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近畿・東海・関東甲信で梅雨入り!関東甲信は史上2番目に遅い…このさき雨の量はどうなる?気象予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
21日11時の雨雲の様子(気象庁HPより)。

21日11時、気象庁は、近畿・東海・関東甲信の梅雨入りを発表しました。近畿と東海の梅雨入りは去年より23日、平年より15日遅くなっていて、近畿では統計史上3番目に遅い梅雨入りいに並びました。また関東甲信は去年より13日、平年より14日遅く、統計史上2番目となっています。
関東で降っている雨はあと数時間、つまり21日夕方にはやむ見込みですが、22日以降、再び梅雨前線が北上し、このさき曇りや雨が多い状態が続きそうです。
なぜ梅雨入りはここまで遅れたのか、そしてこのさきの雨の量はどうなるのでしょうか。

遅れた前線北上

関東甲信の梅雨入りが遅かった年の一覧(気象庁データを元に作成)。なお気象庁でデータを統計として扱う際、1位の値が2つあったら新しい方が1位、古い方が2位となるので、その数え方だと2024年は3位になる
関東甲信の梅雨入りが遅かった年の一覧(気象庁データを元に作成)。なお気象庁でデータを統計として扱う際、1位の値が2つあったら新しい方が1位、古い方が2位となるので、その数え方だと2024年は3位になる

気象予報士たちは例年、5月に入る頃から太平洋高気圧の北端のラインを気にし始めます。太平洋高気圧は英語でサブトロピカル・ハイと言うので、気象予報士間では略して「サブハイ」と呼ぶことが多いです。
上空5500m付近の専門的な天気図で見て、梅雨前線位置の目安となるこの北端のラインが北緯30度くらいまで上がってくると、本州付近の梅雨入りの「合図」です。

ところが今年2024年はその「サブハイ」が、西への張り出しが強い一方で北への張り出しは弱くなっていました。これは説明し始めると専門的で難しいのですが、フィリピン付近の対流活動の状況や、寒帯前線ジェットと呼ばれる風の影響で北から寒気が入りやすかったことなどが関係しています。
そのため梅雨前線はなかなか北緯30度付近まで北上せず、結局沖縄の梅雨明けとほぼ同時に本州各地が梅雨入りすることに。

関東甲信の梅雨入りが遅かった年の一覧(気象庁データを元に作成)。
関東甲信の梅雨入りが遅かった年の一覧(気象庁データを元に作成)。

そもそも例年だと、【1】沖縄・奄美が梅雨入り→【2】本州付近が梅雨入り→【3】沖縄が梅雨明けして本州付近が梅雨本番→【4】梅雨末期の豪雨、という4段階で梅雨は進みます。
それが今年は、【2】と【3】が同時にやってきただけでなく、このさきの暖湿気の動向次第では【4】までほぼ一気に進んでしまう可能性すらあるのです。

このさきの降水量はどうなる?

筆者の記事では何度か解説している通り、梅雨入りが非常に遅かったとしても、梅雨明けが早い年も遅い年もあれば、降水量が多い年も少ない年もあります。

1か月予報の降水量予想(気象庁HPを元に作成)
1か月予報の降水量予想(気象庁HPを元に作成)

そこで最新の1か月予報を見ると、関東甲信と九州南部で平年並みと予想されているほかは、平年並みか多い見通し。
このさき"短期集中"的に雨の量が多くなるおそれがあります。

目先は23日(日)の大雨に警戒を

23日の大雨警報の可能性(気象庁HPを元に作成)。警報が出る可能性が高い場所は赤、中程度(出るか出ないか五分五分)の場所がピンクで表示されている。
23日の大雨警報の可能性(気象庁HPを元に作成)。警報が出る可能性が高い場所は赤、中程度(出るか出ないか五分五分)の場所がピンクで表示されている。

今日21日の雨がやんだあと、いったん22日には天気が回復するところが多いですが、前線は再び西から北上。特に23日には再び雨が激しくなり、広い範囲で大雨警報を発表する可能性があると気象庁は情報を出しています。

なかでも九州北部・中国・北陸にかけての日本海側で雨の量が多くなるおそれがあり、これは梅雨末期の大雨パターンにかなり似ているため、土日の間も必ず最新の情報を確認してください。

週間予報(気象庁HPを元に作成)
週間予報(気象庁HPを元に作成)

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気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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