なぜ鎌田大地はCLでの評価が分かれた? 「謎の選手」に期待される“目覚め”
ラツィオの鎌田大地が先発復帰を果たした。だが、事態を好転させるほどの活躍は残せなかった。
11月7日、チャンピオンズリーグ(CL)・グループステージ第4節のフェイエノールト戦で、鎌田は約1カ月ぶりにスタメンに名を連ねた。チームは敵地で1-3と完敗したフェイエノールトに1-0と勝利。グループ2位に浮上と、決勝トーナメント進出に向けて大きな白星をあげた。だが、53分と後半の早い時間帯に交代を命じられている。
■鎌田大地のプレーはどうだった?
フェイエノールトに敵地で敗れた前節の試合後、マウリツィオ・サッリ監督は鎌田を起用しなかったことへの悔いを口にしていた。迎えたリターンマッチ、前日会見ではルイス・アルベルトと鎌田の共存が戦術的バランスから難しいと話したが、その両者をインサイドハーフに同時起用している。アンカーにマティアス・ベシーノを置いたことが「戦術的バランス」だ。
鎌田は前半11分にうまくエリア内に入り、さらに即時のボール奪還から好機をつくりかけた。先制後の前半アディショナルタイムには、オフサイドになっていたかもしれないが、チーロ・インモービレに見事なロングレンジのスルーパスを通しかけている。
だが、ハイライトとなるような場面をつくるには至らなかった。出場機会が激減している現状を打破するほどのインパクトだったとは言いがたい。
■鎌田大地の評価は?
『La Gazzetta dello Sport』紙や『La Repubblica』紙、『Sport Mediaset』、『cittaceleste』といったメディアは、及第点の6点をつけた。一方で、『Sky Sport』は5点と辛口。5.5点という採点も少なくなかった。及第点前後の評価、ということになる。
タフな一戦を勝ちきったチームへの評価は高い。それだけに、鎌田に対する厳しい評価は目立ちがちだ。鎌田だけ及第点未満としたメディアもある。決定的な仕事に多々絡むことがなく、目に見える結果ではなかったからだろう。
ただ、一部のメディアの寸評には、一定の評価をしている様子もうかがえた。
『La Gazzetta dello Sport』紙は守備で「全体的にはうまいカバーリングを保証」し、攻撃では「まずまずの貢献」だったと報じている。
『Sport Mediaset』は「十分なパフォーマンス」としつつ、「もっと多くが期待されていた」「サッリが望んでいたはずの刺激にはなれなかった」という評価だ。
『calciomercato.com』は、「戦術の実行においては前進」としながら、「まだあまりに戸惑っているようなところがある」「うまくハマっていない」と、かみ合いかたが不十分と指摘した。
『cittaceleste』は「魅了することはなかったが、失望もさせなかった」と、可もなく不可もない出来との見解。「変わらずに謎の選手」と評し、「できるだけ早い目覚めを願う」と期待も込めている。
つまり、サッリの戦術に少しずつ適応はしており、一定の貢献もうかがえるが、もともとの期待に見合うほどの出来には達していないということだ。実際、鎌田は評価された点をこなしつつ、決定的な仕事をすることを求められている。
■鎌田大地の展望は?
その決定的な仕事ができない限り、ポジションを奪うのは容易ではないだろう。
フィジカルと守備で上をいくマテオ・ゲンドゥジに勝つには、攻撃での貢献が必須だ。同タイプとの評価が高まっているルイス・アルベルトに取って代わるのが至難の業であるのは言うまでもない。
ラツィオは週末のセリエA次節でローマとのダービーマッチに臨む。極めて重要な一戦で、サッリが鎌田を再びスタメンに起用することは想像しがたい。
ただ、ルイス・アルベルトの疲労を指摘する声が高まっているのも確かだ。この日のフェイエノールト戦でも、プレーそのものには厳しい見方もあった。終盤に負傷しながらも戦い抜いたリーダーシップには賛辞が寄せられている。だが、その“勤続疲労”からくるケガの懸念もあるだろう。
サッリがどれだけルイス・アルベルトを使い続けるかは分からない。確かなのは、今の鎌田にできることは、常に準備を整え、ピッチに立ったときに評価を高めていくしかないということだ。