで大排気量化は難しい」と言われていましたが、スズキは二輪・四輪問わず2スト専門を貫き、’68年には市販車として史上初の大型2ストマシン『T500』を完成させるなど、2スト開発のノウハウをコツコツ育てていたことから、このハスラーの空冷ビッグ2ストエンジンを作り上げることができたのでした。
ハスラーのエンジンはそのピークパワーに注目が集まりがちですが、実際に走らせると低い回転数からモリモリと豊かなトルクが出てくる特性で、その発進加速の力強さはかなりのものだったようです。
調べてみると、「静止状態からの加速ならホンダのCB750FOURより速い」という評価も少なくなかったみたいですね。
たしかに、ハスラーはオフロードバイクということもあって車重がCBより80kg以上も軽かったですから、加速性や俊敏性はハスラーのほうが一枚上手だったというのは想像に難くありません。
画像引用元:スズキ