5投手が今季公式戦最多の14安打を浴びて敗戦《3/31 阪神ファーム》
きょう4月1日に予定されていたウエスタン公式戦・阪神対オリックス(鳴尾浜)は中止となりました。朝の練習は普通に始まり、なんとか決行しようと頑張ったみたいですが雨は本降りになっていき、結局11時10分に中止が決定したとのこと。予想以上の降りでしたね。ことしは昨年までと違い、中止になった試合は振り替えられません。予備日の心配をしなくて済むけど、見られる試合が減るのは残念。今週末のお天気も怪しくて心配です。
17年の鳴尾浜生活に別れ
さて、きょうからの新年度を控え、きのう3月31日に“卒業”された方もいらっしゃいました。鳴尾浜でいつも青い上着(夏場は水色)を羽織って、選手にもお客様にも我々にも常に笑顔で明るく接してくださった古家後(こやご)マツ子さんもその1人。亡くなられたご主人が阪神電鉄にお勤めだった縁もあり、阪神園芸株式会社に就職された古家後さんはゴルフ練習場で15年、引き続き鳴尾浜球場で17年半、計32年を過ごされたそうです。
阪神淡路大震災から2年後、1997年10月に鳴尾浜でのお仕事が始まった古家後さん。今岡誠さん、関本賢太郎選手、濱中治コーチ、星山忠弘さんがルーキーの年ですね。ファームは翌1998年からウエスタン・リーグで何度も何度も優勝するようになりました。朝暗いうちから出勤して、練習が始まる前のベンチに飲み物を準備したり、お茶やコーヒーを沸かしたり、お客様のためにスタンド側の門を開けたり。試合中も休みなく働いて、試合や練習が終わると土だらけになったベンチやロッカールームの掃除に後片付け。帰宅は暗くなってからでした。
「もう孫が26、7歳で、ひ孫が3人もいる年になったからねえ。選手たちはちょうど孫くらいでしょう?やっぱり可愛い」
鳴尾浜の試合は放送室の窓越しに見て一喜一憂されていますが、1軍のデーゲームも給湯室に置いたラジオでチェックして「打った―!」と大はしゃぎ。そうそう、ロッカールームの掃除中はラジオをポケットに入れてやってらっしゃいましたね。とにかく、じっとしている姿を見たことがありません。お休みの日は大好きなゴルフと、本当にアクティブな方です。
きのう夕方には選手やコーチ、スタッフの皆さんと記念撮影をし、サインをもらった“孫”もあったとか。この日が最後とご存知だったお客様からも「プレゼントをもらった」と笑顔です。“古家後さん”という名前を知らない人は多かったと思います。それでも「おばちゃん」といえばわかるくらいの方で、鳴尾浜球場になくてはならない存在でした。1軍にいる選手には挨拶ができなくて残念そうです。「大和さんや上本さんには会えずじまい。彼らはケガでこっちに来てたりしたから」と思い入れも強かったのでしょう。
また顔を出してくださいと言ったのですが、恥ずかしいから…とやんわり固辞されました。でもそのうちスタンドにも来てくださると期待しています。私は古家後さんが鳴尾浜に来られてからの17年半、ずっとお世話になっていたわけですね。本当に長い間、ありがとうございました。お顔を見るだけで癒される時間でした。これからも可愛い孫たちの応援、よろしくお願いします!
満塁だらけの試合
では、大変長らくお待たせしました。きのう3月31日に行われたウエスタン・オリックス戦の結果をご紹介します。筒井投手と、背番号125となった近藤投手の先発。阪神投手陣は6人全員で計14安打、筒井投手だけで6四死球もあって満塁機が4度…。8失点(残塁13)で済んでよかったというべきでしょうか。こちらの打線は5安打ですが、チャンスで緒方選手が打ちました!なお原口選手はスローイングも解禁となり完全合流、黒瀬選手も合流してベンチに入っています。
《ウエスタン公式戦》3月31日
阪神-オリックス 1回戦 (鳴尾浜)
オリ 000 511 010 = 8
阪神 000 030 000 = 3
◆バッテリー
【阪神】●筒井(1敗)-鶴-福原-秋山-金田 / 鶴岡-小豆畑(7回~)
【オリ】近藤(3回)-小松(1回1/3)-○坂寄(1勝)(1回2/3)-佐野(1回)-マエストリ(1回)-柴田(1回) / 伏見
◆二塁打 (神)緒方 (オ)カラバイヨ、縞田、武田
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]一三:荒木 (4-0-0 / 0-0 / 0 / 1) .000
2]中:横田 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .061
3]三:今成 (3-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .182
〃捕:小豆畑 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .000
4]右:伊藤隼 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .125
5]左:狩野 (1-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .278
〃走左:一二三 (2-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .071
6]二:西田 (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .375
7]遊:北條 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .294
8]指:緒方 (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .143
〃打指:原口 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .000
