「韓国の子供は不幸だ」と答えた人が過半数…日本以上に深刻な韓国の少子化問題
本日7月11日は「世界人口デー」だ。全世界の人口が50億人を突破したことから、人口問題への関心を深める日として、1989年に国連開発計画(UNDP)が定めた。
世界人口が50億人を突破したのは1987年。それから30年余り経った現在は、70億人を超えていると推定されている。
ただ先進国では子供の数が減っており、日本をはじめ少子化問題に悩まされている。そのなかでも韓国は特に深刻だ。
地球上で真っ先に消え去る国
というのも、韓国の合計特殊出生率は昨年、過去最低の1.05人にまで落ちているのだ。日本も少子化問題を抱えているが、合計特殊出生率は1.44人(2016年、厚生労働省)。この数字の違いだけを見ても、韓国の少子化がいかに解決急務の問題かがわかるだろう。
事実、韓国は数年のうちに“人口絶壁”を迎えるとされており、オックスフォード人口問題研究所が「地球上で真っ先に消え去る国は韓国」と指摘したこともあるほどだ。
(参考記事:「地球上で真っ先に消え去る国は韓国」…3年後に迎える“人口絶壁”の原因は)
『中央日報』の「韓国出生数また歴代最低…人口減少が前倒しに」という記事によれば、韓国の1~4月の出生数は2015年15万6024人、2016年14万7513人、2017年12万9000人と「年々減少傾向にある」という。
韓国の『逃げ恥』人気の背景に?
その原因についてはさまざまだが、「婚姻件数が持続して減少していることも原因」と指摘する声は多い。実際、今年1~4月の婚姻件数は8万6800件で、前年同期比2.1%減となっている。
韓国でも一部ファンたちの間で日本ドラマ『逃げ恥』がさまざまな注目を集めたことがあったが、そこには韓国の若者の“結婚離れ”という背景もあったといえるだろう。
(参考記事:ドラマ『逃げ恥』に感情移入せざるを得ない韓国若者たちのリアル)
注目したいのは、韓国人の過半数が「韓国の子供たちは不幸だ」と考えている点だ。
韓国保健研究院が7月5日に発表した「少子高齢化への意識調査」結果によれば、回答者の52%が「韓国の子供たちは不幸だ」と考えていたという。子供がいない若者層にいたっては、その数字が66%に跳ね上がっていたそうだ。
自国を“ヘル朝鮮”と揶揄する韓国の若者たちの中には、自分と同じ辛い思いをさせたくないと考えている人もいるのかもしれない。
妊婦のトラブルも増加傾向か
「子供が不幸になるから作らない」と思うのは個人の自由だが、妊婦に関連した事件は看過できない。
例えばソウル市内を走る地下鉄内でのトラブルだ。かつては地下鉄内で席を譲り合う光景をよく見たが、最近は地下鉄の優先席などで妊婦がトラブルに巻き込まれる事件が多発しており、ソウル市が設けた「妊婦優先席」も有効に活用されていないという。
(参考記事:往復ビンタに腹パンまで…韓国地下鉄で頻発する妊婦への“暴行”が看過できない)
そんななか韓国政府は、来年2019年の施行に向けて対策に追われている。
韓国大統領直属の「低出産・高齢社会委員会」は7月5日、少子化対策として「働きながら子育てする幸福な国のための核心課題」を発表した。
そして、「満8歳未満の子供がいる父母は最大2年間、賃金の削減なく1時間短縮勤務ができる」「夫の有給出産休暇を3日から10日に増加する」などの対策を打ち出している。
韓国の「子供の貧困率」日本に比べると悪くないが、さまざまな支援が必要なのは間違いないのだろう。
前出の「少子高齢化への意識調査」結果でも、仕事と家庭の両立問題を解決するためにもっとも重要な役割を担うのは「政府」(45.8%)とされていただけに、注目してみたい。
韓国の総人口は2032年をピークに減少に転じるとされてきたが、「10年早まる可能性も」(『中央日報』)あるという。日本ではすでに8年連続で人口減少が続いている。
「世界人口デー」の今日、マクロな視点で自国の人口問題について考えてみるのもいいかもしれない。