小3男子「ドラクエ3」挑戦のてん末 「最悪だ…」のセリフが意味する最高の誉め言葉
世界出荷数200万本を突破したリメーク版「ドラゴンクエスト3」。先日ドラクエ“デビュー”をした小学3年生の息子の挑戦を記事にしましたが、てん末と、親として見守っていての気づきなどに触れてみます。
・小3男子が遊んだ「ドラクエ3」の評価 スマホネイティブにはどう映る?
「ドラクエ」の愛称で知られる「ドラゴンクエスト」シリーズは、自身が主人公となって世界を脅かす敵を倒すために冒険をする人気のRPGです。元々「3」の原作はファミコン向けのゲームソフト(1988年発売)で、360万本の大ヒット商品。当時は購入希望者の長い列ができ、テレビや新聞にも取り上げられるなど社会現象となりました。
昨年11月に発売されたリメーク版は、ドット絵と3DCGを組み合わせたグラフィック(HD-2D)に一新し、PS5やPC、ニンテンドースイッチなどで遊べます。ストレスなく遊べる工夫があり、レベルアップをするたびにHPやMPが全回復、全滅をしてもオートセーブのところからやり直せる上、次の目的地が表示されるなど、いたれりつくせりです。
◇印象に残ったゾーマ
「ドラクエ3」をプレーするときの息子は、「次は何するんだっけ?」と目的を忘れることが多々あったものの、充実のガイドシステムもあって、着実にゲームを進めていきます。序盤は中ボス(特にカンダタ)との対決をやたら怖がっていたのですが、マニュアル操作での戦闘は楽しく、無事エンディングを見ることができました。
はたから見ていて最も印象的だったのは、魔王バラモスを倒して、故郷の城アリアハンに戻った時に起きる「あのイベント」。よほど想定外で、衝撃だったのでしょう。息子は呆然として「最悪だ……」とポツリ。この反応は、制作側にとってある意味「最高の誉め言葉」と言えます。同時に新規プレーヤーだからこそ味わえる、1回だけしか体験できないサプライズなのですが。
そしてクリアをした直後息子に「一番印象に残ったことは?」と聞くと、「ゾーマとの戦い」と即答。ゲームファンには名曲として名高いゾーマ戦のBGM「勇者の挑戦」を「恐怖音楽」と表現していました。ゾーマは本当に強かったらしく、味方の強化を無効にする「凍てつく波動」は心底イヤだったそうです。
また、船と不死鳥ラーミアを手に入れたときも、一気に世界が広がってうれしかった……とも答えていました。最初は「面倒」と言っていたマップの探索も、その魅力が少しだけ伝わったのか、ラーミアであちこちを飛び回っていました。
一方で、エンディングは感動したようですが、最後の内容について「分からない」とも。「ドラゴンクエスト2」のプレー経験者には衝撃の“仕掛け”ですが、未経験者はそう思うかもしれません。そこで息子に「謎が分かるはずから、今度は『ドラゴンクエスト1&2』(今年発売予定)をやろう!」と誘うと、「やらない」とつれない返事。後日気が変わることに期待します。
◇息子と「ドラクエ」トーク
息子に「ドラクエ3」を遊ばせるように仕向けたのは、読書嫌いの彼に、文字を読むことに慣れさせるためですが、その点は概ね狙い通りにいった気がします。小3の子が膨大な量のテキストを懸命に読んで、知らない漢字があっても嫌がらず(ひらがなモードは本人が拒否)、彼なりにストーリーを追い、分からないことも含めて考えたことは、良かったと考えています。もちろん小3ですから、誤解や間違いもあるでしょうが、それを含めて良い体験だったはず。本人も初めて自力でクリアしたゲームだけに、大きな達成感もあったようです。
なおゲーム中に、暗算(ダメージ計算)をさせようとした私の作戦は失敗しました。モンスターとの戦闘で与えたダメージを計算し、敵のHPを予測することは一応教えたのですが、息子は「面倒なので適当!」とぴしゃり。概数でも良いので、計算するくせもつけてほしかったのですが……。ですがダメージの累積計算をしてないわりに、属性のことも概ね理解しながら、良い順番で戦っていたので、彼なりの必勝法があるのかもしれません。
それと、学校の宿題で分数の問題が出て、それを理解させるための事例として、はぐれメタルの逃げる割合を題材にすると、グッと食いつきました。このように「ドラクエ」のネタを勉強の解説時にまぜると、イメージがしやすいのか、勉強の話に耳を傾けてくれるようになりました。もちろん一時的な効果しかないでしょうが……。今では息子と「ドラクエ」トークができることが楽しい日々です。
約9年前に息子が0歳のころ、「ドラクエ2」の名曲「この道わが旅」を子守歌にしたことがあります。彼が「ドラクエ1&2」を(気が変わって)プレーし、エンディングを見てくれると最高なのですが。とはいえ無理やりさせるものでなく、もう少し先の話なので、暖かく見守りたいと思います。