職を持つ男性の育児参加、どれだけすべきか・しているか
元々夫婦における家事の分担は何かと論議の対象となる。特に妻が妊娠すると、身重な状態での負荷は問題があること、出産後は心身の回復のために極力体を休めた方が良いこと、そして育児で時間と手間が余計にかかることなどから、夫の協力が一層強く求められることになる。一方で夫側の立場においては、多くの場合がフルタイムの就業をしており、平日日中は自宅に居ないことに加え、残業で帰宅が遅れがち、帰宅してからも疲労が重なり育児をこなす気力や体力が残っていないとの主張も多い。
それでは実態として、夫=男性は育児や家事の必要性について、どのような点まで手助けすべきかと考え、そして実行に移しているのだろうか。次のグラフは内閣府男女共同参画局が2013年12月に発表した「ワーク・ライフ・バランスに関する意識調査」で発表した調査結果を元にしたもの。これは「6歳以下の第一子を有する」「配偶者と同居している」「20歳以上の有職」の条件にあった男性を対象としており、自分が今置かれている「育児の必要がある子供が居て、妻からは家事や育児の手伝いを求められている」状態において、どのような手助けをすべきか・代替すべきかと考え、実際にしているかを確認している。
自分の技術や時間的制約の上で不可能な家事もある。それらも考慮した上で「夫婦で一緒にした方が良い」ともっとも多くの夫が考えてる家事・育児は「子供を風呂に入れる」。77.6%が行うべきだとしている。次いで「子供の食事の世話」「子供の寝かしつけ」「食事の片づけ」「子供の着替えさせ」が続く。
これらの項目は概して多分にスキルをあまり必要としない、そして子供に時間を拘束されがちな行動と評せる。「食事の片づけ」は子供に拘束はされないものの、「食事の支度」(調理)と比べれば実行ハードルははるかに低い。
一方、実行している家事・育児では「子供を風呂に入れる」がやはりトップで、次いで「子供の着替え」「子供の食事の世話」「食事の片づけ」が続く。「寝かしつけ」はやや拘束時間が長いこと、夫自身の帰宅時間と子供の睡眠時間が合致しない場合もあり、「したくても出来ない」的な状況の人が多いことがうかがえる。
「した方が良い」と「実際にしている」との差異が大きい、つまり理想と現実のギャップが激しいのは「保育園などの送り」「迎え」、すなわち子供の送迎。夫の通勤手法や時間が合致すればやるべきだと考えていることは「した方が良い」の値からも分かるのだが、実際には都合が合わず、なかなか実現しないようだ。
夫の家事参加における最大のハードルは時間不足。残業が少なくなる・職場人員に余裕ができれば、もっと多くの手伝い・代替が出来るとの意見が多い。
時間に余裕が出来たとして、それを家事に充てるか否かの判断は、最終的には夫に任されることになる。しかしそれでも企業側には、妻が妊娠した後の世帯持ちに対して、何らかの時間的配慮を望みたいところだ。
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