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「初勝利まで100登板以上」を要した投手は、そこから何勝したのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
平田真吾(横浜DeNAベイスターズ)の先発登板は、2試合とも東京ドーム(写真:アフロ)

 10月7日、平田真吾(横浜DeNAベイスターズ)は、通算130登板目に初白星を挙げた。この翌日の日刊スポーツは「初勝利までに最も登板数を要したケースには00年柴田(近鉄)の168試合目があり、100試合以上要したのは平田で7人目(他に110試合で0勝のまま引退した広島小早川がいる)」、スポーツ報知は「デビューから試合数がかかった初勝利には、95年に初登板した柴田佳主也(近鉄)が00年に168試合目で初勝利。14年に初登板の祖父江(中)は、17年初勝利が142試合目だった例がある」と報じた。

 ここに出てくる平田以外の投手は、柴田佳主也小早川幸二祖父江大輔(中日ドラゴンズ)だ。3人のうち、小早川は1993~97年に広島東洋カープで110試合に登板し、0勝2敗、2セーブ、防御率6.00を記録した。また、日刊スポーツが正しければ、初勝利までに100登板以上を要した投手は、柴田と祖父江、平田の他に4人いることになる。

 この4人は、緒方勝/相沢勝福間納中条善伸清川栄治だと思われる(4人目が見つかったところで、調べるのをやめた)。それぞれの初白星は、緒方が128登板目、福間は100登板目、中条と清川は106登板目だ。いずれも、初白星を記録した時点の通算登板は、柴田、祖父江、平田の3人よりも少なく、スポーツ報知の記述とも合致する。

筆者作成
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 初勝利までに100登板以上を要した投手のうち、緒方は2勝目を挙げることなくキャリアを終えた。一方、福間と清川は二桁の白星を記録した。

 ただ、彼らの場合、評価の物差しとして、白星は適当ではない。いずれの投手も、登板のほとんど(あるいはすべて)がリリーフとしてだ。現役投手の祖父江と平田を含む7人中、先発登板が10試合以上は福間しかいない。

 平田も、初白星を挙げたのは、2度目の先発登板だった。ちなみに、初先発は通算75登板目の2018年4月11日。この時は5イニングを無失点に封じた。3度目の先発マウンドには、まだ上がっていない。131登板目と132登板はどちらもリリーフとして投げ、相手に得点を許さなかった。

 なお、7人中6人は初白星の前に黒星を喫しているが、清川だけは、無敗のまま白星を手にした。106登板目の1勝目に続き、109登板目に2勝目、113登板目に通算3セーブ目を挙げ、115登板目に初黒星を記録した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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