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今日15日はどこで吹く?「春一番」が"嬉しい春の知らせ"ではないワケを気象予報士が解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

今日15日は日本海で発達する低気圧の影響で、東京の最高気温が20度と4月中旬並みの予想で、「春一番」が吹く可能性があります。

「春一番」と聞くと、なんだか嬉しい風物詩のようなイメージもありますが、実はこれ、あまり嬉しいお知らせではありません。

「春一番」ってそもそも何?

「春一番」は、立春から春分の間に、日本海で低気圧が発達して一定基準以上の強い南よりの風が初めて吹いたときに発表されます。

…と聞いて、「何だか思ったよりも話が細かいな」と感じたかもしれません。

実は春一番は設定が細かく、上記の「一定基準以上」の強風の基準も地域ごとに異なりますし(たとえば関東や近畿では風速8メートル以上、北陸や四国ではおおむね10メートル以上、など)、ここへさらに気温の条件(前日より上がった等)が加わる地域もあります。

とはいえ、ざっくりまとめると、「春らしい強い南風」が最初に吹いたら「春一番」、というわけです。

何のために発表するの?

「春一番」の条件を満たすような風が吹く時というのは、天気が荒れる時です。

冬の間、低気圧は日本の南海上を通過することが多く、日本海まで北上してくることは稀です。

しかし立春を過ぎた頃になるとしばしば低気圧が日本海を通るようになり、しかもかなり発達するようになって、強い雨や雷、それに強風をもたらすようになります。

そのため、「そろそろ低気圧急発達の荒天に注意が必要な時期になりましたよ」とお知らせしてくれるのが「春一番」。

つまり決して嬉しいお知らせではなく、注意喚起なのです。

今日15日はどこで「春一番」が吹く?

「春一番」は関東や北陸といった地方ごとに発表されることになっているので、同じ日に発表される地方とそうでない地方が出てきます。

今日15日は、気温(前日より上昇)の基準で言うと、関東や四国、中国、九州北部・南部などの地方で条件を満たしそうです。

一方、風速の基準については、関東、東海、九州北部でぎりぎり条件を満たしそうな予想となっています。

大雨・突風・落雷にも注意

「春一番」が吹くような時は荒天になりやすいことを説明しましたが、実際に明日は、秋田県に対しては大雨、そして九州南部・奄美・四国・近畿・東海の各地方に対しては突風と落雷に関する防災情報が気象庁から発表されています。

また、関東や東北南部では強風により交通機関に影響が出るおそれもありますので、時間に余裕を持って移動するようにしましょう。

気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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