9]捕:鶴岡 (2-1-2 / 0-0 / 0 / 0) .333
〃一:中谷 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .273
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
筒井 3.2回 110球(5-2-6 / 5-5 / 5.87) 140
鶴 3.1回 23球 (1-1-2 / 1-1 / 3.86) 141
福原 1回 16球 (3-1-0 / 1-1 / 4.50) 141
秋山 2回 34球 (3-2-0 / 1-1 / 4.50) 140
金田 1回 19球 (2-0-0 / 0-0 / 0.00) 146
中盤の失点が響く
3回までは両チームとも1安打ずつで無得点だったのですが、筒井は2回に3四球で2死満塁とするなど3回までに4四球を与えます。4回に入っても竹原への四球、カラバイヨの中越え二塁打、伏見の四球で無死満塁として奥浪に左前タイムリー。そのあとも吉田雄の中犠飛、縞田の左越えタイムリー二塁打、堤の中犠飛、武田の中前タイムリー…と一気に5点を失い降板。代わった鶴が谷を三ゴロに打ち取って打者9人攻撃を終わらせました。
その鶴も5回、先頭の竹原に四球、カラバイヨの中前打、伏見への死球で無死満塁として奥浪の遊ゴロ(三塁封殺)で1失点です。その裏の攻撃で、オリックス2人目の小松から狩野と西田が連続四球を選び、1死後に緒方が右翼線へタイムリー二塁打!前のランナーがいなければ三塁へも十分行けたでしょう。それくらいの余裕でした。なおも1死二、三塁で続く鶴岡が左前打を放ち、難なく2人とも生還。この回3点を還して6対3とします。
6回の福原は簡単に 2死を取ってから代打・鉄平、小田、カラバイヨの3連打で1失点。ついで秋山が7回は吉田雄から140キロの直球で見逃し三振を奪うなど、この試合初の三者凡退に切って取りました。しかし8回は先頭の堤に右前打され武田の左翼線二塁打で二、三塁として、2死後に山本の左前タイムリー。ここまで4投手全員が、12安打を浴びて8失点です。
9回は金田が登板、先頭の奥浪に左前打、吉田雄はサード荒木のエラー、縞田に右前打されて無死満塁となったものの、堤を左飛に打ち取り武田は二ゴロ併殺打で片づけて唯一の無失点でした。こちらの打線は7回に高校出のルーキー佐野から西田と北條が連打、緒方は二飛に倒れるも中谷が四球を選んで1死満塁と攻めます。しかし荒木と横田がフライに打ち取られて得点なし。8回、9回はあっさりと三者凡退で試合終了。
「やっと開幕した」と緒方
5回にタイムリー二塁打を放った緒方選手は、実戦に復帰してすぐ育成試合で1安打しましたが公式戦は初安打で初打点。「やっと“開幕”!今シーズン初ヒットだったので、ボールをもらおうかというくらい」と笑います。「初球からいくつもりでした。よかったですね。ツーボールになったので、取りにくる球をしっかり振ろうと」捉えた133キロの真っすぐ。
チャンスで打てたことには「あの場面で打てたことは大きかったけど、次の打席(7回無死一、二塁で二飛)はものすごく悔しい。ミスショットです。1-3というカウントで真っすぐで差し込まれたらダメですね。あそこを捉えないと1軍には上がれないので、修正していきたい」と冷静に見ていました。
由宇での広島3連戦ではノーヒットだった緒方選手ですが、29日には「惜しかったんですよ。鳴尾浜なら入っていたかも」という大きな当たりもあったとか。「ファームも外野手が多いので、DHでもしっかり結果を残してやりたい。早く上から呼んでもらえるように頑張ります!」
復帰登板の金田、早速146キロ
3月4日の教育リーグ・広島戦(由宇)で先発して5イニングを投げたあと、右ひじの違和感があり戦列を離れていた金田投手。それ以来となる実戦登板で「全力で腕を振れました。そこが一番よかった。あとは精度が問題ですね。ヒットゾーンに飛んでしまうし、まだまだ。しっかり低めに集めないと」と振り返ります。ひじの不安は?と聞かれ「全力で振れたので不安は全然なかったです」とのこと。
真っすぐの最速は146キロでしたね。「スピードは出したいと思っていたし、全力で振らないと出ないので。もうちょっと上げていくようにしたい。バッターとの感覚は、まあ1ヶ月も離れていたわけじゃないので違和感なく入れました。早く結果を出して、早く1軍に呼ばれるように」と話しています。
秋山も“ゲーム復帰”
秋山投手は、3月11日の教育リーグ・ソフトバンク戦(鳴尾浜)以来の実戦。公式戦は今季初登板です。その間、フリー打撃やシート打撃に何度か投げていました。「立ち方を意識して、足を上げて、ワインドアップでやてみようかなと」。どうだった?「点は取られたけど、腕も振れていたのでよかったと思います。セットポジションでの変化球をそんなにやっていなかったし、実戦も久々だったので、ちょっとフォークのゾーンが手前すぎてしんどかった。でも全体的には満足いく球が投げられました。いいイメージは出来てきていると思うから、反復練習で自信をつけていく、ってことで。今後もワインドアップですね。ムダなところに力が入らずに投げられているので」
久保投手コーチは「秋山は一時のヘロヘロ状態から良くなってきたよ。腕を振って見逃し三振を取ったボールはよかった!キャンプ直後からすれば、だいぶ進んでいます」と、費やした時間がもたらした成果を口にしました。試行錯誤を繰り返しても、いつかどっしりと安定感のあるピッチングを見せてくれるでしょう。また「福原はもう1軍に行けますよ。でも今はまだ急がなくてもいい状況だから。金田もボールの速さが出てきた。あとは変化球を低めに集めること。筒井も鶴も福原も秋山も金田も、これから1軍できっと必要になるからね。必ず」と久保コーチは締めくくりました。