ラーメン店フタなめ動画で炎上した男性は不起訴処分に。結果に不満の声が出るもスマホで失った未来は大きい
2024年1月にラーメン山岡家で水の入ったピッチャーのフタを舐めるような迷惑行為をして逮捕された20歳の男性が、不起訴処分になったと2月29日に報道されました。
この炎上事件では迷惑行為をした20歳の男性と、それを撮影してSNSに投稿した16歳の少年の2名が威力業務妨害の疑いで逮捕されています。
16歳の少年がどのような処分になったのかは報じられていませんが、20歳の男性が不起訴処分になったことを考えると少年にも刑事処分は科されないものと思われます。
結果として「罰せられなかった」ことになり、SNSでは「もっと厳しい処分になって欲しかった」、「これでは抑止力にならない」といった声もあがっていますが、じつは20歳の男性の方が失った未来は大きなものです。
今回の記事では、面白いと思って軽い気持ちで迷惑行為をしてしまうと、本人の未来からどのように選択肢が失われてしまうのかの実例として紹介します。
学校は退学処分。ネットに実名で迷惑行為の記録が残ることに
まず実社会においてですが、男性は通っていた美容専門学校を退学処分になったと報じられています。
これはネットの特定班と呼ばれる人たちが男性の映像やSNSのアカウントの情報をもとに暴き、美容専門学校にクレームを出したためです。
これにより男性の美容師などの職業に就くという未来はほぼ絶たれました。
また、ネットにおいてはさらに実害が大きく、男性の名前で検索するとこの事件のことばかりが表示されます。
今回の不起訴処分を受けてか、もしくは掲載期間が過ぎたのか一部のメディアはすでに報道の記事や動画を非公開にしていますが、いわゆる“トレンドブログ”と呼ばれている個人ブログの記事は多くがそのままです。
トレンドブログは事件が起きるたびに「犯人の名前は? 職業は? どこに住んでるの?」といった記事を出して注目を集め、広告収入を稼ぐことを目的としています。
不起訴処分になったからと言ってこうしたブログの記事をすべて削除することはかなり難しく、おそらくは今後10年以上は男性の名前で検索するとこうした記事が表示されることになります。
これにより採用時に身元調査をする企業への就職も難しくなります。
結果として、逮捕された男性が選べる将来は迷惑行為より前と比べてかなり減ってしまったと言えます。
親が子供に強く教えることが大事
個人的にこうした迷惑行為を減らすには、各家庭のITリテラシー格差を考えると義務教育として教えることが望ましいと筆者は考えていますが、残念ながら現状ではそうなっていません。教員の方々の負担を考えると、急いで導入することも難しいでしょう。
であればこうした記事を読んでいる親の世代が強く教えるしかすぐに打てる手はありません。
お子さんにスマホを買い与えるときは、迷惑行為を撮影しないこと、そうした動画を友達のあいだでも共有しないことを何度も伝えましょう。
とくに近年はインスタグラムの公開から24時間後に消えるストーリーズにアップされた動画が第三者に録画され、それが再アップされて拡散→炎上するといった事例が多く見受けられます。
「24時間後に消える」といった特徴に安心するのか、子供や若者らの「こういう動画は公開してはいけない」との判断力が鈍るようです。これをいま防げるのは親の教育しかありません。
もちろん多くの人にとって「迷惑行為をしないのは当たり前」ですし、「そんなことも分からないやつはバカ」であり、それは正しいのですがそんな正論を言っても迷惑行為による炎上は減らせません。
いまの時代の子供たちは私たちの子供時代にはなかったスマホを誰もが持っており、そのスマホがあることが当たり前の文化で育ってきています。
迷惑行為をした子供の責任にするのは簡単ですが、今回の事例では昭和生まれの筆者の感覚では成人になったばかりの20歳と(令和で法改正されて18歳から成人になりました)、まだ未成年である16歳の少年によるものと考えると、やはり買い与える親側の責任も大きいのではないかと思います。