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パドレスの加藤豪将は開幕ロースターに入れるのか。ここまで打率.353

宇根夏樹ベースボール・ライター
加藤豪将(サンディエゴ・パドレス)Mar 1, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今オフ、サンディエゴ・パドレスに入団した日本人選手は、シカゴ・カブスから移籍したダルビッシュ有だけではない。加藤豪将がマイナーリーグ契約を交わし、ノン・ロースター・インバイティ(キャンプ招待選手)として、スプリング・トレーニングに参加している。

 加藤は、1994年生まれの26歳。大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)と同じだ。2013年のドラフトで、ニューヨーク・ヤンキースから2巡目・全体66位に指名され、サンディエゴの高校からプロ入りした。ちなみに、すぐ上の全体65位(アトランタ・ブレーブスが指名)は、ダルビッシュとともにカブスからパドレスへ移った、ビクター・カラティニだった。

 ロースターのカットはすでに始まっているが、そのなかに加藤は含まれていない。エキシビション・ゲームの11試合で、加藤は17打数6安打(打率.353)を記録している。長打は、本塁打と二塁打が1本ずつだ。

 ただ、加藤が開幕ロースターの26人に入る可能性は低い。

 昨シーズンまで、加藤がマイナーリーグで守ってきたのは、基本的には内野の4ポジションだ。二塁が最も多く、三塁、一塁、遊撃の順に続く。レフトを守ったこともあるが、通算80イニングに満たない。

 パドレスの内野3ポジションには、確固たるレギュラーがいる。一塁はエリック・ホズマー、遊撃はフェルナンド・タティースJr.、三塁はマニー・マチャドだ。ちなみに、レギュラーかどうかを必ずしも示すものではないが、この3人はパドレスと大型契約を交わしている。ホズマーは8年1億4400万ドル(2018~25年)、タティースJr.は14年3億4000万ドル(2021~34年)、マチャドは10年3億ドル(2019~28年)だ。

 二塁はやや流動的ながら、候補は多い。ジェイク・クローネンワースは、昨年の新人王投票で2位タイにランクインした。4年2800万ドル(+ポスティング費)で入団したハソン・キムは、これまで韓国プロ野球で活躍してきた。昨シーズンは、打率.306と出塁率.397、30本塁打と23盗塁を記録している。ジャリクソン・プロファーは、かつてトップ・プロスペクトと評価されたとおりの選手にはなっていないものの、2018~19年はホームランを20本ずつ打った。

 ロースター26人の構成を、先発投手5人、リリーフ投手9人、レギュラー野手8人とした場合、控え野手は4人となる。その4枠のうち、1枠は捕手が占め、2枠は二塁候補の3人中2人が入るだろう。クローネンワースとキムは、遊撃の経験が最も豊富で、他の内野も守れる。プロファーは、内野も外野もOKだ。ジ・アスレティックのデニス・リンによると、クローネンバーグとキムには、外野も守らせるプランもあるという。

 残る1枠は、ミドル・インフィールドと外野を守るホーヘイ・マテオか、外野と一塁のブライアン・オグレディが有力だ。ポジションと今春の成績からすると、31打数11安打(打率.355)のマテオが一歩リードか。ホームランはないが、二塁打3本と三塁打1本を打っている。

 こうして見てくると、故障者が続出した場合を除き、加藤の開幕ロースター入りは考えにくい。もっとも、シーズンは長い。2020年はマイナーリーグの試合が行われなかったが、ヤンキース傘下のAAAとAAでプレーした2019年は、AAAの83試合で、出塁率.382と11本塁打と二塁打10本を記録した。マイナーリーグで結果を残していれば、メジャーデビューの機会が巡ってくるところまで、加藤は来ている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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