陽川選手が2戦連発!今季初先発で大きく前進した望月投手《阪神ファーム》
今週の阪神ファームは前半が鳴尾浜でのオリックス3連戦で、後半は由宇での広島3連戦という予定になっています。まず17日に行われたオリックス戦は、昨年12月に腰部ヘルニアの手術をした望月惇志投手が、完全復帰への大きなステップとなる先発のマウンドへ上がりました。15日のファーム交流試合・日本ハム戦(鎌ケ谷)が雨天中止となり、“スライド”での今季初先発は3回1安打無失点と上々の結果です。
打線は、陽川尚将選手がバックスクリーンを越える特大の今季1号で先制したものの、終わってみればわずか4安打で12三振と奮わず。終盤にエラーも絡んで逆転を許しています。
ところが、翌18日の打線は今季2度目の先発全員安打、いえ先発だけでなく途中出場も含めての“全員安打”で、陽川選手は先制の2号3ラン!2試合連発ですね。投げてはルーキーの谷川昌希投手が6回4安打無失点で“プロ初勝利”!また下半身の張りで調整中だった岩田稔投手が今季初登板で2回を無安打無失点など、8対0の完封リレーでした。
1試合目は終盤に逆転されて敗戦
ではまず17日の試合結果をどうぞ。
《ウエスタン公式戦》4月17日
阪神-オリックス 4回戦 (鳴尾浜)
オリ 000 000 211 = 4
阪神 010 000 000 = 1
◆バッテリー
【阪神】望月‐青柳‐山本‐●尾仲(2敗)-守屋‐歳内 / 長坂
【オリ】小林(4回)-K鈴木(1回)-○榊原(1勝1敗1S)(1回)-海田(1回)-山本(1回)-S岸田(1勝1S) / 飯田
◆本塁打 陽川1号ソロ(小林)
◆二塁打 吉田雄、西浦
◆盗塁 西浦(3)、吉田雄(2)
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]中:江越 (4-0-0 / 3-0 / 0 / 0) .227
2]右:島田 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .231
3]遊:北條 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .179
4]左:板山 (3-1-0 / 2-0 / 0 / 0) .295
5]三:陽川 (3-1-1 / 2-0 / 0 / 0) .200
6]一:中谷 (3-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .194
7]指:緒方 (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .237
8]捕:長坂 (3-0-0 / 2-0 / 0 / 1) .286
9]二:熊谷 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .176
〃打:荒木 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .195
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
望月 3回 45球 (1-3-1 / 0-0 / 0.00) 152
青柳 2回 18球 (0-2-1 / 0-0 / 4.15) 144
山本 1回 11球 (1-0-0 / 0-0 / 4.91) 135
尾仲 1回 28球 (2-1-2 / 2-1 / 3.12) 146
守屋 1回 29球 (2-1-0 / 1-0 / 2.53) 146
歳内 1回 15球 (1-0-1 / 1-1 /12.27)142
《試合経過》※敬称略
1回は三者凡退で立ち上がった望月。2回は1死からヒットに盗塁、暴投もあって2死三塁としますが無失点。3回は2死からストレートの四球を与え盗塁を許したものの0点に抑えました。ついで青柳が登板。4回は三者凡退(吉田雄の一ゴロを中谷がはじくも、うまく青柳の前へ。青柳が捕って再び中谷へトス。中谷はかなり恥ずかしそうな顔で苦笑、他の野手陣は完全に笑っていたもよう)。5回は先頭に四球も併殺打など3人で終了です。
その間の打線は2回、先頭の陽川がセンターへ大きな当たり!打球はバックスクリーンにゴンッと…あれ?音が聞こえない。当たっていない?もしかして、その上?というわけで、今季1号はバックスクリーン越えでした。ところがオリックス2年目の小林に対して1回、3回、4回と完璧に抑えられます。
後半は1イニングずつの投手交代だった阪神。まず6回は山本が先頭にヒットを許すも後続を断って無失点。でも7回の尾仲が2四死球とヒットで1死満塁とし、代打・武田に左前タイムリーを浴びます。なおも1死満塁で西野の投ゴロをホームへ送って2死となり、長坂が一塁へ転送したものの中谷が捕れず後逸(記録は長坂の送球エラー)。飯田が勝ち越しのホームを踏みました。
8回は守屋が登板。先頭に左前打されて自身の牽制悪送球で三塁まで進め、そこから2死を取ったあと吉田雄の左中間二塁打で3点目。9回の歳内も四球と犠打などで2死二塁となり、西浦に左越えのタイムリー二塁打。7回から4失点です。こちらの打線は5回に中谷が中前打しますが二盗失敗。6回は三者凡退。7回も2死から板山が中前打しただけ。8回と9回は三者凡退でした。
痛みがないのはすごくうれしい
