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ソフトバンク千賀、まだオープン戦なのに自己更新158キロも「驚きはない」

田尻耕太郎スポーツライター
自主トレ中からストレートの質にこだわっていた(今年1月、筆者撮影)

予感はあった「それくらい出るかな」

 まだオープン戦でしかも序盤のこの時期に、ソフトバンクの千賀滉大投手が驚異的なストレートを投げ込んだ。

 立ち上がりの初回、先頭の鳥谷への6球目に158キロを叩きだしたのだ(結果はファウル)。昨年の開幕戦の第1球でマークした157キロを更新。さらに3番北條への5球目にも同じく158キロを計測した(結果はボール)。

 登板後の千賀は「それくらいは出るかなと思っていました。驚きはない」と事もなげに振り返った。「オフからやって来たことがそれなりに出たのかなと思う」。千賀はかねてからストレートの向上にこだわりを見せてきた。代名詞ともなっているお化けフォークに関しては「これより先はないのかな」と完成形に近いとの手応えを示す。その一方で、ストレートについて問うと「“へぼい”ボールしか投げられないのは分かっている。だからもっとすごいボールを投げられるピッチャーになるために、普段の生活のところからしっかり考えていきたいです」と意欲を口にした。

「本来は真っ直ぐだけで」

 また、このような話もしたこともある。

「本当の理想を追いかけるならば、フォークはいらないです。本来は真っ直ぐだけで抑えたい。それがピッチャーの本能です。みんなそうだと思いますよ。誰も変化球なんて使いたくない。だけど、真っ直ぐだけで抑えられないからボールを曲げるんです」

 この日は予定の3回を37球で投げきって、被安打2の無失点。奪三振はなかった。「結果的にゼロで抑えられたのでまずまず。やりたいことも多少できた。でも、決して良くはなかった」。すでに指名されている3月29日の開幕投手に向けて状態を上げていきたいとも話した。

大台の夢は見ない

 この時期に158キロを見せられれば、見る側は“大台”の夢を描いてしまう。しかし、千賀は言う。

「いや、抑えていかないと、また怪我をする」

 今シーズンは「自覚」の2文字をテーマに、1年間投げ抜く熱い覚悟を胸にしまっている。「千賀が投げれば大丈夫とチームにもファンにも思ってもらえるピッチャーにならないと」。何が大事なのか、誰よりも本人が一番分かっている。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。「Number web」でのコラム連載のほかデイリースポーツ新聞社特約記者も務める。2024年、46歳でホークス取材歴23年に。 また、毎年1月には数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。

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