Yahoo!ニュース

ソロ温泉は宿選びが9割! ひとり旅の宿を決める際の5つのポイント

高橋一喜温泉ライター/編集者

筆者が提唱するソロ温泉(ひとりでの温泉旅)は、基本的に宿に引きこもって温泉にひたすら浸かる旅である。

だからこそ、滞在中のほとんどの時間を過ごす宿をどこにするかは、ソロ温泉の充実度を決める重要な選択となる。「ソロ温泉は宿選びで9割決まる」と言っても過言ではない。

今回は、「どのような観点から、ソロで滞在する宿を選べばよいか」を考えてみよう。

第一の条件は「温泉」

「ソロ温泉」の最終的な目的は、日常から離れた環境で温泉につかりながら「空白の時間」を過ごし、心身の回復を図ることである。

その目的を達成するために必要不可欠なのが、「温泉」であることは言うまでもない。

つまり、ソロ温泉を充実させるための第一の条件は「温泉の質」が高いことである。こればかりは譲れない。この条件がないがしろにされるのであれば、もはや普通の温泉旅行と変わらない。

したがって、ソロ温泉の宿を選ぶときは、第一の条件である「温泉の質」のほかに何を重視するかで、ふさわしい宿が決まってくる。いわば第二の条件によって、その人の温泉旅の個性が醸し出されるといっていい。

考えられるのは次の5つの組み合わせである。

①温泉+温泉

②温泉+空間・ロケーション

③温泉+料理

④温泉+贅沢

⑤温泉+価格

ただ温泉がよければそれでいい

まずは「①温泉+温泉」から見ていこう。

これは、簡単にいえば「温泉さえよければ他はこだわらない」というタイプ。筆者も基本的には、温泉がよければ不満はない性分だ。

温泉のこだわりポイントにもいろいろある。温泉がかけ流しで鮮度が高いのはもちろんだが、それ以外のプラスアルファの条件にはさまざまな選択肢がある。

「濁り湯がいい」「ぬる湯がいい」「足元湧出がいい」「露天風呂は外せない」「近くに共同浴場がある」などなど……自分なりの温泉の好みに合わせて、旅館を選ぶことになるだろう。

自然や雰囲気を重視

次に「②温泉+空間・ロケーション」は、旅館の立地や建物である。

たとえば、「大自然に囲まれた温泉に入りたい」ということなら、山間部の温泉地がふさわしいかもしれない。秘湯の一軒宿なども候補に入るだろう。海を見たい気分であれば、大海原を一望できる温泉宿が候補に挙がる。

また、温泉街の雰囲気を味わいたいのであれば、歴史と情緒のある温泉地がいいだろう。伝統的な旅館の雰囲気に浸りたい気分なら、有形文化財に指定されているような老舗宿がおすすめだ。

反対に、旅館のような雰囲気が苦手で、市街地のビジネスホテルなどが落ち着くのであれば、そのような選択もありだ。

地の物をいただく悦び

「③温泉+料理」も宿泊先を選ぶ重要な選択肢になり得る。

旅先で食べる料理は、ソロ温泉でも愉しみのひとつだ。いわゆる「料理自慢の宿」に宿泊すれば、その土地、その宿ならではの料理や食材をいただけて、旅の思い出にもなる。

食事にこだわるなら、宿のセレクトには慎重になりたい。宿のホームページを見ると、豪華な食事がいっぱい並ぶ画像が出てくるが、あくまでもイメージにすぎない。実際は、ありきたりの料理が並んだり、冷めた天ぷらが出てきたりする可能性もある。

料理自慢の宿を探すときは、個人のブログやインスタなどSNSを参考にするのがいちばんである。料理は温泉と違って、メニューや評価がはっきり記録されているので良し悪しを判断しやすい。

また、「郷土料理にこだわりたい」「お酒を楽しみたい」という人は、宿は素泊まりプランにして、近くの飲食店や居酒屋を利用するという手もある。

たまには温泉で贅沢したい

「④温泉+贅沢」のタイプも少なくないだろう。「せっかく温泉に出かけるのだから、できるかぎり贅沢をしたい」という気持ちはよくわかる。

この場合、「グレードの高い宿を選ぶ」「食事を高いプランにする」「部屋をグレードアップする」といった選択をすることになる。もちろん、自分の予算に収まるなら、何の問題もない。

ただし、グレードの高い宿は、温泉の質が二の次になり、肝心の湯浴みに不満を残すというケースもある。気をつけたい。

ひとりなら安いに越したことはない

最後の「⑤温泉+価格」というタイプも多いだろう。実際、「ソロ温泉」に使える資金は、人によって上限がある。宿泊料金を踏まえたうえで、①~④のこだわりを追求するというのが現実だろう。

「宿泊料金の安さ」にこだわるという人も一定数いる。「一人だし、安ければ安いに越したことはない」という方針なら、格安料金の湯治宿やゲストハウスを利用したり、素泊まりにして食事は外でリーズナブルに済ませるという手もある。実際、宿で食事をつけるより、外で食べたほうが安く済むケースがほとんどだ。

自分のこだわりを把握しよう

以上、5つのこだわりタイプを見てきたが、実際には2つのタイプにまたがるケースもあるし、旅によって重視する条件が異なることもある。

だが、自分が何を重視するかを明確にしておくことは、宿選びの指針となる。「こんなはずではなかった」と後悔しないように、自分のこだわりポイントを把握しておくことは大切である。

高橋一喜|温泉ライター

386日かけて日本一周3016湯を踏破/これまでの温泉入湯数3800超/著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)/温泉ワーケーションを実行中/2021年1月東京から札幌へ移住/InstagramnoteTwitterなどで温泉情報を発信

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

高橋一喜の最近の記事