では望月投手の話からご紹介しましょう。立ち上がりは少し力んでいた?「ちょっと入り方が納得いくものではなかったので、力みもありましたし、うまく体が使えていなかったと思います」。初めての先発には「先発なので先頭は意識して抑えていこうと思って、その先頭は3回とも抑えられたので続けていきます。逆に、3回は2アウトからフォアボールを出した点を反省しないと。いいところは次も続けて、反省点は次の登板までに練習で修正していきたいと感じました」と冷静なコメントです。
3回2死からストレートの四球を出したものの、みんな球は低めにいっていたのでは?「スライダー、スライダーとボールになったので、次はストレートでちょっと…ストライク欲しいなという気持ちが、ボールのゆるみにつながったと思います。球自体は低かったので、高さはあのままで、いいボールを投げないと」
腰の手術から、ここまで来ましたね。「腰の痛みがないのは、すごくうれしいこと。これからもケア、トレーニングを続けていきたい」。次の登板に向けて「次までの時間を有効に、レベルアップに費やしていきたいと思います」と望月投手らしい言葉。「変化球は高めに浮いていたし、スライダーも。精度はまだまだなので」
「次がクリアポイント」と監督、コーチ
矢野燿大監督は、今季初先発ながら球速も最速152キロが出たという記者陣の言葉に「それは前にも出ているし、いつも通りのもっちーかな、というピッチングだったよ。想定内。しっかりやってくれた。今後、イニングを長くしてローテできっちり投げられるか。それぐらい。ボール事態はまったく落ちることなく、ずっといい。楽しみしかないね」と、当然でしょうという話しぶりでした。
やがては1軍も?「もちろん、抑え方を見てもらえばわかる。ここ(ファーム)で抑えるのは当たり前で、どう抑えるかやから。余裕を持って抑えてた。スケールの大きいピッチャーになれる可能性を十分に持っている。将来、タイガースを背負うピッチャーになるでしょう。楽しみ」
高橋建投手コーチにも望月投手のことを聞いています。「いいですねえ。あのストレートのフォアボールも、わざと出したのかと思うくらい。本人に聞いたら『違います!』と言うので、そこは反省です(笑)。球の強さが、セットの時は真っすぐを狙っていたと思う中でファウルを打たせるなど、相手を上回っていました。ただタイミングが合っていたので1軍ではどうかなってとこですね」
今後について「次は5イニングです。中6日で。そこでクリアとなります。5イニングを投げたら、もう(リハビリ組から抜けて)こっちの管轄になるので。内容どうこうは関係なく、5イニングを投げられたらクリアだと思ってください」と高橋コーチ。矢野監督が「クリアできれば、はっきり1軍というのが見える」と言っていたのも、このことでしょう。そして「まだその先に、あいつは目標を持っているからね」と。
翌日は3投手が無四球完封リレー!
続いて18日の試合結果です。陽川選手のホームラン談話は、試合経過のあとで1号、2号を一緒にご紹介します。
《ウエスタン公式戦》4月18日
阪神-オリックス 5回戦 (鳴尾浜)
オリ 000 000 000 = 0
阪神 300 005 00X = 8
◆バッテリー
【阪神】○谷川(1勝)‐岩田‐藤谷 / 小宮山
【オリ】●山田(2勝2敗)(5回1/3)-戸田(2/3回)-大山(1回)-斎藤(1回) / 西村
◆本塁打 陽川2号3ラン(山田)
◆二塁打 坂本
◆盗塁 吉田雄(3)、中谷(3)
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]右:江越 (5-1-2 / 1-0 / 0 / 0) .225
2]左:島田 (4-1-2 / 1-0 / 0 / 0) .233
3]三遊:北條 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .183
4]中:板山 (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .304
5]一三:陽川 (3-1-3 / 0-1 / 0 / 0) .208
6]指:中谷 (4-1-0 / 1-0 / 1 / 0) .197
7]捕:小宮山 (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .333
8]二:森越 (2-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .188
〃打一:荒木 (2-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .209
9]遊二:熊谷 (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .181
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
谷川 6回 84球 (4-4-0 / 0-0 / 3.00) 146
岩田 2回 18球 (0-1-0 / 0-0 / 0.00) 141
藤谷 1回 13球 (0-1-0 / 0-0 / 1.80) 139
《試合経過》※敬称略
まず攻撃。1回は2死から北條と板山が連打し、陽川が2戦連発となる2号3ランで先制しました。2回は小宮山の中前打のみ、3回は三者凡退で4回は1死から中谷の左前打と盗塁、2死後に森越が右前打しますが無得点。5回は三者凡退です。しかし6回、先頭・板山の左前打と陽川の四球、1死後に代わった戸田から小宮山が中前打して満塁となり、代打・荒木が左前タイムリー!
