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リッチー・モウンガが考える「ラグビーの核」とは?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
(写真:つのだよしお/アフロ)

 今季のジャパンラグビーリーグワンにあって、最大のインパクトを与えている新外国人選手ではないか。

 リッチー・モウンガ。

 ニュージーランド代表の司令塔として昨秋のワールドカップフランス大会で準優勝した29歳だ。今季は前年度1部12チーム中5位だった東芝ブレイブルーパス東京に司令塔として加わり、ここまで全試合に先発。防御の死角をえぐるラン、パス、キック、何よりそれらを適宜、使い分ける判断力で魅してきた。

 24日は東京・秩父宮ラグビー場で、リコーブラックラムズ東京に40―33で勝利。これで戦績は10勝1敗だ。旧トップリーグ時代の2008年度以来となる開幕8連勝を果たしたのも相まって、12チーム中2位につく。

 ブラックラムズ戦ではキックをチャージされたり、イエローカードをもらったりと苦戦を招いたものの、自身が「ラグビーの核」と捉える資質を残した。

 世界屈指の技巧派が考える「ラグビーの核」とは。試合後に語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

——相手ボールキックオフ時の陣地脱出時、相手からのプレッシャーがかかっていたような。

「ブラックラムズのキックの落下地点がよかった。タッチライン際でした。端側から抜け出る(陣地を取り返す)のは難しいうえ、最初の接点にも圧力がかかっていた」

——前半を33―14とリードしながら、終盤、一時同点に追いつかれました。その際、モウンガ選手はイエローカードで一時退出を余儀なくされています。

「(試合の流れの裏には)いろんな要素の組み合わせがありました。後半は僕らのペナルティが増え、イエローカードが2枚(モウンガ、原田衛ゲーム主将が相次ぎ一時退場)。ブラックラムズを相手に13人で戦うのが難しいことは誰の目にも明らか。彼らはいいエナジーを持ち、私たちが苦しんでいるところでもう1段ギアを上げてきた。ただ、勝ちが向こうに流れてしまってもおかしくないなか、結果的にチームメイト全員で戦い、勝ち点を取れたのはすごくうれしい」

 その「流れ」を止めたひとつは、7点リードで80分を超過した際のワンプレーだ。

 ここではブラックラムズに展開され、相手ウイングの西川大輔のキックを同じくスクラムハーフの南昂伸がキャッチ。ブレイブルーパスから見て自陣の深い位置へ侵入されていたが、長距離を駆け戻ってきたフルバックの松永拓朗が南にタックル。その地点にはモウンガも到達しており、ゴール前で球出しを遅らせるのに成功した。

 地面で援護役の下敷きになりながらも、手を挙げ、レフリーに妨害の意図がないことをアピール。その間、ブレイブルーパスの同僚が防御ラインを揃え、まもなく攻守逆転。何とかノーサイドを迎えた。

 モウンガは他の局面でもトライセーブに近い動きをしており、技巧派でありながらハードワーカーであることを証明した。

——懸命にピンチを防ぐシーンが目立ちました。

「かなりタイトな試合だったので、特に何か考えてというよりも身体が自然に戻る方向に動いていたのです。ただこういう試合の苦しいタイミングでは、どれだけ頑張って戻ってタックルできるか、それができなくてもチームメイトを助けられるか(が大事)。これはラグビーをするなかでの本当の核、基盤となる部分。これができないと、それ以上、何をやったって積み重なっていかない。ブレイブルーパスにも、そういう文化が根付いているのかなと思います」

 3月最終週はリーグ戦最後のバイウィーク(休息週)があり、向こう5試合で最終順位が決まる。勝負の季節。身長176センチ、体重83キロのコンダクターは、周りを統率する以前にまず「頑張る」のだ。

——ここからバイウィークに入ります。どう過ごしますか。

「寝ているよ! …家族が今週の途中まで3週間くらいニュージーランドへ帰っていました。バイウィーク後はシーズンも佳境。1試合、1試合がものすごく大事になる。タフな状況になる前に、ゆっくり家族と過ごしたいです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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