そのあと熊谷の投ゴロで陽川がホームでアウトとなりますが、なおも2死満塁で江越が左前タイムリー!2人を還し、島田も左前に2点タイムリーを放って、この回5点を追加しました。7回は三者凡退、8回に2死から熊谷が右前打して、これで全員安打達成です。
投手陣は、先発の谷川が1回に坂本の二塁打を浴びながら0点に抑え、2回は先頭の吉田雄に内野安打と盗塁を許しますが、そこから3者連続三振!3回の先頭も三振で4者連続でした。その3回は2死から坂本の内野安打のみで、4回は三者凡退。5回は先頭の縞田に右前打されるも後続を内野ゴロで断ち、6回は再び三者凡退。6回を投げ散発4安打で無失点、四死球もありません。
ついで今季初登板の岩田が7回、8回を完璧に抑えています。最後は藤谷が9回を三者凡退で締めて、3投手による無四球完封リレーとなりました。なのに…好投した投手陣のコメントがなくてすみません。また改めて取材をさせていただきます。
2試合連発にも笑顔はなく…
では、2戦連発の陽川選手の話をご紹介しましょう。17日の今季1号がバックスクリーン越えでした。1球目が101キロのカーブ、それを見送って「スライダーです」という119キロの2球目を打ったもの。打った直後は写真のように満面の笑みで、ベンチ前の祝福を受けていたのですが、その後が2打席連続三振だったこともあって浮かない表情。
「1打席目はあれですけど…2打席目と3打席目がダメだったんで。あんまり内容もよくなかった」
「迷いとか、タイミングとかもあるし、切り替えられないで中途半端なまま打席に立っている気がするので」
「だからホームランもいいと思わないですし、そのあとの打席が大事だと思うので。また練習して、しっかりやっていきます」
というコメントです。通りかかった今成亮太選手に「バックスクリ~ン」と冷やかされても苦笑い。また嘉勢敏弘打撃投手には「(バックスクリーンを)越さんでも、ゴンと当たればええんやから。分けてな」と。飛距離を分割するなんて不可能ですけど、できるならヒット3本の方が本人もよかったかもしれませんね。
18日の2号先制3ランは1回2死一、二塁の場面。山田投手に2球で追い込まれた、次の変化球をレフトへ打ちました。本人は「真っすぐがとらえられていない。今後も、どんな投手でもタイミングを取っていければ。タイミングですね」と、やはり嬉しそうでなかったようです。矢野監督は「よく追い込まれたところで打った」としながらも「1軍で通用するには、追い込まれるまでに何とかしてほしい」と言っています。
これが続けば見えてくる兆し
また17日に2本の中前打を放った中谷将大選手に、矢野監督は「きょうはよかったね。他のファウルしているところも、練習もよかったし。きょうみたいな感じが続けば楽しみかな。この前までは、どうなるんやろ…っていう感じがしたけど。これが続いていけば、見えてくるかなという2本だったので、あした以降も続いていくように」と話しています。
実は先週末の鎌ケ谷で、試合前練習の終盤に矢野監督が中谷選手を指導する場面がありました。身振り手振りを交えて、バットを振る動作をしていたので、あとで聞いてみたら“トップの位置”に関することだったようです。「みんな勘違いしているけど、一番高いところがトップではなく、打ちにいく時の形がトップ。高いとこだと、そこから打ちにいって緩んでしまうことになる」と監督。結果はこれからの試合で見せてくれるでしょう。
<掲載写真は筆者撮影>